診療マル秘裏話  号外Vol.1303 平成30年10月11日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)柑橘系の果物含有の匂いが,オレンジ色の記憶抑制
2)多発性硬化症の病態の新免疫細胞の役割と機序















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 柑橘系の果物含有の匂いが,オレンジ色の記憶抑制











 九州大学は9月14日、柑橘系
の果物に含まれる匂いが、オレ
ンジ色を覚えにくくする効果が
あるという研究結果を発表しま
した。 この研究は、同大基幹
教育院の田村かおり特任助教、
岡本剛准教授、システム生命科
学府一貫制博士5年濱川昌之大
学院生らによるものです。研究
成果は、「PLOS ONE」オンライ
ン版にて公開されています。

今回の実験では、柑橘系の果物
に含まれる「デカナール」とい
う匂い物質を使用しました。実
験参加者は、この匂いがある時
(匂い条件)と無いとき(無臭
条件)の2つの条件で、オレン
ジ、ピンク、グリーン、ブルー
に関する色短期記憶課題を実施
しました。記憶想起時の脳波を
計測し、脳活動の瞬間的な電気
的変動を表す「事象関連電位P3
成分」を解析しました。 その
結果、匂い条件下で、無臭時と
比べてオレンジ色に対する成績
が下がることが明らかとなりま
した。 また、匂い条件下では、
オレンジ色に対するP3が低い振
幅を示すことも分かりました。
前頭部に出現するP3は、情報に
対する注意と関連することが知
られています。 今回の研究の
結果から、柑橘系に含まれる匂
いを嗅いだ時、同じく柑橘と関
連する「オレンジ色」への注意
や記憶成績が抑制されることが
示唆されました。

今回の研究で得られた知見は、
嗅覚情報が、特定の視覚情報に
影響を与える可能性を示唆して
おり複数感覚の統合機構の解明
に役立つことが期待されます。
今後は、匂いを使った効果的な
広告や、学習教材などの開発が
可能になることも考えられます。

研究グループは「実験前は柑橘
由来の匂いはオレンジ色の記憶
を高めるはずだと予想していた
が、見事に裏切られてしまった。
安易に匂いをつけた広告は、逆
効果になるかもしれない」と述
べています。

レモンの精油について解説して

いる動画です。

 

 

 

 



 予想に反することは、止そう。

















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2】 多発性硬化症の病態の新免疫細胞の役割と機序














 京都大学は9月13日、多発性
硬化症の病態における、新たな
免疫細胞の役割とその作用機序
の一端を明らかにしたと発表し
ました。この研究は、同大学大
学院 薬学研究科の白川久志准
教授、金子周司教授、筒井真人
薬学部生(現・日本たばこ産業
医薬事業部研究員)、平瀬僚薬
学部生(現・マルホ株式会社探
索研究部研究員)、宮村咲映薬
学部生らの研究グループによる
ものです。 研究成果は、国際
学術誌「Journal of Neuroscie
nce」に掲載されました。

多発性硬化症は運動麻痺や感覚
障害、視力障害、排尿・排便機
能障害、精神症状などの様々な
神経症状が現れる難治性の神経
疾患です。詳細な原因は分かっ
ていませんが、神経細胞の軸索
を覆っている髄鞘(ミエリン鞘)
がリンパ球の攻撃により障害を
受けることで発症する脱髄性の
自己免疫疾患と考えられていま
す。研究グループは、マウスを
使って多発性硬化症の病態モデ
ルを作成しました。神経炎症お
よび脱髄の発生・増悪メカニズ
ムを調べたところ、中枢神経系
の神経炎症脱髄部位にマクロフ
ァージが集まっており、ケモカ
インのCXCL2 を過剰に産生して
好中球をその部位に大量に呼び
寄せることで、さらなる神経炎
症の増悪を引き起こしている事
を見出しました。また、そのマ
クロファージに発現する、活性
酸素種感受性のCa2+透過性陽イ
オンチャネルのTRPM2 (トリッ
プエム2 )を抑制すると、その
増悪が抑えられることも明らか
にしたということです。

今回の発見により、マクロファ
ージ活性化に伴うケモカインCX
CL2 の産生・遊離、それに伴う
好中球浸潤という、多発性硬化
症の病態における、新たな免疫
細胞の役割とその作用機序の一
端が明らかとなりました。研究
グループは、「活性酸素種感受
性チャネルであるTRPM2 の阻害
や、マクロファージによる好中
球浸潤の抑制が、多発性硬化症
の新たな治療法の開発につなが
ることが期待される」と述べて
います。

多発性硬化症について解説して

いる動画です。

 

 

 

 



 酸性物質の産生に関与する。

















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編集後記




 柑橘系の果物に含まれる匂い
が、オレンジ色を覚えにくくす
る効果があるという研究結果を
発表したのは、非常に興味深い
業績です。感覚を統合する際の
感覚の減弱について調べた調査
は、今までなかったと記憶して
います。今回の研究で得られた
知見は、嗅覚情報が特定の視覚
情報に影響を与える、可能性を
示唆しており、複数感覚の統合
機構の解明に是非役立てて頂き
たいものです。安易に匂いをつ
けた広告は、逆効果になるかも
しれないという所までは考えが
およびませんでした。
 多発性硬化症の病態における、
新たな免疫細胞の役割と、その
作用機序の一端を明らかにした
と発表したのは素晴らしい業績
です。 多発性硬化症は、自己
免疫性疾患であると認識してい
るので今回の発見でマクロファ
ージ活性化に伴うケモカインCX
CL2 の産生・遊離、それに伴う
好中球浸潤という、多発性硬化
症の病態における、新たな免疫
細胞の役割とその作用機序の一
端が明らかになったのは本当に
良かったです。できるだけ早く
多発性硬化症の治療につながる
成果となるよう期待したいと思
います。

 盛夏に生家で、仕事の成果を
出す。笑
















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