診療マル秘裏話  号外Vol.1666 令和1年12月8日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)110歳以上の人が特殊T細胞を血液中に多く保持
2)心臓由来ホルモンの機能不全が周産期心筋症を発症














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】110歳以上の人が特殊T細胞を血液中に多く保持












 理化学研究所(理研)は11月
13日、スーパーセンチナリアン
(110歳以上)が特殊なT細胞で
ある「CD4陽性キラーT細胞」を
血液中に多く持つことを発見し
たと発表しました。この研究は、
理研生命医科学研究センタート
ランスクリプトーム研究チーム
の橋本浩介専任研究員、ピエロ・
カルニンチチームリーダーと、
慶應義塾大学医学部百寿総合研
究センターの広瀬信義特別招聘
教授(研究当時)らの共同研究
グループによるものです。研究
成果は、米国の科学雑誌「Proc
eedings of the National Acad
emy of Sciences(PNAS) 」の
オンライン版に掲載されていま
す。

 スーパーセンチナリアンは11
0 歳に達した特別長寿な人々の
ことを指し、自立的な生活を送
る期間が長いことから、理想的
な健康長寿のモデルと考えられ
ています。一般的に、老化に伴
って免疫力が低下してくると、
がんや感染症などのリスクが飛
躍的に高まります。しかし、ス
ーパーセンチナリアンはこうし
た致命的な病気を回避してきて
いることから、高齢になっても
免疫システムが良好な状態を保
っていると考えられます。

 どのようにして免疫力が維持
されているのかは興味深い研究
課題ですが、多数の百寿者(10
0 歳以上の人々)を擁する長寿
国の日本においても、110 歳を
超える人の数は限られており、
スーパーセンチナリアンの免疫
細胞はこれまでほとんど研究さ
れていませんでした。そこで、
長寿研究を専門とする慶應義塾
大学医学部百寿研究センターと、
分子レベルの解析を専門とする
理研生命医科学研究センターが
共同で、スーパーセンチナリア
ンの血液中を流れる免疫細胞の
詳細な分析を試みました。

 研究グループは、スーパーセ
ンチナリアン7人と50~80歳の
5人から採血を行い、免疫細胞
を抽出してシークエンサーによ
るトランスクリプトームのシン
グルセル解析を行いました。合
計で約6万細胞を調べたところ、
スーパーセンチナリアンでは50
~80歳と比べて、免疫細胞の中
でもT細胞の構成が大きく変化
しており、細胞傷害性分子を発
現するT細胞(キラーT細胞)
の割合が高くなっていることが
明らかになりました。

 T細胞は、他の免疫細胞を助
ける「CD4 陽性ヘルパーT細胞」
と、がん細胞などを殺す「CD8
陽性キラーT細胞」という2種
類のサブタイプに分類されます。
興味深いことに、スーパーセン
チナリアンの持つキラーT細胞
は、通常のCD8 陽性キラーT細
胞だけでなく、ヒトの血液には
あまり存在しないはずの「CD4
陽性キラーT細胞」を多く含む
ことが明らかになりました。ま
た、他のグループが公開してい
る20歳代から70歳代までの血液
データを解析したところ、この
ような特徴を持つT細胞は非常
に少なく、CD4 陽性キラーT細
胞はスーパーセンチナリアンで
特異的に増加していることが判
明しました。

 次に、7人のうち2人のスーパ
ーセンチナリアンについて、T
細胞受容体の配列を1細胞レベ
ルで解析しました。 その結果、
多くのCD4 陽性キラーT細胞が
同一の受容体を持つことが明ら
かになりました。 このことは、
T細胞が特定の抗原に対してク
ローン性増殖をした可能性を示
しています。ただし、どのよう
な抗原に対して増殖したのか、
また老化における増殖したこと
の意義はまだ明らかになってお
らず、さらなる研究が必要だと
いうことです。 「今回の研究
成果を経てもなお、CD4 陽性キ
ラーT細胞は通常は少量しか存
在しないこともあり、ヒトの免
疫システムの中でどのような役
割を果たしているのかは明らか
になっていません。しかし、マ
ウスモデルを使った実験では、
CD4 陽性キラーT細胞がメラノ
ーマを排除したことが示されて
おり、今後の研究によって、老
化や長寿において果たす役割が
明らかになることが期待される」
と研究グループは述べています。

このニュースのニュース動画で

す。

 

 

 

 



 T細胞の増殖したことの意義
に異議を唱える。     笑














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2】 心臓由来ホルモンの機能不全が周産期心筋症を発症













 国立循環器病研究センターは
11月8日、心臓で作られるホル
モン(ANP・BNP)の機能不全が
周産期心筋症の発症に関与する
可能性を世界で初めて明らかに
したと発表しました。この研究
は、同センター研究所・再生医
療部の大谷健太郎上級研究員、
生化学部の徳留健室長、産婦人
科部の神谷千津子医長、寒川賢
治理事長特命補佐らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、米国心臓協会の専門誌「Ci
rculation 」オンライン版に掲
載されました。

 妊娠女性の体内では、胎児が
成長するために必要な酸素や栄
養素を子宮に運ぶために、循環
血液量の増加・心拍出量の増大・
心拍数の増加など、循環器系に
さまざまな変化が生じます。通
常、妊娠中に生じるこれらの変
化は、出産により速やかに正常
化しますが、一部の妊産婦では、
妊娠中から産褥期にかけて心機
能の著しい低下による心不全(
周産期心筋症)を発症すること
が報告されており、その発症メ
カニズムは十分に解明されてい
ません。

 一方、周産期心筋症と同様に
妊娠中に発症する妊娠高血圧症
候群の患者では血液中のANP・B
NP濃度が正常妊婦に比べて高い
ことから、妊娠中あるいは産褥
期に発症する循環器系疾患にAN
P・BNPが関与する可能性が考え
られます。しかし、妊娠中や産
褥期におけるANP・BNPの役割に
ついては不明な点が多いとされ
ています。そこで、研究グルー
プは今回、人為的にANPとBNPの
共通の受容体であるGC-Aの遺伝
子を欠損させた雌マウス(GC-A
-KO )と、その対照群として野
生型の雌マウス(WT)を用いて、
妊娠中および産褥期におけるAN
P・BNPの生理的な役割について
詳細に検討しました。

 まず、妊娠・出産・授乳がマ
ウスの生存率に影響するか否か
について検討した結果、妊娠・
出産・授乳を繰り返すと、WTに
比べてGC-A-KO の死亡率が有意
に高くなることが分かりました。
また、妊娠・出産・授乳を経験
することで、GC-A-KO では周産
期心筋症に類似した心機能低下
を伴う顕著な心肥大を呈するこ
とが明らかになりました。これ
らの結果から、ANP・BNPは妊娠
中および産褥期の心臓に対して
保護的に作用していることが分
かりました。

 次に、妊娠・出産・授乳のい
ずれの過程で周産期心筋症様の
心肥大を発症するかを検討した
ところ、WTにおいても授乳期に
軽度の心肥大を認め、GC-A-KO
の心臓重量は授乳期に顕著に増
大しました。出産後に授乳を回
避させることにより、GC-A-KO
における周産期心筋症様の心肥
大変化は有意に抑制されたとい
うことです。これらの結果から、
りました。

 また、WTに比べて、GC-A-KO
では授乳によって血液中のアル
ドステロン濃度の有意な上昇、
および心臓におけるインターロ
イキン6遺伝子の発現増加を認
めました。そこで、アルドステ
ロンの作用を阻害するミネラロ
コルチコイド受容体拮抗薬、あ
るいは抗インターロイキン6受
容体抗体を授乳期に投与した所、
いずれの薬剤もGC-A-KO におけ
る周産期心筋症様の心肥大に対
して抑制的に作用することが分
かりました。以上の研究結果か
ら、妊娠中だけでなく、授乳期
においても心臓は生理的な肥大
を起こすこと、ANP・BNPは授乳
期の心臓に対して保護的に作用
すること、ANP・BNP、アルドス
テロン、およびインターロイキ
ン6は、周産期心筋症の治療標
的になり得ることが明らかにな
りました。

 日本における周産期心筋症の
発症頻度は、約2万出産に1人と
報告されています。周産期心筋
症になりやすい因子として、高
齢出産、多産、多胎、妊娠高血
圧症候群の合併などが知られて
おり、晩婚化・晩産化が進む日
本においては、今後周産期心筋
症の発症頻度が上昇することが
懸念されます。研究グループは、
今回の研究成果を基にした、周
産期心筋症に対する新たな治療
法の開発が期待される、と述べ
ています。

心不全の診断・治療についての

動画です。

 

 

 



 心筋症は、真菌が原因では、
ありません。       笑
















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編集後記



 理化学研究所(理研)が11月
13日、スーパーセンチナリアン
(110歳以上)が特殊なT細胞で
ある「CD4陽性キラーT細胞」を
血液中に多く持つことを発見し
たと発表したのは、偉大な業績
です。どのようにして免疫力が
維持されているのかは興味深い
研究課題ですが、多数の百寿者
(100 歳以上の人々)を擁する
長寿国の日本においても、110
歳を超える人の数は限られてお
り、スーパーセンチナリアンの
免疫細胞はこれまでほとんど研
究されていなかったということ
ですから、分からないだらけの
ことを、対象人数が少ない中で、
研究が行える醍醐味は、とても
言葉で言い表せない位、感動的
と言えるのではないでしょうか。
マウスモデルを使った実験では、
CD4 陽性キラーT細胞がメラノ
ーマを排除したことが示されて
おり、今後の研究によって、老
化や長寿において果たす役割が
明らかになることを大いに期待
したいと思います。
 国立循環器病研究センターが
11月8日、心臓で作られるホル
モン(ANP・BNP)の機能不全が
周産期心筋症の発症に関与する
可能性を世界で初めて明らかに
したと発表したのは素晴らしい
業績です。心臓で作られるホル
モン(ANP・BNP)およびグレリ
ンの発見者が、寒川賢治理事長
特命補佐であることを考えれば、
さもありなん研究であると言う
こともできるでしょうが、周産
期心筋症のメカニズムに迫る、
この研究は、周産期の女性にと
っては、とっても大切な研究で
あると言えると思います。妊娠・
出産・授乳がマウスの生存率に
影響するか否かについて検討し
た結果、妊娠・出産・授乳を繰
り返すと、WTに比べて受容体欠
損マウスGC-A-KO の死亡率が有
意に高くなることが分かり授乳
によって心臓は生理的な肥大を
来すこと、特にANP・BNPの機能
不全がある場合には、授乳が心
機能低下を伴う病的な心肥大を
誘導することが明らかとなった
のは本当に凄いとしか言いよう
がありません。まさに驚天動地
ですね。

 心臓の生理的肥大に関する、
資料を整理する。     笑

















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