診療マル秘裏話  号外Vol.1691 令和2年1月6日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)手術後癒着のインターロイキン6を中心とする分子機構
2)慢性疲労症候群の診断に使用可のバイオマーカー発見














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 手術後癒着のインターロイキン6を中心とする分子機構











 兵庫医科大学は12月10日、手
術後癒着について、全ての臓器・
腹膜を覆う中皮細胞が線維形成
の原因であり、インターロイキ
ン6(IL-6)を中心とする分子
機構を発見したと発表しました。
この研究は、同大外科学肝・胆・
膵外科の藤元治朗特別招聘教授、
宇山直樹非常勤講師らの研究グ
ループによるものです。研究成
果は「Scientific Reports」電
子版に掲載されました。

 手術後癒着は、外科手術を受
けた後に、腹膜と他の内臓臓器、
または腸管を中心とする臓器同
士が癒着する現象で、腸閉塞、
腹痛、不妊などの癒着合併症を
併発します。現在、日本では年
間約200 万人が全身麻酔手術を
受けており、毎年約120 万人の
癒着患者さんが発症していると
推定されています。外科手術は
急速な発展を遂げ、臓器移植・
拡大手術から低侵襲の内視鏡手
術に至るまであらゆる術式を選
択することが可能となっていま
す。しかし、手術後の癒着形成
は、腹部において発症率67~93
%と報告されています。 また、
手術を行う外科医にとっても、
癒着があることで手術の難易度
が上がり、臓器損傷やがんの根
治術が困難となって手術時間が
長くなるという問題があり、医
療費面でも大きな負担となって
います。だが、これまで手術後
癒着の発生機序は明らかにされ
ていませんでした。

 今回、研究グループは、腹膜
中皮細胞がIL-6を生み出してい
ること、IL-6により好中球がTN
F-αおよびTGF-βを産生するこ
と、TGF-βにより中皮細胞自身
が線維を産生し、癒着を形成す
ることを明らかにしました。こ
れらの結果から、抗IL-6受容体
抗体の有用性を確認し、今後、
臨床での治療に役立てられる可
能性が示されたということです。
研究グループは現在、付随研究
として非侵襲的癒着診断技術(
超音波動体追跡ベクトル法)お
よびIL-6下流シグナル分子制御
法の開発も進めています。

 同研究は、癒着研究の第一報
(Nature Medicine, 2008)後、
継続してきた研究です。癒着形
成の分子機構を解明したことで
予防法の可能性が示された、と
研究グループは述べています。

手術後の傷を治す方法について

解説している動画です。

 

 

 

 



 発声トラブルの発生機序は、
分からなかった。     笑














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2】 慢性疲労症候群の診断に使用可のバイオマーカー発見














 三重大学は12月11日、慢性疲
労症候群の診断に使用できる可
能性がある、血中の細胞外小胞
およびその蛋白質(バイオマー
カー)を発見したと発表しまし
た。これは、同大大学院医学系
研究科の江口暁子講師、関西福
祉科学大学健康福祉学部の福田
早苗教授(大阪市立大学客員教
授・理化学研究所客員研究員)、
倉恒弘彦教授(大阪市立大学客
員教授・理化学研究所客員主管
研究員)、理化学研究所生命機
能科学研究センターの渡辺恭良
チームリーダー(大阪市立大学
名誉教授)、カリフォルニア大
学サンディエゴ校のAriel E. F
eldstein教授らの研究グループ
によるものです。成果は「Brai
n,Behavior and Immunity 」に
オンライン掲載されました。筋
痛性脳脊髄炎(Myalgic enceph
alomyelitis、以下ME )および
慢性疲労症候群(Chronic Fati
gue Syndrome、以下CFS )は、
原因不明の強度の疲労・倦怠感
により半年以上も健全な社会生
活が過ごせなくなる病気です。
通常の診断や従来の医学検査で
は、ME/CFSに特徴的な身体的異
常を見つけることができず治療
法も確立されていません。これ
までに、ウイルスの活性化や自
律神経の機能異常等を指標とし
たものなどが、ME/CFSのバイオ
マーカーとして提案されてきま
したが、これらは他の病態でも
見られるため、ME/CFSの診断が
難しく、特定できないという問
題がありました。そのため、よ
りME/CFSの病態メカニズムを反
映し、客観的な診断を一般の医
療施設でも可能にするバイオマ
ーカーの確立が望まれています。
研究グループは、ME/CFS患者さ
んと健常者の血漿サンプルを採
取し、フローサイトメトリーや
プロテオミクス解析を行いまし
た。結果、ME/CFS患者さんは健
常者と比較し、血中の細胞外小
胞の数値が高いことが確認され
ました。また、血中の細胞外小
胞の成分を解析した結果から、
ME/CFS患者さんはtalinやfilam
inを含むアクチンネットワーク
を構成する蛋白質の数値が、亜
急性疲労(疲労症状を有するも
のの6か月以上継続しない)患
者さんやうつ病患者さんと比較
しても高いことを発見しました。

これらの成果により血中の細胞
外小胞の蛋白質成分をバイオマ
ーカーとして用いることにより、
ME/CFSの客観的な診断が可能に
なり、これまで診断を区別する
ことが難しかった亜急性疲労患
者、うつ病患者との判別も可能
になると考えられます。また、
慢性的な疲労の自覚はあっても
ME/CFSを発症していない人での
解析も行い、詳細な疲労病態の
解明に向けてさらなる検証をし
ていく必要があります。「将来
的には、簡便に測定できる手法
を開発し、一般の医療機関でも
検査できるよう医療システムを
構築していきたい」と、研究グ
ループは述べています。

ME/CSFについて解説している

動画です。

 

 

 

 



 簡便に測定できる手法の開発
は、勘弁頂きたい。    笑














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編集後記




 兵庫医科大学が12月10日、手
術後癒着について、全ての臓器・
腹膜を覆う中皮細胞が線維形成
の原因であり、インターロイキ
ン6(IL-6)を中心とする分子
機構を発見したと発表したのは、
素晴らしい業績です。インター
ロイキンから下流のTGF-βを産
生すること、TGF-βにより中皮
細胞自身が線維を産生し、癒着
を形成することは、知っていま
した。TGF-βを抑制する薬とし
てトラニラスト(商品名:リザ
ベン)の内服にて、手術後癒着
が改善することも知っていまし
た。 しかし、TGF-βの源流が、
インターロイキン6(IL-6)で
あることは、初耳でした。下流
の所をせき止めても、ほとぼり
が覚めるとまた同じような癒着
を生じてしまうので、源流のイ
ンターロイキン6(IL-6)に対
する対策を講じなければならな
いと切に願う次第です。
 三重大学が12月11日、慢性疲
労症候群の診断に使用できる可
能性がある、血中の細胞外小胞
およびその蛋白質(バイオマー
カー)を発見したと発表したの
は偉大な業績です。筋痛性脳脊
髄炎(Myalgic encephalomyeli
tis、以下ME )および慢性疲労
症候群(Chronic Fatigue Synd
rome、以下CFS )は、原因不明
の強度の疲労・倦怠感により半
年以上も健全な社会生活が過ご
せなくなる病気ということです
が、私は、少なくとも副腎疲労
が病態に寄与していると考えて
います。また脳や脊髄の炎症が
原因で、激しい痛みを生ずる事
もあるので、ミクログリア細胞
が悪さをする神経障害性疼痛も
病態に寄与していると思われま
す。副腎疲労とミノマイシンの
治療を行うと効果的に治療がで
きるのではないかと考えていま
す。

 検体に触れたとたん倦怠感を
覚えた。         笑













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