診療マル秘裏話    号外Vol.1119 平成30年3月10日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)生薬のサンシシとその含有製剤の使用上の注意
2)有望な高血圧治療薬選択肢を拡げる医薬品シーズ
















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 生薬のサンシシとその含有製剤の使用上の注意












 厚生労働省は2月13日、生薬
のサンシシと、その含有製剤の
使用上の注意に対し、重大な副
作用の項に「腸間膜静脈硬化症」
の追記などを求める改訂指示を
発しました。国内症例が集積し
たことなどを受けた措置で、医
薬品医療機器総合機構(PMDA)
が改訂情報を伝えました。

 改訂指示は、サンシシと同薬
を含む医療用医薬品と一般用医
薬品(経口剤)が対象で、重大
な副作用の項に腸間膜静脈硬化
症を追記するほか、重要な基本
的注意の項に、「サンシシ含有
製剤の長期投与(多くは、5年
以上)により、大腸の色調異常、
浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴
う腸間膜静脈硬化症があらわれ
るおそれがある。長期投与する
場合にあっては、定期的に CT、
大腸内視鏡等の検査を行うこと
が望ましい」などの記載を追加
します。

 医療用医薬品では、直近3年
度の国内副作用症例として生薬
のサンシシとそれを含む漢方薬
14剤で、腸間膜静脈硬化症が、
因果関係を評価していないもの
も含めて計86例あり、このうち
13例で因果関係が否定できてい
ないということです。

サンシシを含む14製剤を以下に
記します。

加味帰脾湯
加味解毒湯
加味逍遙散
柴胡清肝湯
清上防風湯
清肺湯
温清飲
竜胆瀉肝湯
茵蔯蒿湯
荊芥連翹湯
葛根紅花湯
辛夷清肺湯
防風通聖散
黄連解毒湯

大腸病変模型を示している

動画です。

 

 

 

 



 夏に氷菓の評価を下す。笑











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2】 有望な高血圧治療薬選択肢を拡げる医薬品シーズ











 東北大学は2月2日、古くから
知られる強心配糖体から容易に
得られる化合物「ウアバゲニン」
が、副作用の少ない新たな医薬
資源となることを明らかにした
と発表しました。 この研究は、
同大大学院理学研究科化学専攻
の上田実教授、田村理講師(現・
岩手医科大学薬学部准教授)、
東京工科大学応用生物学部の岡
田麻衣子助教らの研究グループ
によるものです。 研究成果は、
英科学雑誌「Scientific Repor
ts」に掲載されています。

 分子内に糖を有する配糖体と
呼ばれる化合物は、天然に多く
存在します。配糖体は、複雑な
化学構造を持つ「アグリコン」
に糖分子が結合した構造を持ち、
このアグリコンが排泄あるいは
貯蔵のために生体内で不活化さ
れた化合物と考えられていまし
た。

 上田教授らは、強心配糖体ウ
アバインとそのアグリコンであ
る「ウアバゲニン」に注目しま
した。ウアバインはキョウチク
トウ科植物に含まれる強心配糖
体であり、欧米では、古くから
医療現場で使われてきました。
一方、ウアバインのアグリコン
であるウアバゲニンについては
ほとんど研究例がなかったとい
うことです。

 研究グループは、ウアバゲニ
ンの異常ステロイド骨格に着目
しました。そのステロイドホル
モン類似作用を探索したところ、
ウアバゲニンはステロイドホル
モン受容体と同じ核内受容体に
属する肝X受容体(LXR)群に、
作用することが明らかになりま
した。

 LXRは、コレステロール排泄、
脂質代謝、グルコース代謝、免
疫応答など生体内の恒常性維持
を担う核内受容体。近年ではLX
Rに作用する薬剤が抗がん作用
や降圧作用を持つことが明らか
になりつつあるため、新たなLX
R リガンドの発見は動脈硬化や
糖尿病、がんなど、現代社会で
罹患率の高い疾患の有用な分子
標的薬開発の基盤となることが
期待されています。

 今回発見されたウアバゲニン
は、既知の類似薬物に見られる
脂肪肝誘導などの副作用を示さ
ず、既知の合成リガンドより毒
性も低いことが確認されたとい
うことです。また、LXR リガン
ドは、集合尿細管細胞上の上皮
性ナトリウムチャネル(ENaC)
の発現を抑制するため降圧作用
が期待されます。研究グループ
は、ウアバゲニンがマウス腎臓
の ENaC の発現を抑制すること
を確認しました。ウアバゲニン
は、脂肪肝だけでなく、既存の
合成LXR リガンドの副作用も示
さず、そのENaC抑制作用から、
高血圧治療薬の選択肢を拡げる
医薬品シーズとして有望だとい
うことです。

 研究グループは「過去に生物
活性を示さないとされた配糖体
アグリコンに、意外な生物活性
が潜んでいる可能性は少なくな
く、天然に多く存在する配糖体
のアグリコンが新たな生物活性
分子の探索資源として有用であ
ることを指摘できた」と述べて
います。

アグリコン型イソフラボンの

ダイゼインが変化したエクオー

ルについて解説している動画

です。

 

 

 



 資源枯渇に言及することは、
至言と言えよう。












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編集後記


 生薬のサンシシと、その含有
製剤の使用上の注意に対し重大
な副作用の項に「腸間膜静脈硬
化症」の追記などを求める改訂
指示を発したのは、本当に残念
なことです。しかし、漢方にも
副作用はありますし、早く分か
って良かったという考え方もあ
ります。サンシシとは、山梔子
であり、クチナシの果実の生薬
です。イリドイド配糖体:geni
poside、 geniposidic acid、 
10-acetylgeniposide、 genipi
n 1-β-gentiobiosideなどカロ
チノイド色素: crocinその他:
p-hydroxycinnamic acid誘導体
などが有効成分なので、これら
の内の腸間膜静脈硬化症の責任
成分をつきとめるべきだと思い
ます。現在の所、責任成分につ
いて考えられている説を述べま
すと、山梔子の生薬成分である
ゲニポシドだとみられています。
大腸の腸内細菌がゲニポシドを
加水分解し、ゲニピンを生成。
ゲニピンが大腸から吸収され腸
間膜を通って肝臓に到達する間
に、アミノ酸や蛋白質と反応し
血流をうっ滞させ腸管壁の浮腫、
線維化、石灰化、腸管狭窄を起
こすと考えられています。
 古くから知られる強心配糖体
から容易に得られる化合物「ウ
アバゲニン」が、副作用の少な
い新たな医薬資源となることを
明らかにしたと発表したのは、
素晴らしいことです。 しかも、
天然の配糖体から、糖をはずし
たアグリコンが有用成分とされ
ているので、安心できるのでは、
ないでしょうか? イリドイド
配糖体と同じく、配糖体そのも
のは、不活型で、必要な部位ま
で配糖体の形で運ばれるため、
ポリフェノールのように途中で
抗酸化力が使われてしまうとい
いうことがありません。活性を
発揮するべき場所に来てから糖
が、外れて活性型になるという
素晴らしい長所を持っています。
ただし、上記のゲニポシドの様
に、腸内細菌によって分解され
有害な成分となる可能性は否定
できませんので、副作用の注意
は必要だと考えられます。

 杜仲茶を途中で飲む。笑











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