診療マル秘裏話  号外Vol.1657 令和1年11月28日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)ケトン体がもたらす,体脂肪重量の効率的減少効果
2)脂肪幹細胞投与再生医療の実施は研究室前廊下














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】ケトン体がもたらす,体脂肪重量の効率的減少効果












 大東京農工大学は11月1日、
低炭水化物食や断続的断食がも
たらす体脂肪重量の効率的な減
少効果に、飢餓のようなエネル
ギー不足時にグルコースの代替
エネルギー源として産生される
ケトン体の一種であるアセト酢
酸とその受容体、そして腸内環
境の変化が密接に関わっている
ことを明らかにしたと発表しま
した。この研究は、同大大学院
農学研究院応用生命化学部門の
木村郁夫教授らの研究グループ
によるものです。 研究成果は、
米国科学アカデミー紀要(PNAS)
に掲載されています。ケトン体
(主にβ‐ヒドロキシ酪酸とア
セト酢酸)は、飢餓時のような
グルコースが枯渇した状態にお
いて肝臓で産生され、速やかに
脳や他の組織でグルコースの代
わりに利用される、非常に重要
な代替エネルギーとして知られ
ています。このうち、β-ヒドロ
キシ酪酸は単なるエネルギー源
としてだけではなく、G 蛋白質
共役型受容体であるGPR109AやG
PR41を介してシグナル分子とし
て生体生理機能にまで関わるこ
とが、研究グループのこれまで
の報告を含めて明らかにされて
きました。一方で、アセト酢酸
の特異的な受容体は発見されて
いませんでした。また、低炭水
化物食や中鎖脂肪酸食のような
ケトン体産生が誘導されるケト
ン食や断続的断食などは、寿命
の延伸、効率的な減量効果や脳
機能改善など、健康に寄与する
ことがマウス実験から期待され
ていますが、実際にケトン体に
よるその詳細な作用機序は不明
な部分が多く残されていました。
今回研究グループは、モノカル
ボン酸リガンドスクリーニング
という方法により、G 蛋白質共
役型受容体のひとつGPR43 が、
アセト酢酸の受容体であること
を新たに発見しました。本来GP
R43 は、短鎖脂肪酸により活性
化される受容体として知られて
おり、生体のエネルギー代謝や
免疫機能に重要な役割を果たし
ています。 この短鎖脂肪酸は、
食事中に含まれる食物繊維等の
難消化性多糖類から腸内細菌発
酵によって作られる主要代謝物
であることから、短鎖脂肪酸受
容体GPR43 は腸内細菌と宿主を
つなぐ重要な受容体として認識
されてきました。

さらに研究グループは、ケトジ
ェニック環境下、アセト酢酸に
よるGPR43 刺激が、血中のリポ
蛋白質リパーゼの活性を高める
ことで中性脂肪の分解を促進し、
効率的に脂肪酸を組織に取り込
む結果、脂質の利用を高める、
すなわち脂肪の消費を優先的に
進めることを明らかにしました。
通常の状態では、このGPR43 は、
腸内細菌が食事に含まれる食物
繊維を分解して産生する短鎖脂
肪酸によって、腸管及び血中を
介して全身で活性化されていま
す。これが、栄養状態の変化、
すなわち、絶食、低炭水化物食
や断続的断食を行うことにより、
腸内細菌叢が変化し、腸内細菌
により短鎖脂肪酸の産生が腸管
内では著しく減少することを発
見しました。一方で、このよう
なケトジェニック環境において、
血中ケトン体は、通常状態の短
鎖脂肪酸血中濃度の10倍以上に
劇増します。すなわち、ケトジ
ェニック環境下、全身ではアセ
ト酢酸を介しGPR43 は活性化さ
れる一方で、腸管では短鎖脂肪
酸の減少によりGPR43 が抑制さ
れる結果、全身での脂質代謝・
エネルギー利用を亢進し、腸管
では抑制されるという、栄養環
境に依存した効率的エネルギー
利用機構が明らかとなりました。
実際に、野生型マウスで見られ
るような、低炭水化物食や断続
的断食による体重上昇抑制効果
が、Gpr43 遺伝子を欠損させた
マウスにおいて消失することも
確認されました。

今回の研究により、飢餓(絶食)
などのグルコースを正常に利用
できないケトジェニックな環境
や、断続的断食や低炭水化物食
負荷において、腸内環境の変化
や、ケトン体の一種であるアセ
ト酢酸がGPR43 を介して脂質代
謝を制御することで、宿主のエ
ネルギー恒常性に寄与すること
が明らかになりました。これら
の知見は、栄養シグナル分子と
してのケトン体の生体調節機能
における中心的メカニズムを示
唆することにつながります。「
今回の成果は、食事介入や栄養
管理を介した先制医療や予防医
学、さらにはケトン体受容体を
標的とした代謝性疾患治療薬の
開発に寄与する可能性が大いに
期待される」と、研究グループ
は述べています。

ケトジェニックダイエットにつ

いて解説している動画です。

 

 

 



 先生が、先制医療を行うこと
を宣誓する。       笑














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2】 脂肪幹細胞投与再生医療の実施は研究室前廊下













 大阪医科大学(大阪府高槻市)
の講師だった男性医師(52)に
よる無届け再生医療事件で脂肪
幹細胞の人への投与などの再生
医療が実施されたのは、研究室
前の廊下だったことが、大阪医
大への取材で分かりました。つ
いたてを立て、ベッドを設置し
ただけの状態だったということ
です。廊下での医療行為は不衛
生なうえ容体急変に素早く対応
できないリスクもあり、大阪府
警や厚生労働省が経緯を調べて
います。大阪医大によると、元
講師は在職中の3~5月、脂肪
幹細胞を知人や部下ら男女4人
から採取し、培養しました。4
人のうち40歳代の女性1人に対
し、この女性から採取・培養し
た脂肪幹細胞を投与しました。
再生医療を実施する際に必要な
国への届け出などを行っておら
ず、府警が再生医療安全性確保
法違反容疑で捜査しています。

 採取と投与が実施されたのは、
動物実験などを行う研究棟の4
階廊下でした。元講師や部下ら
が共同使用する研究室の前で、
元講師は一時的についたてと医
療用ベッドを設置しました。採
取時には4人をそれぞれベッド
に寝かせ、腹部に局所麻酔をし
て注射器で脂肪組織を吸引して
いました。女性への投与も廊下
のベッドで行いました。

 共同研究室は手狭でベッドが
置けないうえ、元講師は大阪医
大に無断で再生医療を行ったた
めに付属病院の施設を使用でき
ず、廊下を使ったとみられてい
ます。大阪医大は5月29日、内
部通報で問題を把握しました。
2日後、元講師が廊下で5人目
の採取を実施していたのを上司
が見つけ、中止させました。

 厚労省によると、局所麻酔や
点滴投与などは医療行為にあた
り、医療法に基づいて、医療行
為が許される病院や診療所、介
護施設などで実施する必要があ
ります。

このニュースのニュース動画で

す。

 

 

 



 点滴は、子どもの天敵です。















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編集後記




 大東京農工大学が11月1日、
低炭水化物食や断続的断食がも
たらす体脂肪重量の効率的な減
少効果に、飢餓のようなエネル
ギー不足時にグルコースの代替
エネルギー源として産生される
ケトン体の一種であるアセト酢
酸とその受容体、そして腸内環
境の変化が密接に関わっている
ことを明らかにしたと発表した
のは、偉大な業績です。ファス
ティング(断続的断食)をして
いる人で体調の良さや痩身効果
を宣伝している人が多いのは、
そのような過程があるからであ
ると納得しました。今回の成果
で、食事介入や栄養管理を介し
た先制医療や予防医学、さらに
はケトン体受容体を標的とした
代謝性疾患治療薬の開発に寄与
する可能性に大いに期待したい
と思います。
大阪医科大学(大阪府高槻市)
の講師だった男性医師(52)に
よる無届け再生医療事件で脂肪
幹細胞の人への投与などの再生
医療が実施されたのは、研究室
前の廊下だったことが、大阪医
大への取材で分かったというの
は残念なことです。貧弱な医療
環境で行われる再生医療は大変
危険だと思われます。私の所に
も「一緒に再生医療をしません
か?」というお誘いが人を介し
てくることがあります。上記の
事件と同じく貧弱な医療環境で
行おうとする物である場合は、
断固拒否する構えです。骨髄の
幹細胞を直接注入するだけとい
う簡便さを売り物にしていまし
たが、治療成績が芳しくなく幹
細胞の培養についての最新の知
識も余りご存じないことは、明
らかでしたのでお断りしました。

 棄権しないと危険と判断した。















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