診療マル秘裏話  号外Vol.1663 令和1年12月5日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)食事由来アミノ酸制御,炎症腸管病原細菌増殖抑制
2)眼の明暗順応分子メカニズムを明らかにしたと発表














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】食事由来アミノ酸制御,炎症腸管病原細菌増殖抑制












 慶應義塾大学は、11月7日、
食事由来のアミノ酸の制御が、
炎症腸管における潜在的病原細
菌の増殖を抑制するのに重要で
あることを明らかにしたと発表
しました。この研究は、同大先
端生命科学研究所の福田真嗣特
任教授、ミシガン大学医学部消
化器内科の鎌田信彦博士、クレ
ルモン・オーヴェルニュ大学の
ニコラ・バーニッシュ教授らの
国際共同研究グループによるも
のです。研究成果は、国際科学
誌「Nature Microbiology 」の
オンライン版に掲載されていま
す。潰瘍性大腸炎やクローン病
に代表される炎症性腸疾患「IB
D 」は、腸管慢性炎症を特徴と
する原因不明の難治性腸疾患で
す。近年、欧米だけでなく日本
においても患者数が増加の一途
をたどっており、今後もさらに
増えることが予想されています。

これまでの研究で、IBD 患者さ
んの腸管には、腸管接着性侵入
性大腸菌(AIEC)と言われる病
原性大腸菌が多く存在すると報
告されており、IBD の病態形成
に関与する可能性が示唆されて
います。しかし、どのようにAI
ECが炎症腸管で増殖して定着す
るかについては、いまだ不明な
点が多く、解明すべき課題とな
っています。今回研究グループ
は、クローン病患者さんから単
離されたAIEC株を無菌マウスの
腸管に定着させたのち、非炎症
腸管と炎症腸管における遺伝子
発現を比較することで、AIECが
炎症腸管に効率的に定着するた
めに必要な遺伝子群の同定を試
みました。

その結果、AIECは炎症期には、
自身の代謝嗜好性を炭水化物代
謝からアミノ酸代謝(特にセリ
ン代謝)に変化させることで、
常在大腸菌のような競合細菌と
の栄養素の取り合いに打ち勝つ
能力を有することを発見しまし
た。さらに、腸管内のセリン濃
度が食事性アミノ酸の摂取量に
より制御できることを利用し、
短期的な低濃度セリン食によっ
て宿主に影響を与えることなく、
炎症腸管におけるAIECの増殖抑
制、ひいては腸炎の病態改善が
可能であることを示しました。

現在、IBD 患者の再燃予防およ
び寛解維持を目的として、蛋白
性抗原や難消化性多糖を除去し
た成分栄養剤による、経腸栄養
療法が広く行われていますが、
同研究の成果を応用することで、
より安全で効果的な次世代栄養
療法の開発が期待されます。さ
らに、同研究で同定されたAIEC
のアミノ酸代謝経路を標的とし
たIBD の予防・治療薬の開発も
期待されます。

研究グループは「同時に特定の
病原性細菌の環境適応能力とそ
の治療戦略の一例を明らかにし
た本研究は、近年注目されてい
るヒトの健康維持や疾患予防を
目的とした“腸内細菌叢の制御”
を目指した分子基盤解明の一助
になると考えられる」と、述べ
ています。

腸内細菌叢の炎症性・代謝性疾

患に与える影響について研究し

ている研究室の紹介動画です。

 

 

 

 



 基盤の色が黄ばんでいる。笑












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2】 眼の明暗順応分子メカニズムを明らかにしたと発表













 大阪大学は11月7日、明るい
場所でも暗い場所でも環境の変
化に応じて適切に物体を見るこ
とができる機能「明暗順応」の
分子メカニズムを明らかにした
と発表しました。これは同大蛋
白質研究所の古川貴久教授と茶
屋太郎准教授の研究グループに
よるものです。  研究成果は、
欧州科学誌「The EMBO Journal」
で公開されています。人が物を
見る時の明暗順応は視覚に重要
な役割を果たしています。光を
受容するのは、眼球の後ろにあ
る膜状の神経組織の網膜で、光
を感知する視細胞には、暗い場
所で働く桿体視細胞と、明るい
場所で働く錐体視細胞が存在し
ます。桿体視細胞が外節と呼ば
れる細胞の外側にある構造で光
を受けると、トランスデューシ
ン(Transducin)という光情報
を伝える蛋白質が、より内側の
細胞核がある細胞体へ移動し情
報を伝えます。一方、トランス
デューシンは暗い条件において
外節に集積します。このトラン
スデューシンの移動によって桿
体視細胞の光受容感度を調節す
ることが知られています。しか
しながら、桿体視細胞が外界の
光の強度に応じて光受容感度を
制御する分子メカニズムはこれ
まで謎のままでした。 網膜の
発生と機能メカニズムの研究を
行っている古川教授の研究グル
ープは、視細胞の発生と機能に
重要な分子の探索から、桿体視
細胞にKlhl18というユビキチン
化酵素が強く発現することを見
いだしました。さらに明暗に応
じて、Klhl18が働き、トランス
デューシンと結合することが知
られるUnc119蛋白質をユビキチ
ン化し分解することで、トラン
スデューシンの細胞内局在の変
化を制御することを明らかにし
ました。研究において、桿体視
細胞におけるUnc119の発現は、
Klhl18に依存して暗い条件下で
減少しました。明るい条件でKl
hl18によるUnc119の分解は、Un
c119のリン酸化により抑制され
ていました。

また研究グループは、マウスを
用いた実験から、Klhl18の活性
の阻害や、Unc119のリン酸化を
抑制する効果をもつ免疫抑制剤
(FK506 など)が、光による視
細胞の変性を抑制していること
も見出しました。

視細胞が光を感知することは、
物を見ることに必須ですが、そ
の反面、視細胞は光でダメージ
を受けます。通常の光でも、ゆ
っくりと視細胞がダメージを受
けて老化が進んでいます。今回
発見した明暗順応の仕組みを利
用することによって、網膜視細
胞の光に対する感度を下げるこ
とで視細胞を光による長期的な
ダメージや老化から守り、加齢
黄斑変性や網膜色素変性症をは
じめとする網膜変性疾患の治療
薬(進行抑制薬、予防薬)の開発
につながると考えられます。「
今回明らかになった仕組みは、
明所や色覚をつかさどる錐体視
細胞には影響を与えないことか
ら、正常な明所視力を保ったま
ま網膜変性疾患を抑制する薬剤
開発につながることが期待され
る」と、研究グループは述べて
います。

眼の明暗順応について解説して

いる動画です。

 

 

 

 



 死力を尽くして視力を守る。













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編集後記



 慶應義塾大学が、11月7日、
食事由来のアミノ酸の制御が、
炎症腸管における潜在的病原細
菌の増殖を抑制するのに重要で
あることを明らかにしたと発表
したのは偉大な業績です。炎症
腸管とありますが炎症性腸疾患
になっていなくても、現代日本
人の腸は、炎症を起こしている
と私は考えています。西洋風の
食事をすることにより、小麦や
乳製品や砂糖の消費を招きこれ
が腸の炎症を少なからず起こし
ているものと思われます。この
ような西洋風の食事を改めて、
和食や地中海式食事に変える事
で、腸の炎症は収まって腸本来
の免疫のセンターとしての働き
ができるようになると、万病の
予防に繋がると確信しています。
 大阪大学が11月7日、明るい
場所でも暗い場所でも環境の変
化に応じて適切に物体を見るこ
とができる機能「明暗順応」の
分子メカニズムを明らかにした
と発表したのは素晴らしい業績
です。今回発見した明暗順応の
仕組みを利用することによって、
網膜視細胞の光に対する感度を
下げることで視細胞を光による
長期的なダメージや老化から守
り、加齢黄斑変性や網膜色素変
性症をはじめとする網膜変性疾
患の治療薬(進行抑制薬,予防薬)
の開発に繋げて頂きたいと思い
ます。究極的な網膜変性疾患の
治療は再生医療しかないと思い
ますが、再生医療に行くまでの
間と予防については、治療薬が
できることで解決できるのでは
ないかと考えています。

 怪傑ゾロが問題を解決する。













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