診療マル秘裏話  号外Vol.1718 令和2年2月7日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)ヒトの心筋の細いフィラメントの収縮弛緩の制御メカニズム
2)ALDH2の変異とアルツハイマー型認知症に潜在的な関連














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 ヒトの心筋の細いフィラメントの収縮弛緩の制御メカニズム











 大阪大学は1月9日、ヒト心筋
の細いフィラメントにおける収
縮弛緩の制御メカニズムを分子
レベルで明らかにしたと発表し
ました。これは、同大大学院生
命機能研究科の山田有里佳特任
研究員、難波啓一特任教授、藤
井高志特任准教授(常勤)の研
究グループによるものです。研
究成果は米国科学誌「Nature C
ommunications 」のオンライン
版に掲載されています。1960年
代に江橋節郎博士が、筋肉の収
縮装置にカルシウムイオンで駆
動する制御スイッチが存在する
こと、そのスイッチの鍵となる
のがアクチンで構成される細い
フィラメント上に存在するトロ
ポニンであることを発見して以
降、筋収縮のカルシウム調節機
構の詳細なメカニズムを明らか
にするため、さまざまな生化学、
生理学研究や構造研究が行われ
てきました。細いフィラメント
の構造研究では、アクチン、ト
ロポミオシン、トロポニンのそ
れぞれ単体について、X線や電
子顕微鏡により構造解析が行わ
れていましたが、フィラメント
全体の構造はほとんど見えてい
ませんでした。

この構造を可視化できる唯一の
方法が、最近急速に進歩したク
ライオ電子顕微鏡の単粒子像解
析法ですが、トロポミオシンは
きわめて細長く、トロポニンも
小さな分子であり、しかも、ア
クチン繊維・トロポミオシン・
トロポニン複合体の構造が不安
定であるため、細いフィラメン
トの構造解析は大変困難な課題
とされていました。研究グルー
プは今回、クライオ電子顕微鏡
と画像解析法の工夫を重ね、ヒ
ト心筋の細いフィラメントの立
体構造解析に成功しました。ト
ロポニンC, I, Tの3分子からな
るトロポニンがトロポミオシン
と同程度に細長い分子であるこ
とや、トロポミオシンとともに
アクチン繊維に結合している様
子を明らかにしました。さらに、
Ca2+存在下と非存在下の2状態
における細いフィラメントの構
造を解明し、収縮弛緩の制御に
関わるトロポニンとトロポミオ
シンの構造変化を可視化するこ
とに成功しました。

肥大型・拡張型心筋症などの突
発性心筋症は原因不明のものが
多く、遺伝的な要因が関与して
いることが知られています。ま
た、これらはトロポニンの変異
により、筋収縮のCa2+制御機能
の異常を引き起こしていると考
えられています。今回の研究成
果を基盤として今後の研究が発
展すれば、アクチンやトロポミ
オシン、トロポニンの変異によ
って引き起こされる心筋症の原
因解明や治療法の開発への応用
が期待されます。

筋収縮のメカニズムについて解説し

ている動画です。

 

 

 

 



 心筋に真菌が感染する。笑














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2】 ALDH2の変異とアルツハイマー型認知症に潜在的な関連












 米スタンフォード大は12月11
日、アルコール分解酵素「2型
アルデヒド脱水素酵素」(以下、
ALDH2 )の変異とアルツハイマ
ー型認知症(以下、AD)に潜在
的な関連があることを証明した
と発表しました。この研究は同
大のAmit Joshi博士、Daria Mo
chly-Rosen教授らの研究グルー
プによるものです。研究成果は、
「Acta Neuropathological Com
munications 」に掲載されてい
ます。ADは、2018年に全世界で
5,000 万人以上が発症していま
す。2050年までに1億5,000万人
を超えると予測されています。
また、ALDH2 変異型の人で飲酒
後にアルコール分解能力が弱い
ことによって起こる顔面紅潮は、
世界全体の約8%にあたる5億6,0
00万人で起こるとされており、
東アジア地域の住人に多くみら
れます。過去の東アジア地域の
疫学調査から、ALDH2 変異型と
ADの関連性が指摘されていた一
方で、関連がないという研究報
告もありました。

そこで研究グループは、AD患者
さん20人から採取した細胞を培
養して、ALDH2 変異との関連性
を調べました。結果、1人の細
胞からALDH2*2 として知られる
ALDH2 変異型が見つかりました。
この細胞を調べたところ、正常
ALDH2 と比較して、同程度の量
のALDH2*2 が作られていました
が、有害物質のアセトアルデヒ
ドを分解できる能力は低いとい
う結果がでました。

また、ALDH2*2 細胞では、フリ
ーラジカルや4-HNE といった、
本来はALDH2 によって除去され
る有害物質が正常細胞よりも多
いことも分かりました。フリー
ラジカルは発熱時や慢性疾患、
ストレスを抱えているときなど
に発生するとされ、有毒なアル
デヒドを形成することも知られ
ています。アルデヒドが蓄積さ
れると、ミトコンドリア機能が
劣り、やがて神経細胞の死を招
き、ADの発症に至ると考えられ
るということです。

さらに、これらのAD患者さん由
来の細胞にアルコールを添加し
たところ、ALDH2 およびALDH2*
2 のどちらでもフリーラジカル
が増加しましたが、ALDH2*2 の
方がより多く増加することも確
認されました。一連の解析結果
から、ALDH2*2 ではアルコール
によって、通常ALDH2 の働きに
よって保護される細胞が損傷さ
れ、この損傷の度合いは、ADリ
スクの高い遺伝型であるApoE
ε4 アレルをもつAD患者の場合
に、より高くなることが示唆さ
れました。続いて、マウスを用
いてアルコールとALDH2 の関連
をさらに解析しました。ALDH2*
2 変異型と野生型のマウスに、
あらかじめ11週間にわたりアル
コール1g/kg を毎日与え、慢性
アルコール状態を模しました。
この量は、体重60~70kgの人が
1日に60~70g のアルコール(
ドリンク4~5杯)を毎日飲むの
と同等です。ただ、実際にはマ
ウスのアルコール代謝はヒトよ
りも早いため、1日2杯程度に相
当するということです。

結果、ALDH2*2 変異型マウスで
は、正常マウスと比較して、ア
ルコール摂取によりフリーラジ
カルを多く発生していました。
また、アミロイドβ蛋白質や蛋
白質の蓄積、神経炎症の増加な
ど、ADの病態も変異型マウスで
確認されました。さらに、マウ
スの脳細胞を解析したところ、
ALDH2*2 変異型のマウスでは、
ニューロンやアストロサイトで
フリーラジカルの増加や細胞死
が確認されました。

今回の研究で、AD患者細胞レベ
ルおよび動物モデルの研究から、
ALDH2*2 変異型とアルコールの
関連性は明らかとなりましたが、
ALDH2*2 変異型保有がAD発症を
高めるかどうかについては、更
に大規模な疫学調査やヒトにお
ける検証が今後行われる必要が
あります。一方で、これらの結
果は飲酒量を減らすなどの予防
に貢献する可能性はあると、研
究グループは見ています。

お酒を飲むと顔が赤くなる原因

について解説している動画です。

 

 

 

 



 懸賞金の分配を検証する。笑














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編集後記


 大阪大学が1月9日、ヒト心筋
の細いフィラメントにおける収
縮弛緩の制御メカニズムを分子
レベルで明らかにしたと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
心臓の心筋は、生まれる以前か
ら、一日9~10万回収縮し続けて
死ぬまで止まることは、ありま
せん。正に疲れを知らない筋肉
と言えましょう。そんな心筋は、
止まることは許されないので、
ペース配分が重要です。休みが
必要な時は、心拍数を落として
休み、頑張らないといけない時
は心拍数を増やして対応してい
る訳です。その収縮弛緩の制御
メカニズムが分かった訳ですか
ら、制御システムを通じて心筋
を休ませたり、働かせたりが、
自由になるということだと思い
ます。
 米スタンフォード大は12月11
日、アルコール分解酵素「2型
アルデヒド脱水素酵素」(以下、
ALDH2 )の変異とアルツハイマ
ー型認知症(以下、AD)に潜在
的な関連があることを証明した
と発表したのは素晴らしい業績
です。アルデヒド脱水素酵素」
(以下、ALDH2 )の変異とがん
も関連があると私は推測してい
ます。ALDH2*2 変異型マウスで
は、正常マウスと比較して、ア
ルコール摂取によりフリーラジ
カルを多く発生していて、アミ
ロイドβ蛋白質や蛋白質の蓄積、
神経炎症の増加など、ADの病態
も変異型マウスで確認されたと
いう事ですから関連は確実でし
ょう。さらに、マウスの脳細胞
を解析したところ、ALDH2*2 変
異型のマウスでは、ニューロン
やアストロサイトでフリーラジ
カルの増加や細胞死が確認され
たため、前述の関連は、確実に
証明されたということだと思い
ます。

 照明の重要性が証明された。
















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