診療マル秘裏話  号外Vol.1276 平成30年9月9日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)慢性活動性EBウイルス感染症の発症する仕組み解明
2)マイクロRNA全身投与で、炎症性腸疾患マウス治療成功















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 慢性活動性EBウイルス感染症の発症する仕組み解明











 東京医科歯科大学の新井文子
准教授らのグループは希少疾患
である「慢性活動性EBウイル
ス感染症(CAEBV)」が発
症する仕組みを突き止めました。
患者さんの細胞中で「STAT
3」という転写因子が活性化し
ていること、ヤヌスキナーゼ(
JAK)という酵素を阻害する
薬剤が有効であることを証明し
ました。造血幹細胞移植が必要
で、有効な薬剤が存在しないC
AEBVの化学療法が実現する
可能性があります。

 CAEBVは、リンパ球の一
種であるT細胞やNK細胞に「
EBウイルス」が感染して徐々
に腫瘍化し炎症が続く疾患です。
EBウイルス自体は多くの成人
にみられる一般的なウイルスで、
通常は同じくリンパ球に属する
B細胞に潜伏するだけで疾患に
はつながりません。なぜ一部の
ケースでT細胞やNK細胞にま
で感染するのか不明でした。

 STAT3は細胞の生存を促
す一方、炎症の発症に関与する
性質があります。悪性リンパ腫
でも活性化することが報告され
ていたため、研究グループはC
AEBVとの間に関係があると
判断して実験を進めました。

 CAEBV患者の細胞を解析
した結果、EBウイルスに感染
した細胞があること、更に感染
細胞ではSTAT3が強く活性
化していることも分かりました。
ただSTAT3遺伝子そのもの
には異常がなく、活性化してい
る理由が分かりませんでした。
そこで次に、患者さんの細胞中
に存在するJAKがSTA3を
活性化させていると考えました。

 EBウイルスに感染したT細
胞およびNK細胞にJAK阻害
剤を加えた所、狙い通りSTA
T3の活性を抑えることができ
ました。また炎症の原因物質で
あるサイトカインの産出も減り
ました。JAK阻害剤がCAE
BV治療薬として有効である事
が示唆されました。

 研究成果は科学誌「Onco
target(オンコターゲッ
ト)」オンライン版に掲載され
ました。

慢性活動性EBウイルス感染症

の声優の患者さんについて報道

している動画です。

 

 

 

 



 サイトカインの産出量につい
て算出した。笑

















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2】 マイクロRNA全身投与で、炎症性腸疾患マウス治療成功













 大阪大学は8月10日、炎症性
サイトカインを抑えることが知
られているマイクロRNA の全身
投与によって炎症性腸疾患(IB
D )を罹患したマウスの治療に
成功したと発表しました。この
研究は、同大大学院医学系研究
科の山本浩文教授(消化器外科
学/保健学科分子病理学)と水
島恒和寄附講座教授(炎症性腸
疾患治療学)らの研究グループ
によるものです。研究成果は「
Molecular Therapy-Nucleic Ac
ids」に掲載されています。

国内で、クローン病や潰瘍性大
腸炎などのIBD に悩まされる患
者数は上昇の一途をたどってい
ます。これらの疾患は、TNF α
やIL6 を含むさまざまな炎症性
サイトカインが腸管壁を傷害し
て発症するため、サイトカイン
のシグナル経路が治療の標的に
なります。抗サイトカイン療法
やサリチル酸やステロイドなど
の古典的な薬物治療によって一
時的に緩解を得られる場合もあ
りますが、再発などのために外
科治療が必要になるケースも後
を絶たず、新たな治療法の開発
が継続的に求められています。
これらの炎症性サイトカインの
産生を抑制するマイクロRNA は
複数明らかとなっていますが、
マイクロRNA を安定して効率よ
く患部に送達する方法はありま
せんでした。これまでに研究グ
ループは固形がんの治療法開発
において、マイクロRNA 等の核
酸をスーパーアパタイトのナノ
粒子と結合させる「スーパーア
パタイト法」を用いた、優れた
核酸デリバリー効果を報告して
きました。今回の研究では、2
%デキストラン硫酸ナトリウム
(DSS )水溶液の自由給水によ
りIBD モデルマウスを作製し、
炎症性サイトカインの産生を抑
制することが知られているマイ
クロRNA(miR)-29aおよびmiR-
29b に着目し、効果を検証しま
した。同法を用いてmiR-29a ま
たはmiR-29bをIBDモデルマウス
に全身投与したところ、マイク
ロRNA が炎症腸管にあまり集積
しないにも関わらず、炎症性サ
イトカインが減少し腸炎の予防
と予想以上の治療効果が示され
ました。さらにマウスの腸管を
調べたところ、スーパーアパタ
イトに搭載したマイクロRNA が
効率よく炎症腸管の樹状細胞に
送達され、炎症性サイトカイン
の産生を抑制していることが明
らかとなりました。

今回の結果から、スーパーアパ
タイト法が炎症部位の樹状細胞
へと核酸医薬を輸送する特異な
ドラッグデリバリーシステム(
DDS )として機能し、炎症反応
を分子レベルで抑える事で腸炎
の予防・治療効果を示すことが
明らかとなりました。スーパー
アパタイト法は、炎症性腸疾患
はもとより、炎症反応が関与す
るさまざまな疾病に対する応用
が可能で、これらの疾病に対す
る新たな治療薬の開発が期待さ
れる、と研究グループは述べて
います。

炎症性腸疾患の増加について、

解説している動画です。

 

 

 

 



 昨日の機能を装備する。笑














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編集後記




 希少疾患である「慢性活動性
EBウイルス感染症(CAEB
V)」が発症する仕組みを突き
止めたのは、偉大な業績です。
しかも、治療薬としてヤヌスキ
ナーゼ(JAK)という酵素を
阻害する薬剤が有効であること
を証明したということですから
一見、明るい希望を灯す結果で
あると言うように見えます。し
かし、ヤヌスキナーゼ阻害剤は、
ゼルヤンツという商品名で添付
文章には、以下のような警告が
書かれているということを忘れ
てはなりません。「本剤投与に
より結核、肺炎、敗血症、ウイ
ルス感染等による重篤な感染症
の新たな発現もしくは悪化等が
報告されており、本剤との関連
性は明らかではないが悪性腫瘍
の発現も報告されている。本剤
が疾病を完治させる薬剤でない
ことも含めこれらの情報を患者
に十分説明し、患者が理解した
ことを確認した上で、治療上の
有益性が危険性を上回ると判断
される場合にのみ投与すること」
 炎症性サイトカインを抑える
ことが知られているマイクロRN
A の全身投与によって炎症性腸
疾患(IBD )を罹患したマウス
の治療に成功したと発表したの
は偉大な業績です。マイクロRN
A 等の核酸をスーパーアパタイ
トのナノ粒子と結合させる「ス
ーパーアパタイト法」を用いた、
優れた核酸デリバリー効果につ
いて報告しているチームがその
効果を使った方法で、炎症性腸
疾患(IBD )を罹患したマウス
の治療に成功ということですか
ら本当に素晴らしいとしか言い
ようのない気がしました。スー
パーアパタイト法が炎症部位の
樹状細胞へと核酸医薬を輸送す
る特異なドラッグデリバリーシ
ステム(DDS )として機能し、
炎症反応を分子レベルで抑える
事で腸炎の予防・治療効果を示
すことが分かり炎症反応が関与
する、様々な疾病に対する応用
が可能ということです。 その
ため、これらの疾病に対する新
たな治療薬の開発について大い
に期待したいと思います。

 特異なドラッグデリバリーシ
ステムの開発に得意になる。笑
















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