診療マル秘裏話  号外Vol.1721 令和2年2月10日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)自己免疫性膵炎は原因不明の特殊な膵臓の疾患
2)クエン酸の合成酵素が、受精卵活性化の精子ファクタ-














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 自己免疫性膵炎は原因不明の特殊な膵臓の疾患











 自己免疫性膵炎は、1995年に
日本から世界に発信された原因
不明の特殊な膵臓の疾患です。
日本では、抗体の一種であるI
gG4を分泌する免疫細胞の増
殖が起こるIgG4関連疾患の
膵病変が大半で、難病に指定さ
れています。関西医科大学付属
病院(大阪府枚方市)消化器肝
臓内科の岡崎和一主任教授に聞
きました。人間には、細菌やウ
イルスなどの異物を排除するた
めの免疫機能が備わっています。
何らかの原因により免疫機能が
誤作動を起こし、自身の臓器や
細胞を異物として攻撃すること
で発症する病気を自己免疫疾患
ということです。自己免疫性膵
炎もその一つと考えられていま
す。

 免疫をつかさどる抗体の主な
成分に、免疫グロブリン(Ig)
という蛋白質があります。Ig
には5種類あり、そのうち健常
人ではわずかしかないIgGの
一つがIgG4です。IgG4
関連疾患は最も少ないはずのI
gG4の血中濃度が高く、Ig
G4を分泌する免疫細胞が増殖
して、さまざまな臓器で炎症や
線維化を引き起こし、臓器が腫
れる特徴があります。

 IgG4関連疾患では、涙腺
や唾液腺、肺、腎、膵、腸など
全身に炎症が起こり得えます。
「どこに症状が表れるかは、患
者さんによって異なります。自
己免疫性膵炎は、膵臓に表れた
ものです」と岡崎主任教授は説
明しています。自己免疫性膵炎
は高齢男性に最も発症しやすい
とされています。膵臓がソーセ
ージのように腫れたり、胆汁の
流れる胆管が細くなったり閉塞
したりして、黄疸(おうだん)
が表れることもしばしばです。
急性膵炎のような痛みはなく、
あっても軽度です。

 かつては膵臓がんと間違われ
る患者さんが多かったことから、
自己免疫性膵炎の診断では、膵
臓がんとの区別が重要です。コ
ンピューター断層撮影(CT)
や磁気共鳴画像装置(MRI)、
内視鏡などの各検査を行います
。撮影した画像、IgG4の血
中濃度だけでなく、組織や細胞
を採取して膵臓がんと区別する
ことが大切です。

 治療では、ステロイドが使用
されます。症状を見ながら服用
量を減らし、副作用が問題とな
らなければ長期の維持療法へ移
行します。約半数は再発するの
で、ステロイドの内服は3年ほ
ど継続することが推奨されてい
ますが、それでも中止すると再
発することがある厄介な病気で
す。

 「原因は不明であるものの、
原因物質や免疫異常の特定が進
んでおり、今後は標的物質を解
明することで、将来的には新し
い治療法の開発などが期待でき
ます」と岡崎主任教授は話して
います。

IgG4関連性疾患の症状と治療に

ついて解説している動画です。

 

 

 

 



 注視することを中止する。笑














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2】 クエン酸の合成酵素が、受精卵活性化の精子ファクタ-












 国立成育医療研究センターは
1月15日、精子の中にある「ク
エン酸合成酵素」が受精卵を活
性化させる精子ファクターとな
ることをマウスによる研究で明
らかにし、クエン酸合成酵素の
働きが年齢とともに弱まりクエ
ン酸を合成できなくなることで、
男性不妊を発症する可能性があ
ることがわかったと発表しまし
た。この研究は、同センターの
康宇鎭研究員、宮戸健二室長ら
の生殖研究グループによるもの
です。研究成果は、米国の病理
学会誌「Laboratory Investiga
tion」に掲載されました。

男性の不妊症では、精子を作る
ことができない「無精子症」、
精子が少ない「乏精子症」が知
られています。一方で、精子が
作られるのに受精できない症例
や、年齢にともなって進行する
男性不妊もあります。このよう
なケースでは、診断が難しく、
原因も明らかにされていません。
研究グループは今回、加齢によ
る男性不妊の原因を明らかにす
るため、研究を行いました。

受精卵は精子と卵子が融合する
ことで作られていますが、精子
と卵子の融合によって必ずしも
全ての受精卵が細胞分裂を始め
る胚になるわけではありません。
受精卵が細胞分裂を始める「卵
活性化」のためには、精子が卵
子に融合したことを知らせるシ
グナルが必要です。このシグナ
ルは、卵子内でカルシウム濃度
が上昇し伝播していく現象であ
り、精子から卵子への物質の移
行が必要となります。この物質
は精子ファクターと呼ばれ、こ
れまでは「ホスホリパーゼCゼ
ータ」1つだと考えられてきま
した。一方で、イモリの研究よ
り「クエン酸合成酵素」も精子
ファクターとして働くことが知
られていました。研究グループ
は、クエン酸合成酵素や、この
酵素によって合成される「クエ
ン酸」がマウスの卵活性化にど
のように関係しているのかを研
究しました。マウスにはクエン
酸合成酵素が2つあり、1つは精
子の頭部に非常に多く存在する
ことが判明しています。そこで、
頭部の酵素を欠損させた雄マウ
スを作製しました。

人間の年齢に換算し、30歳程度
までのマウスは、もう一方のク
エン酸合成酵素の働きが活発で、
精子のクエン酸含有量はあまり
変わりませんでした。 しかし、
30歳を超えるマウスではクエン
酸合成酵素の働きが弱まってお
り、クエン酸含有量の減少が見
られたということです。 次に、
これらのマウスの精子の「卵活
性化」について研究を進めまし
た。その結果、クエン酸含有量
の変わらない若いマウス(人間
の年齢に換算すると30歳程度ま
で)では、欠損させたクエン酸
合成酵素の代わりにクエン酸が
精子ファクターとして働き、正
常に卵活性化が起こることが分
かりました。一方で、クエン酸
が少ない精子では卵活性化が起
こりづらくなり、雄性不妊を発
症したということです。

同研究により、精子ファクター
は少なくとも2つあることや、
第2の精子ファクターである「
クエン酸合成酵素」が加齢によ
って働きが弱まり、精子内で合
成される「クエン酸」含有量も
減少すると、男性不妊を発症す
る可能性があることが明らかに
なりました。今後、研究グルー
プは男性不妊患者を対象とした
研究を検討しています。 この
研究で、精子に含まれるクエン
酸の含有量を測定することによ
り、男性不妊のリスク要因を評
価する方法の開発などが期待さ
れる、と研究グループは述べて
います。

男性不妊の原因について解説し

ている動画です。

 

 

 



 新天地に赴任したとたん男性
不妊となる。       笑













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編集後記


 自己免疫性膵炎は、1995年に
日本から世界に発信された原因
不明の特殊な膵臓の疾患です。
日本では、抗体の一種であるI
gG4を分泌する免疫細胞の増
殖が起こるIgG4関連疾患の
膵病変が大半で、難病に指定さ
れているのは、医療関係者なら
周知の事実です。免疫細胞、特
にT細胞では、自己免疫が起こ
るとすぐに、そのT細胞はとり
除かれることが知られています。
自己免疫性疾患は何らかの原因
でこのシステムが、うまく働か
ず、自分の身体に対する、免疫
が作動してしまうことによって
起こるとされています。ステロ
イドホルモンが治療に使われる
ということですが、その使い方
だけでも、治療の成否に大きく
影響すると思われます。
 国立成育医療研究センターは
1月15日、精子の中にある「ク
エン酸合成酵素」が受精卵を活
性化させる精子ファクターとな
ることをマウスによる研究で明
らかにし、クエン酸合成酵素の
働きが年齢とともに弱まりクエ
ン酸を合成できなくなることで、
男性不妊を発症する可能性があ
ることが分かったと発表したの
は、偉大な業績です。これまで、
男性不妊の原因については原因
不明とされるばかりで、この様
な詳細な機構が解明されるなん
て夢にも思いませんでした。た
だ、この機構だけではなく、他
の原因でも男性不妊となる可能
性は、否定できません。 男性
不妊のメカニズムが完全に解明
され、治療に結び付くことを、
大いに期待したいと思います。

 詳細な機構についての講義を
聴こう。         笑















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