診療マル秘裏話  号外Vol.1808 令和2年5月22日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)抗体医薬品紫外線照射でヒスチジン変換メカニズム解明
2)脳の表層に神経線維の集まる微小構造体を発見















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 抗体医薬品紫外線照射でヒスチジン変換メカニズム解明












 大阪大学は4月17日、抗体医
薬品に紫外線照射を行うことで、
蛋白質を構成するアミノ酸の一
種「ヒスチジン」が構造変換さ
れるメカニズムを明らかにした
と発表しました。 この研究は、
同大大学院工学研究科の内山進
教授、薬学研究科の大久保忠保
教授、宮原佑弥大学院生(薬学
研究科博士後期課程)、奈良女
子大学の中沢隆教授、パナソニ
ック株式会社らの研究グループ
によるものです。 研究成果は、
米国科学誌「Scientific repor
ts」オンライン版に掲載されて
います。従来、紫外線を照射す
ると蛋白質が分解されることや
アミノ酸が他のアミノ酸に変化
することは知られており、光照
射は、微生物の殺菌などの目的
で使用されてきました。 特に、
従来の光源よりエネルギーの強
いUVC(Ultra Violet-C )ラン
プは、より効率的な殺菌・消毒
の方法として医薬品製造の場で
の利用が期待されています。

抗体医薬品は、遺伝子組換えや
細胞培養などのバイオテクノロ
ジーを利用して製造されたバイ
オ医薬品の一種です。有効成分
は蛋白質であり、がんや自己免
疫疾患などの治療で用いられま
す。これまで、抗体医薬品にUV
C を照射した際の、アミノ酸の
構造変化メカニズムは明らかに
なっていませんでした。今回研
究グループは、抗体医薬品にUV
C を照射し、質量分析法と酸素
の安定同位体である18O 水を用
いた実験により、ヒスチジンが
中間体を経てアスパラギンおよ
びアスパラギン酸に変換される
メカニズムを解明しました。

今回の研究成果により、抗体医
薬品において有効性および安全
性に影響を及ぼすアミノ酸変換
のメカニズムが明らかとなりま
した。この研究成果は今後、医
薬品製造の場において、UVC 照
射による殺菌、ウイルスの不活
化などの用途で使用する際の、
抗体医薬品への影響を評価する
上で有益な情報となる、と研究
グループは述べています。

UV C紫外線ランプによる消毒に

ついて紹介している動画です。

 

 

 

 



 交代で抗体の作成にあたる。















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2】 脳の表層に神経線維の集まる微小構造体を発見













 金沢大学は4月27日、人間の
脳の精細な解剖とMRI 画像での
描出により、脳の表層に神経線
維の集まる微小構造体を発見し
たと発表しました。この研究は、
同大医薬保健研究域医学系の中
田光俊教授、篠原治道客員教授、
尾崎紀之教授、堀修教授および
医薬保健研究域保健学系の中嶋
理帆助教の共同研究グループに
よるものです。研究成果は、「
Cerebral Cortex 」に掲載され
ています。ヒトの脳は、しわの
くぼみ(脳溝)およびしわとし
わの間の盛り上がり(脳回)で
構成されており、無数の神経線
維がネットワークを形成するこ
とで脳機能を司っています。脳
深部の神経線維の走行は昨今の
脳解剖と画像解析技術により明
らかになりつつありますが、表
層付近の神経線維の走行は、解
剖の難しさと画像での描出技術
が確立されていないことから、
明らかにされていません。しか
し、ヒトの脳の高度に統合され
た脳機能を理解するためには、
脳表層の解剖学的構造の理解が
不可欠です。研究グループは、
今回、精細な脳表層の解剖と、
脳白質線維の描出を可能とする
MRI (拡散スペクトルイメージ
ング)を用いて、脳の表層の神
経ネットワークを明らかにしま
した。これにより、ヒトの脳機
能を担う根幹的な構造について、
2つの発見をしました。

1つ目は、脳回内を連絡するU-
fiberの発見です。 これまでの
研究で、隣り合う脳回はU-fibe
r と呼ばれる短い神経線維によ
って連結されていることが知ら
れています。 今回の研究では、
従来の「脳回間」を連結するU-
fiber に加え、「脳回内」を連
結するU-fiber を発見しました。

2つ目は、crossingの発見。脳
回間と脳回内のU-fiber が、脳
回内でさまざまな方向から特定
のポイントに収束してピラミッ
ド型の神経線維収束ポイントを
形成していることを発見し、こ
の頂点をcrossingと命名しまし
た。crossingは、片側大脳に10
0 か所程度存在することがわか
ったということです。

今回発見された脳表層の微小構
造体crossingは、大脳全体を連
結する神経ネットワークの基本
構造を形成すると考えられます。
さらに、crossingは脳の機能回
復や機能移動を説明し得る構造
であり、ネットワーク臓器とし
ての脳の理解に極めて重要な知
見です。研究グループは、「今
後、crossingの局在やcrossing
が果たす機能的役割についての
解明が進むとともに、脳研究が
加速することが期待される」と、
述べています。

大脳の構造について解説してい

る動画です。

 

 

 

 

 



 微小構造体発見に微笑する。













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編集後記



 大阪大学が4月17日、抗体医
薬品に紫外線照射を行うことで、
蛋白質を構成するアミノ酸の一
種「ヒスチジン」が構造変換さ
れるメカニズムを明らかにした
と発表したのは素晴らしい業績
です。 従来、紫外線を照射す
ると蛋白質が分解されることや
アミノ酸が他のアミノ酸に変化
することは知られており、光照
射は、微生物の殺菌などの目的
で使用されてきたのは事実です。 
この研究成果で、今後、医薬品
製造の場において、UVC 照射に
よる殺菌、ウイルスの不活化な
どの用途で使用する際の、抗体
医薬品への影響を評価する上で
有益な情報として活用して頂き
たいものです。
 金沢大学が4月27日、人間の
脳の精細な解剖とMRI 画像での
描出により、脳の表層に神経線
維の集まる微小構造体を発見し
たと発表したのは、偉大な業績
です。今回発見された脳表層の
微小構造体crossingは、大脳全
体を連結する神経ネットワーク
の基本構造を形成すると考えら
れていて、crossingは脳の機能
回復や機能移動を説明し得る構
造であり、ネットワーク臓器と
しての脳の理解に極めて重要な
知見ということですから、今後、
crossingの局在やcrossingが果
たす機能的役割についての解明
が進むとともに、脳研究が加速
することを大いに期待したいと
思います。

 幸三さんが基本構造を設計す
る。           笑














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