診療マル秘裏話  号外Vol.1681 令和1年12月26日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)がん細胞の運動能を生み出すのに必須な蛋白質
2)肌露出度が高いと背中のニキビが気になる女性














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】がん細胞の運動能を生み出すのに必須な蛋白質











 愛知医科大学は12月3日、が
ん細胞の運動能を生み出すのに
必須な蛋白質として「STIL」を
同定したと発表しました。これ
は同大医学部病理学講座の伊藤
秀明助教、笠井謙次教授らの研
究グループが、京都大学大学院
医学研究科病態生物医学の松田
道行教授との共同研究によるも
のです。成果は、がん研究専門
誌「Oncogene」オンライン版に
掲載されています。がん治療の
難しさの1つに臓器内での浸潤
や別の臓器への転移の為、がん
の存在範囲が広がることが挙げ
られます。こうした浸潤や転移
は、がん細胞が「よく移動する
(歩く)」という特性に基づい
ています。そのため細胞運動能
のメカニズムの解明は、浸潤、
転移の制御法開発のための重要
な基盤になると考えられてきま
した。細胞が「歩く」時には、
RAC1などsmall GTPaseと呼ばれ
る因子を活性化し、細胞骨格と
呼ばれる細胞の骨組み蛋白群を
再構成することで、細胞膜の形
状を変化させ、細胞進行方向へ
の駆動力を生み出しています。
これまで国内外の多くの研究者
が、がん細胞の細胞運動能に関
わるさまざまなRAC1活性化因子
を同定してきましたが、がん細
胞がどのように歩く方向を保ち、
効率的に駆動力を生み出してい
るのかは十分に解明されていま
せんでした。研究グループは、
生まれながら脳の発達が障害さ
れ頭部が小さくなる「小頭症」
の原因遺伝子の1つ「SCL/TAL1
Interrupting Locus(STIL)」
に着目しました。STILは膵臓が
ん、大腸がん、乳がんなど多様
ながん種で発現増加している一
方、その意味は不明な点も多い
とされています。

研究では、乳がん細胞を人工的
に培養し、移動する様子を観察
しました。すると、STIL蛋白質
が細胞先進部に集積することが
分かりました。そこで、同部へ
の集積と細胞運動能への関与が
知られていたRAC1活性化因子「
ARHGEF7 」および、リン酸化酵
素「PAK1」との関係を調べた所、
ARHGEF7、PAK1、STIL はいずれ
も「coiled-coil (CC)ドメイ
ン」と呼ばれる短い蛋白領域を
介して複合体を形成することが
判明しました。

また、RNA 干渉法を用いてSTIL
蛋白質を人工的に失わせると、
がん細胞の細胞先進部へのARHG
EF7-PAK1集積やARHGEF7によるR
AC1 活性化、さらには細胞骨格
再構成が阻害され、細胞運動能
が著減しました。一方、同様の
方法でARHGEF7 蛋白質を喪失さ
せると、PAK1と共にSTILの細胞
先進部への集積が阻害されるこ
とから、STILによるARHGEF7-PA
K1の細胞先進部への集積と細胞
運動能亢進は、正のフィードバ
ック制御を受けていることが分
かりました。
さらに欧米の患者さんの検体を
用いたデータベース解析では、
STIL発現増加と乳がん転移ある
いは大腸がん再発が相関するこ
とから、STILを標的とする治療
法が可能となれば、がん細胞の
細胞運動能を抑制し、がんの浸
潤や転移、再発を制御できる可
能性が示唆されました。

「STILによる細胞運動能亢進は、
STILとARHGEF7-PAK1のCCドメイ
ンを介する複合体形成に基づく
ため、STILの機能、特にCCドメ
インを塞ぐ物質が同定できれば、
STILとARHGEF7-PAK1複合体を離
断させ、STIL依存性のがん細胞
運動能の抑制、ひいては浸潤や
転移、再発を制御できる可能性
が示唆される」と、研究グルー
プは述べています。

食道がんの運動を制御する実験

の動画です。

 

 

 

 



 STIL発現増加について発言す
る。           笑














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2】 肌露出度が高いと背中のニキビが気になる女性














 女性は、背中が大きく開いた
服や水着の着用時など、肌の露
出度が高いと背中のニキビが気
になります。背中に自信が持て
るようにするにはどうしたらよ
いか、ふくずみ皮フ科形成外科
(大阪市)の吹角善隆院長に聞
きました。ニキビは、たまった
皮脂などが毛穴をふさぐことに
より、毛包や皮脂腺に炎症が生
じる皮膚の病気です。通常、皮
脂は皮脂腺から分泌され、皮脂
膜を形成して皮膚の表面を覆い、
皮膚を健康な状態に保っていま
す。

 ところが、毛穴の中で古くな
った角質が皮脂と混ざり合って
角栓となり、それが大きくなる
と、毛穴が詰まって皮脂が行き
場を失います。これが、面ぽう
というニキビの初期段階です。

 皮脂がたまった毛穴では、皮
膚の常在細菌であるアクネ菌が
過剰に繁殖して炎症を起こし、
炎症性の赤いニキビになります。

 背中の上部は皮脂の分泌が活
発なので、ニキビができやすい
とされています。一方で、マラ
セチアというかびの一種が原因
で生じるマラセチア毛包炎がで
きやすい場所でもあります。マ
ラセチア毛包炎は背中や肩など
に小さな赤い発疹が生じ、かゆ
みを伴います。発疹の先端にう
みがたまることもあります。「
見た目がニキビとそっくりなの
で、ニキビと思い込み、市販の
ニキビ治療薬を使用する人が少
なくありません。しかし、原因
となる菌が異なるので治らず、
逆にかゆみが増すことがありま
す」と吹角院長は注意を促して
います。背中のニキビの治療で
は、マラセチア毛包炎などでな
いことを確認した上で、適切な
抗生物質外用薬を塗ることが重
要だということです。場合によ
っては、抗生物質を内服するこ
ともあります。

 また、高温多湿の環境は好ま
しくないため、汗をかいたらす
ぐに拭く、小まめにシャツを替
える、シャワーを浴びるなど、
肌を清潔に保つことが大切です。
ナイロンタオルなどで体を強く
洗うと、皮膚を覆う皮脂が落ち
過ぎて乾燥肌となり、症状が悪
化しやすくなります。軟らかい
タオルなどで、皮膚をこすらな
いように洗うとよいとされてい
ます。

 さらに、ストレスなどによる
ホルモンバランスの乱れ、日焼
け、喫煙、飲酒などは、肌が荒
れる原因となります。「肌が荒
れると、ニキビができやすくな
るので要注意です」と吹角院長
は言っています。

 「治療を始めて1~2週間で
症状は改善します。背中の吹き
出物が気になるようであれば皮
膚科を受診し、ニキビかマラセ
チア毛包炎か診断の上で治療を
受けることが大切です」と話し
ています。

背中のニキビについて解説して

いる動画です。

 

 

 



 マラソンを完走した選手は、
乾燥肌だった。      笑













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編集後記



 愛知医科大学が12月3日、が
ん細胞の運動能を生み出すのに
必須な蛋白質として「STIL」を
同定したと発表したのは素晴ら
しい業績です。がん治療の難し
さの1つに臓器内での浸潤や別
の臓器への転移の為、がんの存
在範囲が広がることが挙げられ
ます。 こうした浸潤や転移は、
がん細胞が、「よく移動する
(歩く)」という特性に基づい
ており、そのため細胞運動能の
メカニズムの解明は、浸潤、転
移の制御法開発のための重要な
基盤になると考えられてきたと
いうのは正論だと思います。
 背中の上部は皮脂の分泌が活
発なので、ニキビができやすい
のは、その通りですが、ニキビ
自体ができる人とできない人が
いるのは、どうしてでしょうか。
ニキビのできる過程には、生活
習慣が深く関わっていると思い
ます。生活習慣の中でも、特に
食生活の乱れがあるとできやす
くなると私は考えています。い
つも言っているように小麦製品、
乳製品、砂糖が、多く含まれる
食品を食べないようにすれば、
おのずとニキビができにくくな
ると考えられます。

 正賓に対して、清貧な製品を
含む食事を提供する。   笑














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