診療マル秘裏話  号外Vol.1869 令和2年8月1日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)免疫細胞のNrf2を活性化してガンの進行を抑制
2)SLEは,妊娠可能な女性に多く多彩な症状を惹起















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 免疫細胞のNrf2を活性化してガンの進行を抑制













 東北大学は7月7日、ガン細胞
のNrf2を抑制するのではなく、
ガン周囲の正常細胞(特に免疫
細胞)においてNrf2を活性化さ
せることで、ガンの進行を抑制
できることを、マウスを用いた
実験で実証したと発表しました。
この研究は、同大大学院医学系
研究科の鈴木未来子准教授、山
本雅之教授らの研究グループに
よるものです。研究成果は「Ca
ncer Research 」のオンライン
版に掲載されています。Nrf2は、
細胞が毒物や酸化ストレスに曝
された際に活性化し、これらの
ストレスから細胞を防御する役
割をもつ転写因子です。肺ガン
の約20~30%には、Nrf2が常に
活性化するような遺伝子変異が
生じており、これによりガン細
胞は抗ガン剤治療や放射線治療
に対する抵抗性を獲得すること
が知られています。このような
Nrf2活性化を伴う悪性腫瘍に対
して、ガン細胞におけるNrf2を
抑制する治療法が検討されてい
ます。しかし、Nrf2はストレス
から正常細胞を守る役割もある
ため、Nrf2の抑制は副作用の懸
念があり実用化されていません。

一方で、以前に山本教授らの研
究グループは、免疫細胞などの
正常細胞でNrf2を活性化すると、
腫瘍の進行を抑制できることを
報告しました。そこで今回の研
究では、Nrf2活性化を伴う悪性
腫瘍についても、周囲の正常細
胞でのNrf2を活性化させること
で、腫瘍を抑制できるか検討し
ました。研究グループは、遺伝
子組換え技術を用いて、Nrf2を
抑制する働きをもつKeap1蛋白
質の量を減らすことでNrf2を全
身で活性化させたマウスと、対
照となる野生型のマウスに、Nr
f2活性化肺ガンを作らせ、ガン
の進行を観察しました。その結
果、野生型マウスと比べて、全
身でNrf2を活性化したマウスは、
腫瘍の大きさが減少し、生存率
が上昇しました。さらに、全身
でNrf2を活性化したマウスにお
いて、血液細胞(免疫細胞)で
のみNrf2を活性化しないように
すると、腫瘍抑制効果が弱まっ
たことから、特に免疫細胞にお
けるNrf2活性化が腫瘍抑制に重
要であることが分かりました。

研究グループは、「Nrf2は正常
細胞をストレスから保護する役
割をもつため、Nrf2を抑制する
治療法に比べて、この治療法で
は副作用が少なくなると考えら
れる。この研究成果は、予後不
良のガンに対する新しい治療法
の開発に結びつくものと期待さ
れる」と、述べています。

炎症性微小環境について解説し

ている動画です。

 

 

 



 保護者の役割を反故にする。














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2】 SLEは,妊娠可能な女性に多く多彩な症状を惹起












 全身性エリテマトーデス(S
LE)は、全身のさまざまな臓
器に炎症を生じる難病です。妊
娠可能な年齢の女性に多く見ら
れる病気で、発熱、倦怠(けん
たい)感に加えて、皮膚の赤い
斑点(紅斑)、関節炎、腎炎と
いった多彩な症状を引き起こし
ます。その特徴や治療法につい
て、順天堂大学医学部付属順天
堂医院(東京都文京区)膠原(
こうげん)病・リウマチ内科の
田村直人教授に聞きました。S
LEは、自分の身体を細菌やウ
イルスなどから守る免疫システ
ムが異常を来し、誤って正常な
組織を攻撃することで発症しま
す。それにより、全身のさまざ
まな臓器に炎症が生じ組織が傷
つけられます。

 田村教授は「SLEの発症原
因は十分解明されていませんが、
遺伝的な素因のある人が、紫外
線、ウイルスなどの感染、妊娠・
出産、喫煙、ストレスなどの環
境的な要因の影響を受けて発症
すると考えられています」と説
明しています。

 男女比は約1対9とほとんど
が女性で、20~40代での発
症が多いとされています。国内
推計患者数は約10万人です。

 典型的には、発症初期に、発
熱、体のだるさ、体重減少など
の全身症状が表れます。頬に表
れる蝶(ちょう)が羽を広げた
ような形の赤い発疹(蝶形紅斑)、
円板状の赤い発疹といった皮膚
症状、脱毛、肘、膝、手などの
関節炎が特徴的です。腎炎によ
る手や顔のむくみ、肺や心臓の
障害による胸痛や息切れ、けい
れん発作などの神経障害なども
出現することがあります。患者
さんによって表れる症状やその
程度は大きく異なるということ
です。「SLEは症状が良くな
ったり悪くなったりを繰り返し、
完治するのが難しい病気です。
しかし、適切な治療を受けて、
健康な人とほぼ同様の生活を送
っている患者さんも多いのです」
と田村教授は言っています。治
療は、ステロイド内服薬、免疫
抑制薬などによる薬物療法が中
心となります。2015年には海外
のSLEの標準治療薬で、皮膚
症状や関節症状に有効とされる
ヒドロキシクロロキン、2017年
には分子標的薬ベリムマブが国
内で承認され、治療選択肢は広
がっています。

 治療中は感染症などの副作用
に注意が必要です。田村教授は
「重症になることもあるため、
発熱などの症状が続いたら、早
めに主治医に相談してほしい」
と話しています。また、妊娠・
出産を希望する女性の場合、胎
児に影響のない薬剤を使うこと
や、病状が安定していることな
ど、好ましい条件があるため「
主治医と相談しながら計画的に
進めましょう」とアドバイスし
ています。

SLEについて解説している動画

です。

 

 

 



 胎児に害となる病原体と対峙
する。          笑













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編集後記



 東北大学が7月7日、がん細胞
のNrf2を抑制するのではなく、
ガン周囲の正常細胞(特に免疫
細胞)においてNrf2を活性化さ
せることで、ガンの進行を抑制
できることを、マウスを用いた
実験で実証したと発表したのは、
素晴らしい業績です。 肺ガン
の約20~30%には、Nrf2が常に
活性化するような遺伝子変異が
生じており、これによりガン細
胞は抗ガン剤治療や放射線治療
に対する抵抗性を獲得すること
が知られていますが、このよう
なNrf2活性化を伴う悪性腫瘍に
対して、ガン細胞におけるNrf2
を抑制する治療法が検討されて
います。しかしNrf2はストレス
から正常細胞を守る役割もある
ため、Nrf2の抑制は副作用の懸
念があり実用化されていません。
それに対し、逆転の発想で免疫
細胞などの正常細胞でNrf2を活
性化すると、腫瘍の進行を抑制
できることが分かりました。
 全身性エリテマトーデス(S
LE)は、全身のさまざまな臓
器に炎症を生じる難病です。妊
娠可能な年齢の女性に多く見ら
れる病気で、発熱、倦怠(けん
たい)感に加えて、皮膚の赤い
斑点(紅斑)、関節炎、腎炎と
いった多彩な症状を引き起こす
ことが知られています。治療は、
ステロイド内服薬、免疫抑制薬
などによる薬物療法が中心とな
ることが多いようです。2015年
には海外のSLEの標準治療薬
で、皮膚症状や関節症状に有効
とされるヒドロキシクロロキン、
2017年には分子標的薬ベリムマ
ブが国内で承認され、治療選択
肢は広がっているということで
す。しかし、いずれの治療にし
ても副作用があり、副作用に注
意しながらの投与を余儀なくさ
れます。その点、自己免疫性疾
患の治療法としてのトレハロー
スの投与は使用量さえ適切であ
れば大きな副作用がなく、治療
ができると考えられています。

 働く女性を助成する補助金。














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