診療マル秘裏話  号外Vol.1462 平成31年4月14日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)肝臓での小胞体ストレスとそれに対する応答に注目
2)ミトコンドリア病の特徴や、治療法、新薬の開発状況















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 肝臓での小胞体ストレスとそれに対する応答に注目













 東京大学は3月19日、絶食・
摂食で大きく変化する肝臓での
小胞体ストレスとそれに対する
応答に注目し、Sdf2l1という分
子の果たす役割を明らかにした
と発表しました。 この研究は、
同大大学院医学系研究科 分子
糖尿病科学講座の笹子敬洋特任
助教、同糖尿病・生活習慣病予
防講座の門脇孝特任教授、国立
国際医療研究センター研究所糖
尿病研究センターの植木浩二郎
センター長らのグループによる
ものです。研究成果は、「Natu
re Communications 」に掲載さ
れています。

肝臓での代謝は絶食時と摂食時
で大きく変化しますが、その生
理的意義や調節機構、またその
破綻がいかに種々の疾患の病態
形成に寄与するかについては、
これまで十分解明されていませ
んでした。研究グループはまず、
マウスの実験で摂食により肝臓
で小胞体ストレスが、一時的に
惹起されることを見出しました。
さらに詳しく調べたところ、複
数の小胞体ストレス関連遺伝子
の中でも、特に「Sdf2l1」とい
う遺伝子の発現が大きく上昇し
ていました。Sdf2l1は小胞体ス
トレスに応答して転写が誘導さ
れます。そこで、その発現を低
下させてみると、小胞体ストレ
スが過剰となり、インスリンの
効きが悪くなるインスリン抵抗
性や脂肪肝が生じました。

また、肥満・糖尿病のモデルマ
ウスではSdf2l1の発現誘導が低
下していましたが、発現を補充
するとインスリン抵抗性や脂肪
肝が改善しました。加えて、ヒ
トの糖尿病症例の肝臓において、
Sdf2l1の発現誘導がインスリン
抵抗性や脂肪性肝炎の病期の進
行と相関する事が示されました。

これらの結果から、摂食に伴う
小胞体ストレスに対する適切な
応答が重要であるとともに、そ
の応答不全が糖尿病・脂肪性肝
炎の原因となることが明らかに
なりました。今後は、Sdf2l1や
その発現量が、糖尿病・脂肪性
肝炎の治療標的やバイオマーカ
ーとなることが期待されます。
研究グループは、「元はマウス
での検討から始まった研究だが、
目の前の患者の病態解明につな
がる結果も、得ることができた
ように思う」と、述べています。

小胞体:細胞質内に網目状に連
なる膜性の袋状細胞小器官。扁
平・小胞・小管など種々の形を
とり、蛋白質合成、脂質代謝お
よび細胞内物質輸送などの機能
をもつ。表面にリボソームが多
数付着した粗面小胞体と、これ
を欠く滑面小胞体がある。

小胞体ストレス:小胞体で蛋白質が
正常に折りたたまれなかった場
合、誤った蛋白質(変性蛋白質)
が蓄積することによって引き起
こされる現象は、小胞体ストレ
ス(ERストレス)と呼ばれ、小
胞体ストレス応答(UPR:unfol
ded protein response)と呼ば
れる、いくつかのシグナル伝達
経路の活性化が引き起こされま
す。小胞体ストレスは、パーキ
ンソン病やアルツハイマー病等
の神経変性疾患、炎症や癌等に
関与する事が報告されています。

NASHを早期発見する方法につ

いての動画です。

 

 

 

 



 毛色を動物の調達経路によっ
て確かめる。笑















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2】 ミトコンドリア病の特徴や、治療法、新薬の開発状況















 ミトコンドリア病は、体内の
細胞で必要なエネルギーを作り
出すミトコンドリアに異常が生
じ、心臓や骨格筋、神経の機能
が低下する難病です。治療法は
対症療法が中心ですが、新薬の
開発も進んでおり、一筋の光も
見えています。 千葉県こども
病院(千葉市)代謝科部長の村
山圭医師に、病気の特徴や治療
法、新薬の開発状況などについ
て聞きました。ミトコンドリア
病になると、体の設計図である
DNAに変異が生じ、ミトコン
ドリアの働きが悪くなります。
ミトコンドリアは各臓器の細胞
にあり、どの臓器で異常が起き
るかによって症状は異なります
が、大量のエネルギーを必要と
する脳や筋肉などに症状が表れ
やすいとされています。

 国内患者数は5000人に1人と
推定されています。2009年に国
の指定難病になり、認定患者数
は約1400人です。

 村山医師は「把握できている
患者数は少な過ぎる印象があり、
実際にはその10倍以上と考えら
れます。診断されていない潜在
患者さんが多いとみられ、特に
糖尿病患者の1%はミトコンド
リア病との関連が疑われます」
と説明しています。

 幾つかの病型に分類されるう
ちで最も多いのがミトコンドリ
ア脳筋症(MELAS)で学童
期に急激な意識障害や筋力低下、
脳卒中発作を発症するのが特徴
です。患者数でミトコンドリア
脳筋症に匹敵するリー脳症は、
乳幼児期にけいれん、精神運動
発達遅滞、筋力低下などが見ら
れます。新生児・乳児ミトコン
ドリア病は、2分の1が生後1
年以内に死に至る重篤なタイプ
です。

 この病気は母親の遺伝子が子
どもに受け継がれて発症する母
系遺伝のみである、との誤解が
ありますが、村山医師は「発症
するのは母系遺伝とは限りませ
ん。確かにミトコンドリアDN
Aは母親から子どもへ伝わるの
で母系遺伝する場合もあります
が、実際は両親から受け継がれ
る核DNAの異常による発症の
方がはるかに多い」と強調して
います。治療法は、薬で発熱や
けいれん、高血糖を抑えるなど
の対症療法が中心です。しかし、
村山医師によると、近年、製薬
企業や医師主導の臨床試験が進
められているということです。
ミトコンドリア脳筋症の脳卒中
発作の治療と予防を目的とする
タウリンやアルギニンの使用が
検討されており、さらにミトコ
ンドリアの機能低下により発生
する酸化ストレスを除去する新
薬(開発コード・EPI―74
3)や、ミトコンドリアの酵素
自体を強化する薬(同・5―A
LA)などが開発中で、より効
果的な治療法の登場が期待され
ています。

ミトコンドリア病の症状と治療

について解説している動画です。

 

 

 

 


 
 凶兆が起こることを強調する。
















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編集後記




 絶食・摂食で大きく変化する
肝臓での小胞体ストレスとそれ
に対する応答に注目し、Sdf2l1
という分子の果たす役割を明ら
かにしたと発表したのは素晴ら
しい業績です。いきなり小胞体
とか、小胞体ストレスと言って
も敬遠されるだけだと思いまし
たので、脚注をつけさせて頂き
ました。マウスの実験で摂食に
より肝臓で小胞体ストレスが、
一時的に惹起されることを見出
し、さらに詳しく調べたところ、
複数の小胞体ストレス関連遺伝
子の中でも、特に「Sdf2l1」と
いう遺伝子の発現が大きく上昇
していたということです。Sdf2
l1は小胞体ストレスに応答して
転写が誘導され、その発現を低
下させてみると、小胞体ストレ
スが過剰となり、インスリンの
効きが悪くなるインスリン抵抗
性や脂肪肝が生じたということ
です。今後はSdf2l1やその発現
量が糖尿病・脂肪性肝炎の治療
標的やバイオマーカーとなる事
を期待したいと思います。
 ミトコンドリア病は、体内の
細胞で必要なエネルギーを作り
出すミトコンドリアに異常が生
じ、心臓や骨格筋、神経の機能
が低下する難病で治療法は対症
療法が中心ですが、新薬の開発
も進んでいるということです。
具体的には、ミトコンドリア脳
筋症の脳卒中発作の治療と予防
を目的とするタウリンやアルギ
ニンの使用が検討されており、
さらに、ミトコンドリアの機能
低下により発生する酸化ストレ
スを除去する新薬(開発コード・
EPI―743)や、ミトコン
ドリアの酵素自体を強化する薬
(同・5―ALA)などが開発
中でより効果的な治療法の登場
が期待されているということで
一昔前の打つ手なしという状況
では、なくなっているようです。
ただ開発中の薬(新薬)をすぐ
に実臨床で使う訳にはいかず、
手順を踏んで、臨床研究や臨床
試験を行ってから、安全性を考
えて一般の人に投与となること
は、間違いありません。

 東条さんが登場し、飛行機に
搭乗した。笑


















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