診療マル秘裏話  号外Vol.1647 令和1年11月16日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)早期アルツハイマー病の新薬候補が、FDAに承認見通し
2)炎症なしの血管から皮膚への抗体移行のメカニズム















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】早期アルツハイマー病の新薬候補が、FDAに承認見通し












 戦略提携を結んでいる米製薬
バイオジェンとエーザイが共同
開発している早期アルツハイマ
ー病に対する新薬候補「アデュ
カヌマブ」について、2020年の
早期に米国食品医薬品局(FD
A)に承認申請できる見通しと
なりました。 今年3月に最終
治験の中止が発表されましたが、
その後の大規模解析で認知機能
の悪化を有意に抑える効果が確
認されました。承認に至れば認
知症を抑える世界初の新薬にな
ります。

 両社の共同プロジェクトは別
の新薬候補の治験中止も9月に
公表され開発計画に黄信号が灯
っていましたが、アデュカヌマ
ブが承認申請に進むことで状況
は一変します。欧州や日本でも
規制当局との協議を経て承認申
請に持ち込む考えで、一気に実
用化の道筋が見えてきました。

 アルツハイマー病は脳内に蛋
白質のアミロイド・ベータ(A
β)が蓄積することが原因とさ
れています。アデュカヌマブは
Aβが凝集しはじめ不溶性の凝
集体になるまでの広いプロセス
に働きかける抗体医薬品です。
Aβを除去することで記憶や言
語などの認知機能が悪化するの
を抑える効果を狙っています。

 外部監視委員会は治験を進め
ることで有益性が得られるかど
うかを判断する途中解析で主要
評価項目を達成できないだろう
と勧告し、両社は治験中止を3
月に発表していました。その後、
FDAとの相談のもと、追加デ
ータを含め大規模に症例を解析
した結果、体重1キログラム当
たり10ミリグラムを月1回投与
する高用量群はプラセボに比較
して症状悪化を統計学的に有意
に抑制していることが示されま
した。

 アルツハイマー病など認知症
は症状悪化を抑える有効な治療
薬が存在しないのが実状です。
一方で高齢化の進展で患者数は
世界で増大する見通しで、認知
症対策が国際社会の大きな課題
です。 新薬ニーズの高さから
製薬大手が開発参入してきまし
たが、ことごとく治験に失敗し
てきました。

 バイオジェンとエーザイはア
デュカヌマブの承認申請に進む
ことで認知症新薬の開発競争で
大きく先行します。両社は別の
抗体医薬でも最終治験に入って
います。

このニュースのニュース動画で

す。

 

 

 



 神聖な心持ちで申請を行う。
             笑
















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2】 炎症なしの血管から皮膚への抗体移行のメカニズム













 京都大学は10月21日、炎症の
ない状態の血管から皮膚への抗
体移行のメカニズムはカベオラ
による小胞輸送を利用し、チロ
シンキナーゼのひとつであるAb
l ファミリーチロシンキナーゼ
により制御されること、Abl フ
ァミリーチロシンキナーゼ阻害
薬は皮膚への抗体移行を阻害し
疾患モデルマウスの症状を抑制
しうることを見出したと発表し
ました。この研究は、同大学大
学院医学研究科皮膚科学講座の
椛島健治教授、江川形平同助教、
小野さち子同日本学術振興会特
別研究員らの研究グループによ
るものです。研究成果は、「Na
ture Communications 」にオン
ライン掲載されました。

 皮膚に水ぶくれを生じる「自
己免疫性水疱症」の一群は皮膚
の接着分子などに自己抗体が産
生され、血中を循環し、皮膚へ
沈着することで発症します。自
己抗体や自然抗体をふくむ免疫
グロブリンG(IgG)はリンパ組
織で作られ、血中へ入った後、
末梢組織である皮膚やさまざま
な臓器に分布します。生体内で
自己抗体を含むIgG が、どのよ
うに血中から組織へ分布するか
の詳細は未解明でした。IgG の
レセプター分子が血管壁を介し
た抗体の輸送に関わることは昔
から想定されており、近年では
Abl ファミリーチロシンキナー
ゼが炎症下での血管の透過性を
制御しうる可能性が高いことが、
脳梗塞や肺炎モデル、アレルギ
ーモデルで支持されていました。
また、研究グループは、炎症の
ある皮膚への自己抗体の移行や、
胎盤を介した胎児への自己抗体
の移行に着目し、研究を進めて
きていました。こうした背景か
ら、今回研究グループは、これ
までの研究を発展させ、皮膚へ
の抗体の輸送という観点で、Ig
G のレセプター分子やAbl ファ
ミリーチロシンキナーゼの血管
壁バリア機能の制御作用を検討
しました。

 自己免疫性水疱症のひとつで
ある天疱瘡の自己抗体をマウス
に静脈注射すると、マウスの皮
膚には天疱瘡の自己抗体の沈着
が生じ、最終的に脱毛が生じま
す。これは、天疱瘡患者の皮膚
で水ぶくれが生じるのと同じよ
うな機序が想定されます。そこ
で今回の研究では、このマウス
モデルを用いて、自己抗体の血
中から皮膚への輸送を定量的に
評価する手法を確立しました。
同手法を用いて自己抗体の皮膚
への輸送は、時間ならびに血中
濃度依存的に生じることを確認
しました。さらに、自己抗体の
皮膚への輸送がIgG のレセプタ
ー分子、あるいは、Abl ファミ
リーチロシンキナーゼによって
制御されるかどうかを、阻害抗
体やノックアウトマウス、代表
的なAbl ファミリーチロシンキ
ナーゼ阻害薬である「イマチニ
ブ」を用いて、比較・検討しま
した。

 その結果、定常下での血管か
ら皮膚への抗体移行において、
既存のIgG レセプター分子は、
必要ないこと、輸送はカベオラ
という小胞構造を利用するもの
であること、カベオラの機能は
Abl ファミリーチロシンキナー
ゼにより制御されることなどが
明らかになりました。また、イ
マチニブは、皮膚への抗体移行
を阻害することで、天疱瘡モデ
ルマウスにおける脱毛の発症の
程度を軽減しうることが分かり
ました。今回の成果を基盤とし
て、現在、自己免疫性水疱症(
水疱性類天疱瘡)に対するイマ
チニブの臨床治験が同大医学部
附属病院皮膚科で行われていま
す。

天疱瘡の症状と治療について

解説している動画です。

 

 

 

 



 自己免疫性水疱症の研究が、
水泡に帰す。       笑















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編集後記



 戦略提携を結んでいる米製薬
バイオジェンとエーザイが共同
開発している早期アルツハイマ
ー病に対する新薬候補「アデュ
カヌマブ」について、2020年の
早期に米国食品医薬品局(FD
A)に承認申請できる見通しと
なったのは喜ばしいことです。
両社の共同プロジェクトは別の
新薬候補の治験中止も、9月に
公表され開発計画に黄信号が灯
っていたことを考えると承認の
見通しがたったのは、奇跡的と
言えるでしょう。 ほとんどの
製薬会社が早期アルツハイマー
病に対する薬剤から撤退してゆ
く中、快挙と言えるものだと思
います。アルツハイマー病など
認知症は症状悪化を抑える有効
な治療薬が存在しないのが実状
です。一方で、高齢化の進展で
患者数は世界で増大する見通し
で、認知症対策が国際社会の大
きな課題となっているのでこの
新薬候補が最終治験を無事終え
れば、素晴らしい薬の誕生と言
っても過言ではないと思います。
 京都大学が10月21日、炎症の
ない状態の血管から皮膚への抗
体移行のメカニズムはカベオラ
による小胞輸送を利用し、チロ
シンキナーゼのひとつであるAb
l ファミリーチロシンキナーゼ
により制御されること、Abl フ
ァミリーチロシンキナーゼ阻害
薬は皮膚への抗体移行を阻害し
疾患モデルマウスの症状を抑制
しうることを見出したと発表し
たのは、偉大な業績です。皮膚
に水ぶくれを生じる「自己免疫
性水疱症」の一群は皮膚の接着
分子などに自己抗体が産生され、
血中を循環し、皮膚へ沈着する
ことで発症し、自己抗体や自然
抗体をふくむ、免疫グロブリン
G(IgG)はリンパ組織で作られ、
血中へ入った後、末梢組織であ
る皮膚やさまざまな臓器に分布
するということも初耳でした。
イマチニブは皮膚への抗体移行
を阻害することで、天疱瘡モデ
ルマウスにおける脱毛の発症の
程度を軽減しうることが分かっ
たということですから臨床試験
の結果が待ち望まれる所です。

 酸性の液体が産生された。笑


















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