診療マル秘裏話  号外Vol.1659 令和1年11月30日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)生薬がカリウムとクロライドの移動で腸水分分泌を増加
2)将来のシワ・たるみを予測する遺伝子領域を発見














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】生薬がカリウムとクロライドの移動で腸水分分泌を増加












 京都府立医科大学は10月29日、
ヒトの大腸上皮細胞において、
漢方便秘薬に含まれる主要な生
薬がカリウムとクロライド(塩
素イオン)を移動させることで
腸の水分分泌を増やすことを発
見したと発表しました。この研
究は、福岡大学医学部の沼田朋
大講師、京都府立医科大学の岡
田泰伸特任教授らの研究グルー
プによるものです。研究成果は、
英科学雑誌「Scientific Repor
ts」オンライン版で掲載されま
した。

 高齢者の約10%が便秘だと感
じているとされ、超高齢社会を
迎えた日本において、慢性便秘
症患者の増加が予想されます。
そのため、便秘解消のために有
効な便通改善成分を持つ薬の開
発が望まれています。

 日本で広く用いられている漢
方便秘薬は、経験的に便通効果
があり副作用も少ないことが知
られていますが、腸の細胞にお
ける水分分泌調節には、どのよ
うなイオンの出し入れを行って
水を動かしているか、どのイオ
ンチャネルを通っているのか、
その分子は分かっていませんで
した。

 今回、研究グループは、漢方
便秘薬に含まれる、主要な生薬
成分の水分分泌能の機能評価に
より、イオン流出路を発見しま
した。また、漢方便秘薬の潤腸
湯や麻子仁丸に含まれるマシニ
ン、キョウニン、トウニン、ダ
イオウのそれぞれが、単独でも
大腸上皮で水分分泌を引き起こ
すことも確認しました。マシニ
ンが嚢胞性繊維症膜コンダクタ
ンス制御因子(cystic fibrosi
s transmembrane conductance
regulator:CFTR )クロライド
チャネルを介してクロライドイ
オン(Cl-)を流出させる一方、
キョウニン、トウニン、ダイオ
ウが大コンダクタンスCa2+活性
化カリウムチャネル(big-cond
uctance Ca2+ -activated K+ch
annel:BK )を介してカリウム
イオン(K+)を流出させること
が明らかになりました。

 これらの生薬成分の組み合わ
せにより、腸の細胞から腸管内
へプラスに荷電したカリウムと
マイナスに荷電したクロライド
が同時的に流出して、効率的に
水の流出をもたらすことが、便
秘改善(緩下)作用をもたらす
メカニズムだと確認しました。
つまり、潤腸湯や麻子仁丸は、
腸の上皮細胞からK+とCl-を同
時的に流出させることで強力な
腸の水分分泌作用を発揮するこ
とを科学的に実証しました。

 今回の研究成果より、K イオ
ンチャネル活性化を促す生薬は、
高血圧症、気道過敏症、勃起不
全、てんかんの治療薬として、
Clイオンチャネル活性化を促す
生薬は、心筋梗塞、気管支炎、
肺炎の治療薬としても期待でき
るということです。新たな生薬
の組み合わせによる、有効な新
しい漢方薬の開発や生薬成分の
分析結果を基とした創薬の開発
が期待される、と研究グループ
は述べています。

漢方便秘薬のCM動画です。

 

 

 



 家電製品に荷電してはならな
い。           笑














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2】 将来のシワ・たるみを予測する遺伝子領域を発見













 日本メナード化粧品は、将来
のシワ・たるみを予測する遺伝
子領域を見いだしました。ゲノ
ム(遺伝情報)データとシワ・
たるみに関するアンケートデー
タを統合・解析したところ、第
11番染色体に存在する遺伝子
領域「rs12284381」
が強く関連していることが分か
りました。研究を発展させ、個
々人に対して予測される老化に
合わせた製品や美容法の提案、
さらには美容技術の開発などに
成果を応用したい考えです。今
回の内容は11月6日から長崎市
で開催中の「日本人類遺伝学会
第64回大会」で発表します。

 皮膚の老化はシワやたるみと
いった見た目の変化として現れ
ますが、その変化には個人差が
あります。要因には紫外線など
の環境的なもののほか、遺伝的
なものもあるとされます。同社
では遺伝的要因が見た目の加齢
変化に及ぼす影響を探ろうと、
2016年に研究を開始しました。

 まず、18歳~60代の男女60
0人以上を対象に唾液を採取し
ました。唾液から抽出したDN
Aから、東アジア人に特徴的な
約90万の一塩基多型(SNP)
遺伝子情報を選択・解析してゲ
ノムデータを得ました。同じ被
験者に紫外線曝露傾向とその対
策、スキンケア習慣、肌悩みと
いったアンケートにも回答して
もらい、さらに自身の顔のシワ
とたるみの老化度を写真をもと
に6段階で評価してもらいまし
た。

 続けて、ゲノムデータとアン
ケートデータを統合しました。
シワ・たるみと関連の強いSN
Pを見いだすため、さまざまな
因子の関係性の強さを解析する
「構造方程式モデリング」を実
施しました。結果、約90万のS
NPからrs12284381
がシワ・たるみと強く関連して
いることが分かりました。

 今後はrs12284381
の遺伝型の差(CC、CT、T
T)からシワ・たるみの生じや
すさをタイプ分けするなど、ス
キンケアと遺伝情報を関連づけ
たアプローチへの応用を目指し
ます。

シワ・たるみの根本原因につい

て解説している動画です。

 

 

 

 



 懐石料理を解析する。笑















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編集後記




 京都府立医科大学が10月29日、
ヒトの大腸上皮細胞において、
漢方便秘薬に含まれる主要な生
薬がカリウムとクロライド(塩
素イオン)を移動させることで
腸の水分分泌を増やすことを発
見したと発表したのは、偉大な
業績です。 高齢者の約10%が
便秘だと感じているとされ、超
高齢社会を迎えた日本において、
慢性便秘症患者の増加が予想さ
れます。そのため、便秘解消の
ために有効な便通改善成分を持
つ薬の開発が望まれているとい
うのは事実だと思います。しか
し、なぜ便秘になっているのか
と考えれば、それは年齢のせい
だけではないというのは明らか
です。私は、西洋風の食事を改
めれば、便秘など即時に解消す
ると考えています。 みなさん
腸の中に宿便と悪玉菌を飼わな
いようにしましょう。
 日本メナード化粧品が、将来
のシワ・たるみを予測する遺伝
子領域を見いだしたのは偉大な
業績です。ゲノム(遺伝情報)
データとシワ・たるみに関する
アンケートデータを統合・解析
したところ、第11番染色体に
存在する遺伝子領域「rs12
284381」が強く関連して
いることが分かったということ
ですので、研究を発展させ、個
々人に対して予測される老化に
合わせた製品や美容法の提案、
さらには美容技術の開発などに
成果を応用して頂きたいと思い
ます。今後はrs122843
81の遺伝型の差(CC、CT、
TT)からシワ・たるみの生じ
やすさをタイプ分けする等、ス
キンケアと遺伝情報を関連づけ
たアプローチへの応用を目指し
て頂きたいものです。

 垂水で皮膚のたるみを自覚す
る。           笑

















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