診療マル秘裏話  号外Vol.1299 平成30年10月6日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)炎症性腸疾患の疾患活動性マーカー(LRG )を発見
2)音声特徴を機械が学習する事で認知症の検出可















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 炎症性腸疾患の疾患活動性マーカー(LRG )を発見











 医薬基盤・健康・栄養研究所
(NIBIOHN )は9月10日、炎症
性腸疾患の疾患活動性マーカー
として、ロイシンリッチα2グ
リコプロテイン(LRG )を発見
したと発表しました。この成果
は、同研究所免疫シグナルプロ
ジェクトの仲哲治プロジェクト
リーダーが、慶應義塾大学医学
部、大阪大学大学院医学系研究
科、東京医科歯科大学消化器内
科らの共同研究によるものです。


炎症性腸疾患は、腸管に慢性・
再発性の炎症を引き起こす原因
不明の難病で、潰瘍性大腸炎と
クローン病に大別され、厚生労
働省により指定難病に定められ
ています。標準的治療としては、
5-アミノサリチル酸製剤やステ
ロイド製剤、免疫調節薬が使用
されてきましたが、近年生物学
的製剤である抗TNF-α抗体製剤
の導入により、劇的に治療成積
が向上しました。 内視鏡的に
炎症がない状態である粘膜治癒
も達成可能となりました。現在
の治療指針としては、各種薬剤
を適切に組み合わせ、粘膜治癒
をもたらすことが病勢のコント
ロールと再燃予防に重要とされ
ていますが、粘膜病変の活動性
を反映する有用なバイオマーカ
ーがないことが、炎症性腸疾患
治療の障壁となっていました。

研究グループと積水メディカル
株式会社は、LRG の迅速な定量
法を開発・実用化するため、「
炎症性腸疾患の疾患活動性評価
の血清バイオマーカー」の開発
に着手しました。臨床性能試験
の結果、炎症性腸疾患の疾患活
動性を評価する上で血清LRG が
有用であることが認められたた
め、2016年3月31日に厚生労働
省に、体外診断用医薬品として
製造販売承認申請を行い、2018
年8月21日付けで製造販売承認
取得に至ったということです。

今回共同開発した炎症性腸疾患
の疾患活動性を迅速に測定する
LRG 測定方法は、患者さんから
採取した少量の血液を用いて、
血清中のLRG の濃度を、ラテッ
クス免疫比濁法とよばれる測定
方法により数分で測定するもの
です。この測定は検査施設を持
つ病院で実施可能で、その日の
診察の間に結果を得ることがで
きるということです。

血液中のLRG 濃度は従来の血液
マーカーよりも内視鏡検査によ
る疾患活動性評価と非常に強く
相関するため、治療に伴う疾患
活動性の変化を簡便かつ適切に
評価でき、不要な内視鏡検査を
回避することや、治療薬の増減
や変更を判断することが容易に
なります。さらに炎症性腸疾患
以外にも、バイオ製剤使用時の
関節リウマチなど、さまざまな
炎症性疾患への応用が可能にな
るとして、今後の研究に期待が
寄せられます。なお、これら一
連の研究は、日本医療研究開発
機構(AMED)難治性疾患実用化
研究事業の支援を受けて実施さ
れました。

炎症性腸疾患について解説して

いる動画です。

 

 

 

 



 簡便かつ適切に評価すること
は、勘弁願いたい。笑













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2】 音声特徴を機械が学習する事で認知症の検出可














 大阪大学は9月8日、コンピュ
ーター上のアバターが、発する
簡単な質問に対し、高齢者が答
えた音声特徴を機械が学習する
ことで、認知症の検出ができる
ことを世界で初めて明らかにし
たと発表しました。この研究は、
同大大学院医学系研究科(キャ
ンパスライフ健康支援センター
/精神医学)の工藤 喬教授、
足立浩祥准教授、奈良先端科学
技術大学院 大学先端科学技術
研究科の中村哲教授、田中宏季
助教らの研究グループによるも
のです。研究成果は神戸で開催
された精神医学分野の国際会議
「WFSBP Asia Pacific Regiona
l Congress of Biological Psy
chiatry」で発表されています。

これまで認知症診断は、世界的
に臨床現場で行われている簡易
認知症検査「MMSE」などの認知
機能検査あるいは画像検査など
病院で行う大掛かりな検査によ
り行われてきました。 しかし
今後、高齢化に伴い、認知症の
急増が予想されることから手軽
にできる認知症検査が求められ
ています。

研究グループでは、早期の認知
症傾向を検出するための手軽に
できる認知症検査として、アバ
ターによる質問機能をもつシス
テムの開発を行ってきました。
これまでの研究では、神経心理
学に基づいた質問によるものが
ほとんどでしたが、日常的に同
じ質問を利用すると検出精度が
劣化するため、新たなアルゴリ
ズムやデータ解析法を用いて高
精度に認知症傾向を検出できる
方法を検討しました。

工藤教授らは12名の認知症患者
さん、および12名の非認知症者
のアバターとの対話収録を実施
しました。 認知症患者さんは
診断基準DSM-IVに従って、精神
科医師より、認知症であるとの
診断を受けています。研究では、
神経心理検査に、基づいた固定
質問と、特定の検査に基づかな
い非定型質問を設定しました。
収録したデータに対し、音声、
言語、画像特徴量を夫々抽出し、
これらの特徴量から、機械学習
により、認知症患者と非認知症
者を分類するためのモデルを学
習させました。その結果、アバ
ターの質問の種類による応答遅
れ、イントネーションの幅、発
声の明瞭さ、発話文の中での動
詞の使用頻度の違いなどの特徴
を組み合わせることで、92%と
いう高い精度で認知症と非認知
症を正しく区別できることが明
らかになったということです。

この技術を発展させることによ
り、高齢者が家にいながら、日
常的にアバターとの会話をして
いくことで、早期に認知症傾向
を知ることができ、医療機関へ
の早期受診、早期診断に繋げて
いくことが可能となります。高
齢化に伴う認知症の急増に備え、
気軽にできる認知症検査は社会
に大きな意義をもたらすと研究
グループは述べています。

 大きな意義に異議なし。笑














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編集後記




 炎症性腸疾患の疾患活動性マ
ーカーとして、ロイシンリッチ
α2グリコプロテイン(LRG )
を発見したと発表したのは画期
的な業績です。 血液中のLRG 
濃度は従来の血液マーカーより
も内視鏡検査による疾患活動性
評価と非常に強く相関するため、
治療に伴う疾患活動性の変化を
簡便かつ適切に評価でき、不要
な内視鏡検査を回避することや、
治療薬の増減や変更を判断する
ことが容易になったということ
が素晴らしい点ですね。内視鏡
検査は、大量の下剤をかけた後
長い絶食をしなければならず、
患者さんの身体に大きな負担と
なります。内視鏡検査の頻度を
少なくして、適切な治療が行わ
れるならその方が望ましいと言
えるでしょう。
 コンピューター上のアバター
が、発する簡単な質問に対し、
高齢者が答えた音声特徴を機械
が学習することで認知症の検出
ができることを世界で初めて明
らかにしたと発表したのは偉大
な業績です。しかし、高齢者で
はなく、若年性認知症という、
病気もあるので、高齢者が答え
たと言う所は、認知症が疑われ
る人が答えたと言うべきでしょ
う。若年性認知症の割合が低い
ので、高齢者と言ってしまった
のでしょうが、逆に若年性認知
症の検出ができなければ、片手
落ちと言わざるを得ません。早
期に認知症傾向を知ることがで
き、医療機関への早期受診、早
期診断に繋げていくことに注力
して頂きたいものです。

 恒例の高齢者の認知症検査が
行われる。笑












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