診療マル秘裏話    号外Vol.1146 平成30年4月10日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)老化脳血管を若返らせ回復図る新認知症治療法
2)免疫力低下の高齢者が齲歯と歯周病から致命傷
















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 老化脳血管を若返らせ回復図る新認知症治療法












 治療が難しいアルツハイマー
病などの認知症に対し、老化し
た脳血管を若返らせて回復を図
る新たな治療法開発を目指す日
独の国際研究グループが4月、
発足します。

 大学など5機関の研究者が参
加する予定で、中核となる先端
医療振興財団(神戸市)は「今
後5年間で治療につながる成果
を出したい」としています。

 認知症で最も多いアルツハイ
マー病は、「アミロイドβベー
タ」や「タウ」と呼ばれる蛋白
質が脳内に異常にたまり、神経
細胞が死ぬことで発症するとさ
れています。

 発症後に、これらの蛋白質を
取り除いても、既に多くの神経
細胞が失われており、機能回復
は難しいことが分かっています。
生き残った神経細胞の情報伝達
力を高めて記憶や学習を助ける
治療薬はありますが、病気その
ものは治せません。

 同財団の田口明彦・再生医療
研究部長は、不要な蛋白質を取
り込んで除去する脳血管の働き
に着目しました。老化で働きが
衰えた脳血管を再生すれば蛋白
質の蓄積を防ぎ、神経細胞の活
性化も期待できるという事です。

 この手法は、脳梗塞などに伴
って発症する「脳血管性認知症」
の症状改善にも有効とみられ、
合わせて認知症患者全体の8割
程度をカバーできる計算です。

 同財団は、手足の血管が詰ま
って指等が壊死する病気の患者
さんに血管再生を促す細胞を注
射し、治療してきた実績があり
ます。同様の手法で認知機能を
回復できるかを検討する他、脳
血管再生を促す新薬開発も視野
にグループ発足を決めました。

 脳血管に詳しい慶応大や九州
大、神戸大の研究者が加わるほ
か、欧州最大級の研究機関「フ
ラウンホーファー研究機構」(
ドイツ)も協力します。同機構
のヨハネス・ボルツ教授は「再
生医療分野で世界をリードする
日本と協力し、高齢化社会に立
ち向かいたい」と話しています。

 今後、国内外の研究機関や、
製薬企業などに広く参加を呼び
かける方針で、田口部長は「脳
血管に着目した、今までにない
治療法を生み出したい」と意気
込んでいます。

【アルツハイマー病】認知症全
体の6~7割を占め、患者数は
2012年時点で推定300万
人以上とされています。記憶が
欠落したり、時間や場所がわか
らなくなったりします。


 高齢化が進む中、多くの製薬
企業が認知症の新薬開発に取り
組んできましたが目立った成果
はなく、開発中止も相次いでい
ます。再生医療の技術を取り入
れた新たな治療法は従来の課題
を克服できる可能性を秘めてい
ます。

 新薬候補の多くは、脳内にた
まる蛋白質を取り除くタイプで
す。ただし、それだけでは回復
が見込めないことが、失敗の積
み重ねから分かってきました。

 脳血管を再生させる手法は、
蛋白質の除去だけでなく、脳の
血流を増やして神経細胞に十分
な栄養分や酸素を送り届ける事
にもつながりより高い治療効果
が期待できます。

 一方、発症の仕組みにはなお
不明な点も多いとされています。
今回の手法が実際に役立つのか、
今後の研究に注目したい所です。

認知症の治療薬について解説し

ている動画です。

 

 

 

 



 主砲を生かす戦術の手法。笑















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2】 免疫力低下の高齢者が齲歯と歯周病から致命傷













 口腔の感染というと、多くの
方は齲歯(虫歯)と歯周病を思
い浮かべると思います。実際そ
の通りで、齲歯と歯周病は口腔
の感染の中で、大部分を占め、
口腔内にある細菌が原因で起こ
ります。

 齲歯や歯周病は放置しても、
命に関わるようなことはないと
多くの人が思っていることでし
ょう。通常の体力であれば問題
ないのですが時として歯に関係
する感染から命に関わるような
非常に重篤な感染を引き起こし、
口腔外科を受診される方が1年
に何人かいます。そのほとんど
が、糖尿病や腎不全などの基礎
疾患を持ち、抵抗力が低下して
いる人です。

 口腔の周辺には口を開け閉め
する筋肉がたくさんあり、その
筋肉間に隙間があります。口腔
の感染はこの隙間に入り込み進
んでいくため、簡単に頸部から
胸部の縦隔(両側の肺に囲まれ、
中に、心臓や大きな血管がある
部位)まで進行することがあり
ます。炎症が周囲のかむ筋肉(
咀嚼筋)の隙間に入っていくと、
口が開かなくなる(開口障害)
状態となり、食事も摂取する事
が難しくなります。

 そうなると余計体力が低下し
て炎症がひどく広がってしまう
ことになります。また、のどの
方に炎症が広がり腫れてくると、
呼吸ができなくなり、窒息して
しまうこともあります。

 命に関わる重篤な感染を引き
起こすこともあります。糖尿病
では細菌と戦う白血球の機能が
低下しやすく、また、腎不全で
は栄養不足になったり老廃物が
体内に蓄積したりするため、い
ずれも、感染に弱い状態となり
ます。そのため、特に糖尿病や
腎不全のような持病を持ってい
る人は齲歯を放置しておかない
ことが大切です。

 齲歯でなくても、親知らず(
智歯(ちし))から細菌感染が
生じることもあります。

 人間のあごは、軟らかいもの
を食べるようになった食生活の
変化により、徐々に小さくなっ
てきている傾向にあります。本
来であれば、あごの縮小に伴っ
て歯の本数も減少していく必要
があります。

 しかし、そのバランスがとれ
ずに歯の本数と土台の大きさが
合わないため、最後に出てくる
親知らずがまっすぐに生えず、
横になったままになってしまい
ます。その結果、歯磨きをして
もきれいに磨けずに歯垢(しこ
う)がたまり不潔な状態となり
ます。風邪を引いたり、疲れた
りした時に全身の抵抗力が落ち、
親知らずの部分の炎症が一気に
悪化します。これを「智歯周囲
炎」と呼びます。

 また、最近の研究から歯周病
が様々な全身疾患と関わりがあ
ることが分かってきました。歯
周病は普段はあまり強い炎症を
おこさず、症状もなく経過して
いきますが、実は、慢性感染が
持続していて、そこから全身に
細菌が回るか、歯周組織で産生
された炎症性サイトカインとい
う物質が全身に回ることで、様
々な病気の発病に、関係してい
ます。

 口の中の細菌を無意識に誤嚥
して肺炎になったり、血管を通
って回った炎症性サイトカイン
により動脈が慢性炎症を起こし
て動脈硬化が生じたりすること
もあります。妊婦に歯周病があ
ると、子宮に炎症性サイトカイ
ンが移動し早産や低体重児出産
に関係すると言われています。

 歯の病気は口の中だけでなく、
全身にも影響を及ぼしますので、
歯磨きなどの日頃の手入れと、
かかりつけ歯科を持ち必要に応
じて歯科治療を行うことが重要
です。

歯周病と全身疾患の関係につい

ての動画です。

 

 

 

 



 牛に齲歯ができる。笑














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編集後記




 治療が難しいアルツハイマー
病などの認知症に対し、老化し
た脳血管を若返らせて回復を図
る新たな治療法開発を目指す日
独の国際研究グループが発足す
るのは喜ばしいことです。確か
に認知症で最も多いアルツハイ
マー病は、「アミロイドβベー
タ」や「タウ」と呼ばれる蛋白
質が脳内に異常にたまり、神経
細胞が死ぬことで発症するとさ
れています。しかし、発症後に、
これらの蛋白質を取り除いても、
既に多くの神経細胞が失われて
おり、機能回復は難しいことが
分かっているので認知症の新薬
開発は暗礁に乗り上げている訳
です。そこでパラダイム変換を
行い老化した脳血管を若返らせ
て回復を図る方法ならまだ希望
が持てると踏んだのだと思いま
す。より良い新薬や、より良い
治療法の出現を期待したいと思
います。
 齲歯や歯周病は放置しても、
命に関わるようなことはないと
多くの人が思っていることでし
ょう。通常の体力であれば問題
ないのですが時として歯に関係
する感染から命に関わるような
非常に重篤な感染を引き起こし、
口腔外科を受診される方が1年
に何人かいます。そのほとんど
が、糖尿病や腎不全などの基礎
疾患を持ち、抵抗力が低下して
いる人ということですから抵抗
力、すなわち免疫力が落ちない
ように生活習慣を改めたり規則
正しい生活を送るなどの方法を
考えるのが先決でしょう。ただ
もう既に、免疫力の力が低下し
ていて、病気も進行している時
には、何とか命が助かるように
感染症の治療に、全力をあげる
必要があります。

 木曽の山奥でダムの基礎を作
る。笑











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