診療マル秘裏話  号外Vol.1697 令和2年1月13日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)ADC(抗体薬物複合体)薬がFDAから承認を取得
2)下垂体腺腫の視力低下を惹起するメカニズムを解明














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 ADC(抗体薬物複合体)薬がFDAから承認を取得











 アステラス製薬は12月19日、
同社初のADC(抗体薬物複合
体)「パドセブ(一般名エンホ
ルツマブ ベドチン)」につい
て、米食品医薬品局(FDA)
から承認を取得したと発表しま
した。白金製剤および抗PD-
1/L1抗体薬による治療歴の
ある局所進行性または転移性の
尿路上皮がんが適応症です。同
適応でFDAが承認したのはパ
ドセブが初となります。同社は
抗PD-1抗体薬「キイトルー
ダ」とパドセブとの併用で米メ
ルクと提携しており、未治療患
者さんへの適応も目指していま
す。

 パドセブは膀胱や尿道など大
半の尿路上皮がん細胞に発現す
る「ネクチン4」をターゲット
にしています。アステラス製薬
と米シアトルジェネティクス(
ワシントン州)による共同開発
品です。他にも両社で手がける
ADCがありましたが、パドセ
ブ以外は開発を中止しました。

 尿路上皮がんの治療薬は増え
つつある一方、病状が進行して
別の臓器に転移した場合の治療
選択肢は限られています。パド
セブはFDAの迅速承認プログ
ラムに基づいて承認されました。
早ければ今年中に米国で発売し
ます。

 尿路上皮がんに対しては米メ
ルクのキイトルーダも適応を取
得しています。アステラス製薬
は今月(12月)3日に同社との
提携を発表しました。シアトル
ジェネティクスを加えた3社が、
キイトルーダとパドセブの併用
試験の資金拠出で協働します。

 パドセブはアステラス製薬が
中期経営計画で大型化を期待す
る「重点後期開発品」の一つで
す。ピーク時売上高予想は50
0億~1000億円です。治療
歴の有無を問わず尿路上皮がん
全般を対象に、日本を含むグロ
ーバル臨床試験が第3相の段階
にあります。

抗体、ADC製造工程に適した新

しいシングルユースTFFカプセ

ルについて解説している動画で

す。

 

 

 



 資金拠出を開発の試金石とす
る。           笑














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2】 下垂体腺腫の視力低下を惹起するメカニズムを解明














 群馬大学は12月16日、脳腫瘍
のひとつである「下垂体腺腫」
の視力低下を引き起こすメカニ
ズムを解明したと発表しました。
この研究は、同大大学院医学系
研究科脳神経外科学の登坂雅彦
准教授と山口玲助教らの研究グ
ループによるものです。研究成
果は、米国脳神経外科学会誌「
Journal of Neurosurgery 」オ
ンライン速報版に掲載されまし
た。

 視神経は、視覚を司る重要な
感覚神経で、眼球と脳をつなぎ、
あらゆる視覚情報を脳に伝達し
ます。視神経は、右側の神経と
左側の神経が頭蓋内で交叉する
視交叉という特殊な構造をとっ
ています。下垂体腫瘍は、この
視交叉付近に生じることから、
両耳側(外側)半盲という特殊
な視野の異常が生じることが知
られています。その為、眼科医
や脳神経外科医などの臨床医は、
この両耳側半盲を頼りに下垂体
腫瘍を疑います。

 同研究グループは、多くの下
垂体腫瘍患者において、実際は
例外が多いと感じており、視野
の異常は少なく、0.5や1.2など
の数値で表される視力が極端に
悪くなっている症例が多くいる
ことに気付いたということです。
そこで、多数例の下垂体腫瘍の
患者の症状を、視覚に関するス
コアリングシステムを用いて検
討した結果、視野よりも視力の
低下で困っている患者さんが多
いことが明らかになりました。

 下垂体腫瘍症例において特殊
な方法で撮影したMRI を詳細に
検討した結果、視力が悪化して
いる症例では、視神経が目の奥
の視神経管の入り口部分で折れ
曲がっていることを確認しまし
た。視神経管の入り口部分より
先の目に近い側では、骨の管の
中を通過する為、視神経は固定
されています。しかし、視神経
管の入り口部分より手前の脳に
近い側は脳内であり、視神経は
腫瘍によって簡単に移動します。
よって、視神経管の入り口部分
で視神経が折れ曲がりやすく、
これによって視力が低下するこ
とを明らかにしたとされていま
す。

 また、MRI 画像で視神経の屈
曲角度を計測したところ、視神
経の折れ曲がりが強いほど視力
が低下していました。視神経が
折れ曲がっている場合、腫瘍の
摘出手術で折れ曲がりを解除す
ると、劇的に視力が改善するこ
とも分かったということです。

 同研究グループの群馬大学大
学院医学系研究科脳神経外科学
の好本裕平教授は、「この腫瘍
によって生じる両耳側性半盲が
あまりにも有名な為、今までこ
の視神経の屈曲について全く気
付かれていませんでした。下垂
体腫瘍の早期発見につながる可
能性があり、手術方法にも影響
を与えるだろう」と、述べてい
ます。

下垂体腺腫の症状と治療につい

て解説している動画です。

 

 

 



 死力を尽くして視力の回復に
努める。         笑














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編集後記




 アステラス製薬が12月19日、
同社初のADC(抗体薬物複合
体)「パドセブ(一般名エンホ
ルツマブ ベドチン)」につい
て、米食品医薬品局(FDA)
から承認を取得したと発表した
と発表したのは、画期的なこと
だと思います。白金製剤および
抗PD-1/L1抗体薬による
治療歴のある局所進行性または
転移性の尿路上皮がんが適応症
ということで、白金製剤という
のは、シスプラチン等の抗がん
剤のことを指しており、抗PD
-1/L1抗体薬というのは、
キートルーダやオブジーボの様
な免疫チェックポイント阻害剤
のことを指しています。これら
の薬を併用した治療歴を持つと
いう患者さんは少ないかもしれ
ません。同適応でFDAが承認
したのはパドセブが初である事
を考えると発売されても、前途
多難である可能性があります。
 群馬大学は12月16日、脳腫瘍
のひとつである「下垂体腺腫」
の視力低下を引き起こすメカニ
ズムを解明したと発表したのは
素晴らしい業績です。しかし、
このニュースのコメントに「曲
がっているのが当たり前と思っ
ていましたが、証明されていな
かったのですね」というものが
ありました。 脳外科の先生の
コメントだと思われます。当た
り前と思っていても、コロンブ
スの卵のように、気付かない事
もあるということが良く分かり
ました。気づいていれば証明す
るということで業績になること
を身に染みて感じた次第です。
下垂体腫瘍の早期発見につなが
る可能性があり、手術方法にも
影響を与えるだろうと専門家の
先生もご意見されているので、
何でも当たり前と思わないで、
それは、証明されているのか、
それともいないのかを確認する
必要があるようです。

 主要な下垂体腫瘍を切除する。















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