診療マル秘裏話  号外Vol.1802 令和2年5月15日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)シグレック15抗体が、小児ステロイド性骨粗鬆症に有効
2)武漢熱PCR 検査陽性率と死亡者数との相関関係















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 シグレック15抗体が、小児ステロイド性骨粗鬆症に有効











 北海道大学は4月22日、シグ
レック15抗体が、小児ステロイ
ド性骨粗鬆症に対して、有効か
つ安全な治療法となり得ること
を世界で初めて証明したと発表
しました。この研究は、同大大
学院医学研究院の髙畑雅彦准教
授、同大学院歯学研究院の網塚
憲生教授らの研究グループが、
第一三共株式会社と共同で行っ
たもの。研究成果は「BONE」に
オンライン掲載されています。
骨粗鬆症は高齢者に多い病気で
すが、小児でも骨系統疾患(生
まれつきの骨の病気)やネフロ
ーゼ症候群、小児がんなどの疾
病やその治療に用いられる薬剤
によって骨粗鬆症を発症するこ
とがあります。最も頻度が高い
のはステロイド薬による骨粗鬆
症で、長期的に使用した場合や
パルス療法を行なった場合は、
脆弱性骨折を起こすこともまれ
ではありません。成人では、ス
テロイドを投与する場合、予防
的に骨粗鬆症治療薬を併用投与
することが推奨されています。
しかし小児では、既存の骨粗鬆
症治療薬の安全性が確立されて
おらず、ステロイドと併用でき
る骨粗鬆症症治療薬がありませ
ん。そのため、小児にも安全に
使用できる新しいステロイド性
骨粗鬆症治療薬の開発が必要と
されています。

骨粗鬆症の治療には破骨細胞の
分化や働きを抑える骨吸収抑制
薬が主に用いられるが、この薬
剤を成長期の小児に使用した場
合、骨の成長を妨げる可能性が
あります。これは、成人の骨が
形を変えないままリモデリング
(新陳代謝)で維持されるのに
対し、成長期の骨はリモデリン
グに加えて、成長に伴う形態変
化(モデリング)が必要なため
です。破骨細胞はこのモデリン
グにおいても重要な役割を担っ
ています。実際に、遺伝的に破
骨細胞ができない/機能しない
マウスでは長幹骨に成長障害が
みられ、こびと症を呈します。
シグレック15は主に破骨細胞の
細胞膜に発現するシアル酸受容
体ファミリー蛋白質のひとつで、
破骨細胞の最終分化を制御する
1型膜蛋白質です。シグレック
15遺伝子を欠損するマウスは破
骨細胞分化不全による大理石病
様表現型を示すものの、成長障
害はきたしません。これは成長
帯付近にシグレック15の代償経
路が存在するためです。つまり、
抗シグレック15分子標的療法は
、骨の成長に悪影響を与えずに
骨量を増加させる理想的な小児
骨粗鬆症治療法といえます。そ
こで今回、研究グループは、成
長期の小児ステロイド性骨粗鬆
症に対するシグレック15抗体と
代表的な既存骨粗鬆症治療薬で
あるアレンドロネートの予防的
治療効果と骨成長への影響を、
ラットを用いて検討しました。

まず、6週齢の成長期雌ラット
背部にステロイド(プレドニゾ
ロン)が徐々に溶け出すペレッ
トを埋め込み、ステロイド性骨
粗鬆症モデルを作成しました。
このラットに、シグレック15抗
体、アレンドロネート、溶媒の
み(コントロール)をステロイ
ド投与と同時期に6週間投与し、
骨成長への影響と骨量・骨強度
増加効果を比較検証しました。
骨成長への影響は、経時的な体
長、大腿骨長の計測と成長帯の
組織学的観察で評価しました。
骨量・骨強度増加効果は、X線
マイクロCTを用いた骨量・骨微
細構造解析、二重エネルギーX
線吸収測定法による骨密度測定、
力学強度測定、および組織学的
観察で評価しました。ステロイ
ドを投与したラットは、健常ラ
ットと比較して大腿骨の骨量と
骨強度が低下するとともに体長
及び大腿骨長の成長が鈍化しま
した。ステロイドに加え溶媒の
みを投与したラットと比較して、
シグレック15抗体を投与したラ
ットでは体長や大腿骨長に変化
はありませんでしたが、大腿骨
の骨量、骨密度と骨強度が有意
に改善しました。アレンドロネ
ートを投与したラットでは、骨
量や骨密度が有意に改善しまし
たが、骨の形態異常や骨成長帯
に異常が生じました。シグレッ
ク15抗体はアレンドロネートと
比較して骨量増加効果や骨強度
改善効果が優れていましたが、
これはアレンドロネート投与に
より骨形成がさらに低下したの
に対し、シグレック15抗体投与
では低下しないためと考えられ
ました。つまり、骨成長に対す
る安全性だけでなく、骨粗鬆症
治療効果においてもシグレック
15抗体は既存の骨吸収抑制剤よ
りも優れる可能性が示されまし
た。

研究グループは、「抗シグレッ
ク15療法は、小児ステロイド性
骨粗鬆症に対して有効かつ安全
に使用できる可能性が示された。
小児がんや自己免疫疾患、ネフ
ローゼ症候群などの病気に苦し
む子どもにステロイドを使う際
の有効な予防法になると期待さ
れる」と、述べています。

骨粗鬆症について解説している

動画です。

 

 

 



 携帯の形態が変化する。笑









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2】 武漢熱PCR 検査陽性率と死亡者数との相関関係














 千葉大学は4月21日、新型コ
ロナウイルス感染症について、
PCR 検査陽性率と死亡者数との
相関関係があること、また、1
日の死亡数は、西洋諸国で陽性
率7%未満の国において、陽性率
がそれ以上の国の15%でしかな
いという解析結果を発表しまし
た。これは、同大大学院薬学研
究院および医学研究院の研究グ
ループによるものです。研究成
果は、「Preprints 」(査読前
論文公開サイト)に掲載されて
います。新型コロナウイルス感
染症が世界的に猛威をふるって
いる現在、自国の対応に精一杯
で、他国との客観的な比較が十
分ではありません。そこで、研
究グループは入手可能な世界の
情報を科学的に解析することで、
感染症終息のための新たな戦略
が見い出せることを期待し、調
査を開始しました。新型コロナ
感染症の世界各国における検査
陽性者および死亡者数は、欧州
疾病予防管理センター(ECDC)
から、現在のPCR 検査の実施状
況は、英語版のWikipedia(COV
ID-19 testing )より入手しま
した。機械学習はPython(3.7.
3)のscikit-learn ライブラリ
(0.22.2)を用いて実施しまし
た。

世界の感染拡大は、各国のPCR
検査陽性者数の増加で報告され
ています。PCR 検査は、リスク
の低い人に対し大量に実施して
も誤って陽性となる数が多くな
るので、検査の意味がなくなり
ます。必要な検査数を保つこと
が重要で、陽性率はその指標に
なります。新型コロナウイルス
感染症では無症状感染者が多く
いることから、報告の数字は各
国の検査の徹底度に影響されて
おり、感染者数を正確には表し
ていないと考えられます。そこ
で、1日の死亡者数をその国の
人口で補正したデータを、その
変化のパターンから地域ごとの
予測を可能とする機械学習で解
析しました。

その結果、人口1億人あたりの1
日の死亡者数は、世界の多くの
国で感染拡大30日後にほぼ一定
となり、その推定値(中央値)
は、西洋諸国(欧州、北米、オ
セアニアを含む)で1,180 人で
あるのに対し、中東で128 人、
ラテンアメリカでは97人、アジ
ア(中東を除く)では7人でし
た。このように死亡者数から解
析すると新型コロナウイルス感
染症の広がり方には、西洋とア
ジア地域では100 倍程度の著し
い地域差が確認されました。

地域差の原因は、国の政策、高
齢化の程度、BCG ワクチン接種
を含む厚生制度、医療環境、そ
して国民性などによる影響が考
えられますが、民族の遺伝的要
因(遺伝子配列の違い)による
可能性もあります。ウイルスの
細胞への侵入に関わる蛋白質や、
ウイルスから体を守る蛋白質の
遺伝子の民族による違いなどが
考えられますが、新型コロナと
の関連については、今後の研究
する必要があります。また、研
究グループは、条件のよく揃っ
ている西洋諸国について、感染
による死亡者数とPCR 検査の状
況を比較しました。人口で補正
した死亡者数とPCR 検査数の間
に関係は認められませんでした
が、その陽性率との間には明確
な相関が見られました。機械学
習の解析によると、陽性率が7%
未満の国の死亡者数は、陽性率
がそれ以上の国の15%に過ぎな
いことが明らかになりました。
陽性率が7.0〜16.9%の国と17.
0〜28.0%の国の間には推定死亡
者数に差はなく、7%未満の陽性
率を保つことが、死亡者数の抑
制に重要と考えられます。

どこの国でも、PCR検 査陽性者
が増加して数日経過してから、
死亡者の増加が始まります。こ
の2つの増加の間の期間は国に
よって1〜25日間の違いがあり
ます。研究グループは解析によ
って、この死亡者数の増加がみ
られるまでの期間とPCR 検査の
陽性率が反比例することを見出
しました(逆相関、p < 0.01)。
つまり、陽性者が見出されて直
ちに死亡者が増加した(この期
間の短い)国は、PCR 検査が不
十分で症状が出る前の早期感染
者を見落としていた、あるいは
重症者の入院が手遅れになった
可能性が高いと考えられます。
この結果からも、PCR 検査の陽
性率は死亡者数変動の指標とな
ることが明らかになりました。

アジアの国々でも陽性率が7%以
上の多くの国では感染者の増加
が続いています。日本の陽性率
は4月10日現在7.8%で上昇傾向
にあり、死亡者数を増加させな
いために陽性率を低下させるよ
うにPCR 検査能力を拡大するこ
とが急務と考えられます。「こ
の研究は世界で初めて新型コロ
ナウイルス感染症でのPCR 検査
陽性率と死亡者数との相関を見
出したものです。死亡者を増や
さないためには、PCR 検査を充
実させることが必要です。しか
し、医療従事者の負担を今以上
に増やすことは無理であること
をよく理解している。適切であ
れば医療関係者や研究者等を総
動員してでも前向きに社会全体
でPCR 検査拡大を強くサポート
する必要性を提案する」と、研
究グループは述べています。

武漢熱の死者数が減少傾向とい

うニュース動画です。

 

 

 

 



 導引術のできる人を動員した。














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編集後記



 北海道大学が4月22日、シグ
レック15抗体が、小児ステロイ
ド性骨粗鬆症に対して、有効か
つ安全な治療法となり得ること
を世界で初めて証明したと発表
したのは、偉大な業績です。し
かし、プレドニゾロンを中心と
するステロイドの投与法自体に
症にステロイド性骨粗鬆症のリ
スクがあるのではないかと私は
考えています。一般には、プレ
ドニゾロンのような中長期作用
型のステロイドを副腎皮質ステ
ロイドホルモンの生理的分泌ピ
ークを無視して投与することに
問題があると思われます。中長
期作用型ではなく、短期作用型
ステロイドホルモンを生理的分
泌ピークに重ねることで副作用
は激減することが分かっている
からです。そうすれば、この抗
体の出番はなくなってしまうと
いうことになります。
 千葉大学が4月21日、新型コ
ロナウイルス感染症について、
PCR 検査陽性率と死亡者数との
相関関係があること、また、1
日の死亡数は、西洋諸国で陽性
率7%未満の国において、陽性率
がそれ以上の国の15%でしかな
いという解析結果を発表したの
は素晴らしい業績です。ただし、
死亡者数から解析すると新型コ
ロナウイルス感染症の広がり方
には、西洋とアジア地域では10
0 倍程度の著しい地域差が確認
されたということは、食生活が
違うのではないかと私は考えて
います。西洋風の食事をする人
は、西洋に多く、アジア地域に
は少ないからです。しかし日本
にも西洋風の食事をする人は、
増えて来ているので、感染数と
死亡数が微妙な7.8%という数字
に現れて来ていると考えられま
す。
 
 懐石料理を解析する。笑











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