診療マル秘裏話  号外Vol.1724 令和2年2月14日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)BMCTで液体糊成分添加薬剤使い治療効果を向上
2)亜鉛欠乏による、大腸炎増悪メカニズムを解明














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 BMCTで液体糊成分添加薬剤使い治療効果を向上











 ホウ素を含む薬剤をがん細胞
に取り込ませて中性子を照射し、
ホウ素から出る粒子でがん細胞
を殺す「ホウ素中性子捕捉療法」
(BNCT)で、東工大などの
研究チームは、1月22日、液体
のりの主成分を加えた薬剤で治
療効果を大幅に向上させたと発
表しました。成果は同日付の米
科学誌サイエンス・アドバンシ
ズに掲載されました。
 BNCTは、がん細胞が取り
込みやすいアミノ酸にホウ素を
結合させた化合物(BPA)を
注射し、蓄積させた上でエネル
ギーの低い中性子を照射します。
中性子を浴びたホウ素から殺傷
力の高いアルファ粒子が放出さ
れ、がん細胞を殺します。他の
細胞を傷つけず副作用が少ない
治療法として期待されています
が、一層の効果向上にはBPA
ががん細胞内にとどまる時間を
長くする必要がありました。
 東工大の野本貴大助教らは、
液体のりの主成分ポリビニルア
ルコールをホウ素に混ぜること
で、BPAが連なった構造の新
薬剤を開発し、がん細胞への取
り込まれ方が変わり、排出され
にくくなりました。
 皮下にがん細胞を移植したマ
ウスを使った実験では、従来の
BPAに比べ、がん細胞内の集
積量や滞留時間が増加しました。
中性子の照射後、がん細胞が消
失するなど、根治に近い効果が
みられました。

このニュースのニュース動画で

す。

 

 

 



 比嘉さんが皮下注射された。















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2】 亜鉛欠乏による、大腸炎増悪メカニズムを解明











 石川県立大学は1月17日、亜
鉛欠乏による大腸炎増悪メカニ
ズムを解明したと発表しました。
これは、同大生物資源環境学部
食品生化学研究室准教授 東村
泰希および京都府立医科大学大
学院医学研究科医療フロンティ
ア展開学(消化器内科学併任)
髙木智久准教授、同・消化器内
科学 内藤裕二准教授、同・伊
藤義人教授らの研究グループに
よるものです。研究成果は、科
学雑誌「Journal of Crohn’s
and Colitis 」に掲載されてい
ます。腸管粘膜にはマクロファ
ージ(Mph )や樹状細胞など多
くの自然免疫細胞が存在してお
り、腸管における免疫応答や蠕
動運動などの生理的機能の恒常
性を維持する上で重要な役割を
果たしています。これらの免疫
細胞の異常な活性化が、炎症性
腸疾患の発症要因のひとつと考
えられています。

Mph は腸管粘膜固有層に最も多
く存在する貪食細胞で、腸管炎
症の病態形成におけるMph の機
能が注目されています。炎症型
(M1)と炎症抑制型(M2)に大
別されており、炎症病態の形成
にはM1型のMph が関与すると考
えられています。一方で、M2型
Mph の分化誘導は、炎症性腸疾
患の抑制に奏功する可能性が示
されています。これらの考えを
基に研究グループはこれまで、
Mph の分化制御と腸管炎症に関
する研究を進めており、遺伝子
改変マウスや食品由来因子を用
いて、Mph のM2誘導を基軸とし
た大腸炎抑制に関する知見を報
告してきました。

必須微量元素である亜鉛は、生
体の免疫応答に深く関与してい
ます。さまざまな炎症病態モデ
ルにおいて亜鉛の重要性が示さ
れていますが、腸管炎症と亜鉛
に関する知見は未だ不十分です。
一方、これまでの臨床的な知見
として、炎症性腸疾患の罹患者、
特にクローン病患者さんの血中
亜鉛濃度は、健常者に比べて低
値を示すことが知られています。
しかし、血中亜鉛濃度の低下に
伴う腸管炎症病態への影響に関
しては不明な点が多く、その詳
細は明らかになっていません。
そこで研究グループは、Mph 分
化機構に焦点を当て、亜鉛欠乏
が腸管炎症に及ぼす病態生理的
作用に関して明らかにすること
を目的とし、研究を行いました。
まず、亜鉛欠乏マウスを作製し、
同マウスにおいて炎症性腸疾患
の実験モデルであるトリニトロ
ベンゼンスルホン酸誘発性大腸
炎モデルを作製しました。その
結果、亜鉛欠乏に伴い大腸炎が
著明に増悪することを見出しま
した。その後、フローサイトメ
ーターを用いて作用機序を解析
した結果、大腸粘膜固有層にお
いて炎症型であるM1型Mph の増
加ならびに17型ヘルパーT(Th
17)細胞が活性化することが判
明しました。また、Th17細胞の
活性化には、M1型Mph から分泌
されるインターロイキン-23(I
L-23)が関与することを明らか
にしました。

次に、マウス骨髄由来単球より
分化誘導したマウス骨髄由来マ
クロファージ(BMDM)を用いて、
Mph におけるIL-23 発現と、亜
鉛欠乏との関係を調べました。
その結果、亜鉛キレーターであ
るTPENの添加により細胞内亜鉛
欠乏を呈したBMDMでは、IL-23
を構成するサブユニットである
IL-23p19の発現が有意に亢進す
ることを見出しました。さらに、
亜鉛欠乏に伴うIL-23p19の発現
亢進には、インターフェロン応
答型転写因子であるIRF5の核内
移行ならびにIL-23p19プロモー
ター上へのリクルートの促進が
関与することを明らかにしまし
た。クロ―ン病患者などの炎症
性腸疾患患者さんの血中亜鉛濃
度が低値を示すことは古くから
知られていましたが、腸管炎症
におけるその意義についてはこ
れまで明らかにされていません
でした。今回の研究で、亜鉛が
欠乏することにより、インター
フェロン応答型転写因子IRF5の
核内移行に起因したMph のM1分
化を介した腸管炎症病態進展機
構の一端が解明されました。

研究グループは、「亜鉛欠乏に
よって惹起されるIL-23/Th17経
路活性化は炎症性腸疾患のみな
らず、多くの自己免疫疾患の病
態形成に関与することが知られ
ていることから、本知見は亜鉛
を用いた炎症性腸疾患治療の再
考に役立つだけでなく、その他
多くの自己免疫疾患に対する治
療戦略構築に対して有用な情報
となることが期待される」と、
述べています。

亜鉛不足と症状について解説し

ている動画です。

 

 

 

 



 毛色の違う経路活性化につい
て調査する。       笑














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編集後記


 ホウ素を含む薬剤をがん細胞
に取り込ませて中性子を照射し、
ホウ素から出る粒子でがん細胞
を殺す「ホウ素中性子捕捉療法」
(BNCT)で、東工大などの
研究チームは、1月22日、液体
のりの主成分を加えた薬剤で治
療効果を大幅に向上させたと発
表したのは、喜ばしいことです。
動物実験とはいえ、のりの主成
分を加えた薬剤で治療効果を大
幅に向上させたということが、
証明されたのは偉大な業績です。
液体のりの主成分は、幹細胞の
培養でも、その威力を発揮しま
した。のりの主成分を加えた、
薬剤での臨床試験もしくは、臨
床研究が待ち望まれます。
 石川県立大学が1月17日、亜
鉛欠乏による大腸炎増悪メカニ
ズムを解明したと発表したのは、
素晴らしい業績です。亜鉛欠乏
と言えば、嗅覚・味覚障害です
が、大腸炎の増悪にも関係して
いたとは、本当に人間の身体に
必要とされるミネラルであると
いうことが実感されます。欧米
では、セックス・ミネラルと呼
ばれることもあるようです。肝
心な所で、活躍するミネラルと
考えても差し支えないでしょう。
貝の牡蠣などに多く含まれます
が、だからと言って鮮度の落ち
る貝の牡蠣を食べ過ぎるとノロ
ウイルスによる胃腸炎を発症す
る可能性が高くなりますので、
注意が必要です。

 中尉が下士官を注意する。笑














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