診療マル秘裏話  号外Vol.1723 令和2年2月13日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)急性骨髄性白血病向けに、新分子標的薬が承認
2)福山型筋ジストロフィーの新発症メカニズムを解明と発表














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 急性骨髄性白血病向けに、新分子標的薬が承認











 これまでの治療薬が効きにく
いタイプの急性骨髄性白血病(
AML )向けに、新しい分子標的
薬が相次いで承認されました。
骨髄などの造血幹細胞移植も、
合併症を予防しやすくなり、治
療の選択肢が広がっています。
 東京都八王子市に住む岡本弘
さん(60)は2016年、人間ドッ
クがきっかけで精密検査を受け、
急性骨髄性白血病と分かりまし
た。同時に「FLT3」という遺伝
子に変異があり、治療が難しい
タイプであることも告げられま
した。

 「俺ダメなんだ。移植もでき
ないなんて」とショックを受け
たが、この遺伝子変異がある患
者さんを対象に、分子標的薬「
FLT3阻害剤」の治験を医師に紹
介されました。治験に参加して
薬を使ったところ、白血病細胞
が激減しました。骨髄移植でき
る状態になり、同年5月に骨髄
移植を受けました。昨年10月、
合併症によって再び移植を受け、
2カ月の入院を経て現在は通院
しながら経過を観察中です。岡
本さんは「この薬のおかげで移
植できる状態になった。ゴルフ
ができるよう体力を回復させた
い」と話しています。

 AML の治療はまず、複数の抗
がん剤を使い、骨髄中に白血病
細胞がなくなり白血球や赤血球
などの数が正常範囲になる「寛
解」を目指します。その後、半
数近くの人は骨髄や臍帯血(さ
いたいけつ)などの造血幹細胞
を移植する2本立てで治療をし
ます。

 岡本さんのようにFLT3遺伝子
に変異があるのは、AML 患者さ
んの2~3割とされています。こ
の変異があると、白血病細胞を
無制限に増やすスイッチが入っ
てしまいます。これまでは変異
がある場合、抗がん剤を使って
も、骨髄移植ができる状態まで
白血病細胞を抑えることが難し
いとされてきました。

 しかし、2018~19年にかけて、
国内でFLT3阻害剤のギルテリチ
ニブとギザルチニブが承認され
ました。白血病細胞を無制限に
増やす信号を妨げる作用がある
とされ、臨床試験では約3~5割
が「寛解」となりました。移植
につながったということです。

 独協医科大の三谷絹子教授(
血液内科)は、「現時点ではこ
れだけで治癒する、という薬で
はない。造血幹細胞移植に橋渡
しできる可能性が高まり、患者
にとって希望をつなげる薬」と
話しています。従来の抗がん剤
治療と比べて副作用も少ないと
され、「高齢者も生活の質を維
持して治療を継続できる」と指
摘しています。急性骨髄性白血
病の場合、薬だけで「治る」の
は約10%。化学療法で「寛解」
まで白血病細胞を減らした後、
ほかの人から全ての血液の元に
なる造血幹細胞を移植して完治
を目指します。

 兄弟姉妹や親子など血縁者間
や、骨髄バンクなどを通じた非
血縁者間での造血幹細胞移植は、
年に約3700件(17年)に及びま
す。20年前と比べて3倍以上に
増えています。おもな理由は、
臍帯血バンクの充実や、白血球
の型であるHLA が半分だけ一致
した血縁者間での「ハプロ移植」
の普及です。

 国内では、HLA が完全に一致
した血縁者の提供者(ドナー)
が見つかる可能性は25%前後と
されています。国立がん研究セ
ンター中央病院造血幹細胞移植
科の福田隆浩科長は「以前はド
ナーがおらず移植できないこと
もあったが、現在はたいてい見
つかる」と説明しています。

 一方、ハプロ移植では、移植
したドナーの細胞が患者さんの
体を攻撃して、肝臓や肺などに
炎症が起こる「移植片対宿主病」
(GVH 病)が生じる可能性が高
まることが課題でした。

 近年、移植後にシクロフォス
ファミドなどの抗がん剤を使っ
てGVH 病を予防する方法が登場
しました。このためハプロ移植
は10年以降急増し、現在は年に
約500 件実施されているという
ことです。福田さんは「移植後
の生存率も上がり、治癒を目指
せる人が増えている」と話して
います。

急性白血病について解説してい

る動画です。

 

 

 



 東条さんが搭乗前に登場した。













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2】 福山型筋ジストロフィーの新発症メカニズムを解明と発表











 東京都健康長寿医療センター
は1月17日、先天性筋ジストロ
フィーの原因遺伝子FKRPによる
糖鎖合成機構を解明し、筋ジス
トロフィーの新たな発症メカニ
ズムを明らかにしたと発表しま
した。この研究は、同センター
の遠藤玉夫シニアフェロー、萬
谷博研究副部長、今江理恵子研
究員、高エネルギー加速器研究
機構物質構造科学研究所の加藤
龍一准教授、桑原直之研究員(
研究当時)らの研究グループに
よるものです。研究成果は、Na
ture Publishing Group 発行の
オンライン国際科学雑誌「Natu
re Communications 」に掲載さ
れています。

 先天性筋ジストロフィーは、
全身の筋力が低下する遺伝子疾
患であり、厚生労働省の指定難
病です。研究グループは、糖鎖
の異常を原因とするタイプの筋
ジストロフィーを発見し、その
発症メカニズムを明らかにして
きました。この中には、日本の
小児筋ジストロフィーの中で2
番目に多い福山型筋ジストロフ
ィーも含まれます。

 また、研究グループはこれま
でに、福山型とその類縁疾患の
原因遺伝子産物fukutin 、FKRP
の機能を明らかにし、これらが
糖鎖を作る糖転移酵素の仲間で
あること、その働きによって「
リビトールリン酸」が2個つな
がった、ユニークな構造が形成
されることを報告しています。
このような糖鎖は、哺乳動物で
は見つかったことがない新しい
構造であり、病態解明や治療法
開発のために、この糖鎖が合成
される仕組みを明らかにする必
要がありました。

 今回、研究グループは、X線
結晶構造解析によりFKRPの立体
構造の解明に成功しました。FK
RPがリビトールリン酸をつなげ
て糖鎖を伸ばす仕組みを明らか
にしました。FKRPは、機能未知
だった部分(幹領域)と酵素活
性を担う部分(触媒領域)で構
成されますが、1分子で単独で
存在するのではなく、FKRPが4
つ集合した「4量体」という状
態で存在し、2つのFKRPのそれ
ぞれの幹領域と触媒領域を使っ
て糖鎖を両端から挟み込むよう
に捕まえることが分かったとい
うことです。FKRPと糖鎖の結合
には、リン酸というこの糖鎖に
特徴的な構造が必要でした。

 また、筋ジストロフィー患者
さんから見つかったいくつかの
変異FKRPは、4量体を作ること
ができず、酵素活性が著しく低
下していました。これらの結果
から、FKRPが複数で集まって存
在することは、FKRPが糖鎖を捕
まえるために必須であることが
判明しました。同じ酵素2つが
協調して糖鎖を捕まえるという
方式も、糖鎖を合成する仕組み
として初めての発見であり、ユ
ニークなリビトールリン酸構造
を形成する基盤であることが明
らかになりました。

 今回の研究結果より、FKRPの
変異によって4量体を作れなく
なった患者さんに対して、4量
体を作らせる化合物・薬物を探
すことで、筋ジストロフィーの
新たな治療法の開発につながる
ことが期待されます。また、加
齢性の筋肉減少症であるサルコ
ペニアにおいても、この糖鎖の
合成が徐々にうまくいかなくな
る可能性を探ることで、高齢者
医療につながることが期待され
る、と研究グループは述べてい
ます。

福山型筋ジストロフィー症につ

いて解説している動画です。

 

 

 



 華麗に鰈が加齢する。笑












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編集後記


 これまでの治療薬が効きにく
いタイプの急性骨髄性白血病(
AML )向けに、新しい分子標的
薬が相次いで承認されたのは、
喜ばしいことです。従来の抗が
ん剤治療と比べて副作用も少な
いとされていますが、比較対象
として従来の抗がん剤を選んで
いるのは、問題だと思います。
それは、従来の抗がん剤治療を
工夫なく、使うと副作用が半端
ないことが分かっているからで
す。しかしながら、工夫とされ
る、夜間に抗がん剤の治療を行
うであるとか、ポリマーを抗が
ん剤につけてEPR 効果を狙う等
がなされている病院施設は数え
るほどしかありません。実に嘆
かわしいことだと思います。
 東京都健康長寿医療センター
は1月17日、先天性筋ジストロ
フィーの原因遺伝子FKRPによる
糖鎖合成機構を解明し、筋ジス
トロフィーの新たな発症メカニ
ズムを明らかにしたと発表した
のは喜ばしいことです。筋ジス
トロフィーには、いろいろな型
があり、その型によって治療法
(特に、根本的な治療法)が異
なるようにすべきだと言われて
います。現在、行われているの
は対症療法であり、対症療法で
は、完治が難しいとされている
のです。 筋ジストロフィーの
患者さんにとって治療法の開発
に余り時間をとられては、その
間に寿命が無くなってしまうと
いうことが起こります。そのた
め、一刻の猶予なく、全ての型
の治療法を開発すべきであると
思います。

 八章で発症メカニズムについ
て解説する。       笑














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