診療マル秘裏話  号外Vol.1866 令和2年7月28日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)アスベスト繊維による悪性中皮腫発ガンメカニズム解明
2)フグ毒の主成分はテトロドトキシンという強力な神経毒















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 アスベスト繊維による悪性中皮腫発ガンメカニズム解明













 名古屋大学は7月2日、アスベ
スト繊維による悪性中皮腫発ガ
ンメカニズムの一端を明らかに
したと発表しました。この研究
は、同大大学院医学系研究科生
体反応病理学の伊藤文哉研究員
と豊國伸哉教授らの研究グルー
プによるものです。研究成果は、
科学誌「Redox Biology 」の電
子版に掲載されています。アス
ベストは、いまだに世界中で使
用されており、悪性中皮腫を発
生する発ガン物質として広く問
題視されています。これまで、
アスベスト繊維の発ガン機構の
研究は、アスベスト繊維が中皮
細胞に取り込まれ核内へも直接
作用することで発ガンが起こる
という見方と、アスベストが引
き起こす炎症を介して間接的に
中皮細胞をガン化させるという
見方の2つの観点から進められ
てきました。この議論について
は、未だ決着がついていません。

アスベストは鉄との関連が強く、
研究グループは先行研究により、
鉄を含む蛋白質のアスベストに
よる吸着、瀉血による除鉄でラ
ット悪性中皮腫発症を遅延でき
ることなどを報告してきました。
しかし、悪性中皮腫の70%以上
においてガン抑制遺伝子p16INK
4aの欠失を認めるにも関わらず、
なぜアスベスト繊維曝露がこの
遺伝子領域の欠失にいたるのか、
という疑問は解決されていませ
ん。

そこで、今回の研究では、鉄代
謝異常という環境変化を伴うア
スベスト発ガン機構を解明する
ため、発ガン性の強いクロシド
ライト(青石綿)と発ガン性の
低いアンソフィライト(直閃石)
の影響を比較し、培養細胞およ
び実験動物を使用した実験を実
施しました。研究では、アスベ
スト繊維の生体内における局在
を確認するために、ラット腹腔
内にクロシドライトおよびアン
ソフィライトを投与しました。
その結果、投与後数日はアスベ
スト繊維が中皮細胞に接触して
いたものの、投与後2週間以降
には生体防御反応により炎症細
胞や線維芽細胞が直接アスベス
トに接し(肉芽腫)、多くは肉
芽腫内のマクロファージに貪食
されていることが判明しました。

また、中皮細胞は、肉芽腫の表
面の一部を覆い、アスベスト繊
維とは離れて存在していました。
とくに、クロシドライト投与後
の間質では、貪食細胞マクロフ
ァージの継続的細胞死を伴いな
がら鉄過剰状態となり、中皮細
胞が常に鉄に曝露される環境に
あることを見出しました。

一方、中皮細胞がアスベスト繊
維曝露による細胞死後、残存中
皮細胞の再生にβ-カテニンを
高発現することを見出し、β-
カテニン高発現の中皮細胞集団
で多くDNAの2本鎖切断が発生す
ることが明らかとなりました。

最後に、アスベスト繊維を直接
作用させた中皮細胞と比較した
結果、H2O2による酸化ストレス
を負荷した中皮細胞では、ガン
抑制遺伝子であるp16 蛋白質、
および遺伝子の位置がその近傍
にあるp15 の蛋白質発現が低下
していました。今回の研究成果
により、触媒性Fe(2)依存的
な中皮腫発ガン機構の一端が解
明されました。また、中皮細胞
再生時におけるβ-カテニンの
高発現はp16INK4aガン抑制遺伝
子欠失に複数のメカニズムを介
して寄与することが明らかとな
りました。

研究グループは、すでにアスベ
ストに曝露された患者さんの悪
性中皮腫発症を予防する戦略の
基盤となる知見が得られたとし、
すでに報告されている除鉄や抗
炎症などに加え、β-カテニン
経路も悪性中皮腫予防のための
分子標的として期待される、と
述べています。

胸膜中皮腫について解説してい

る動画です。

 

 

 



 中皮腫発ガン機構の講義を聴
こう。          笑













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2】 フグ毒の主成分はテトロドトキシンという強力な神経毒












 フグ料理は日本の食文化を代
表するものですが、肝臓や卵巣
に毒が高濃度に含まれているこ
とはよく知られています。取り
扱いを間違えると命を失うこと
になりかねません。フグ中毒と
その対処法について、日本大学
生物資源科学部(神奈川県藤沢
市)糸井史朗准教授に聞きまし
た。フグ毒の主成分はテトロド
トキシンという強力な神経毒で
す。成人における致死量はわず
か1~2ミリグラムで、青酸カ
リの800倍を超える毒性があ
ります。一般的な加熱調理では
毒素はほとんど分解されません。

 フグの中毒例は年間約30件に
上り、ほとんどは素人が釣った
フグを家庭で調理して食べたこ
とによるものだということです。

 テトロドトキシンは、筋肉の
末梢(まっしょう)神経や中枢
神経をまひさせる作用がありま
す。中毒症状は食後20分から5
時間程度の短時間に表れます。
最初は唇や舌端の軽いしびれか
ら始まり、症状が進むと嘔吐(
おうと)や運動まひが生じます。
重症例では呼吸困難で窒息死す
る場合もあります。

 テトロドトキシンには神経細
胞や筋肉細胞を傷つける作用は
ありません。早期に排出されて
体内には蓄積されないため、回
復すれば後遺症は残りません。
そのため、排出されるまでの時
間をいかに乗り切るかがポイン
トとなります。糸井准教授は「
テトロドトキシンの排出にかか
る時間は8時間と言われます。
たとえ致死量を摂取した場合で
も、早期に治療を開始し、人工
呼吸により呼吸が維持できれば
救命の可能性は高まります」と
話しています。フグが蓄えてい
る猛毒は、自ら作り出している
ものではありません。解明され
ていない点は多いのですが、餌
となる海洋生物や他のフグの有
毒卵を食べることで毒をため込
むと考えられています。「主に
雄は肝臓、雌は卵巣に毒をため
ています。ふ化したフグの表皮
には母親からごく微量の毒が譲
り渡され、外敵から身を守って
います」と糸井准教授は言って
います。

 そのため、完全養殖のフグの
無毒化が可能である一方、天然
フグの持つ毒量は個体、季節、
海域によって差があります。皮
や精巣に毒を多く含むものもあ
り、フグの種類によって有毒部
位が異なります。過去にフグの
肝臓を少量食べて中毒症状が出
現しなくても、別のフグで中毒
症状を起こす可能性があるのは
このためです。

 糸井准教授は「天然でも養殖
でも、フグ調理師免許を持つ人
が調理した食用可能な部位の料
理を食べるようにしましょう」
とアドバイスしています。

フグ毒について解説している

動画です。

 

 

 

 



 毒量についての文章を読了す
る。           笑















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編集後記



 名古屋大学が7月2日、アスベ
スト繊維による悪性中皮腫発ガ
ンメカニズムの一端を明らかに
したと発表したのは偉大な業績
です。中皮細胞がアスベスト繊
維曝露による細胞死後、残存中
皮細胞の再生にβ-カテニンを
高発現することを見出し、β-
カテニン高発現の中皮細胞集団
で多くDNAの2本鎖切断が発生す
ることが明らかとなったことか
ら、β-カテニンをターゲット
とする中皮腫予防・治療法が得
られる可能性が高くなりました。
すでに報告されている除鉄や抗
炎症などに加え、β-カテニン
経路も悪性中皮腫予防のための
分子標的として大いに期待した
いと思います。
 フグ料理は日本の食文化を代
表するものですが、肝臓や卵巣
に毒が高濃度に含まれているこ
とはよく知られています。取り
扱いを間違えると命を失うこと
になりかねない危うい食べ物で
あると言えるでしょう。完全養
殖のフグの無毒化が可能である
一方、天然フグの持つ毒量は個
体、季節、海域によって差があ
るということで、天然でも養殖
でも、フグ調理師免許を持つ人
が調理した食用可能な部位の料
理を食べるようにすることは、
フグを安全に食べることの必要
不可欠な条件であると思われま
す。フグ中毒になったあるいは、
なった可能性が高い場合は兎に
角、急いで人工呼吸器による、
治療を実施することが必要であ
ることを念頭に置いておくべき
であると思います。

 洋食に養殖のヒラメが使われ
た。           笑














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