診療マル秘裏話  号外Vol.1904 令和2年9月11日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)HTLV-1を顕微鏡で直接見る技術開発したと発表
2)機能性蛋白質を用い半月板損傷を治療する技術
















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 HTLV-1を顕微鏡で直接見る技術開発したと発表












 琉球大学は8月18日、成人T細
胞白血病・リンパ腫(ATLL)の
原因ウイルス「HTLV-1」を顕微
鏡で直接見る技術を開発したと
発表しました。この研究は、同
大医学研究科の加留部謙之輔教
授、髙鳥光徳大学院生らの研究
グループによるものです。研究
成果は、米国カナダ病理学会の
公式学術誌「Modern Pathology」
誌に掲載されています。ATLLは、
HTLV-1に感染したリンパ球がガ
ン化することで発症する、極め
て予後不良な血液腫瘍です。日
本においては、特に沖縄県で高
頻度に発生しています。

ATLLの診断では、細胞診または
組織診による異型リンパ球の同
定に加え、サザンブロット法で
HTLV-1感染細胞のクローン性増
殖を確認します。サザンブロッ
ト法に使用する検体は通常、新
鮮生もしくは凍結された末梢血
や組織片であり、比較的大量に
必要なため、少量の生検試料や
病理診断で汎用されるホルマリ
ン固定検体では検査できません。
さらに、その検査手技が煩雑で
、一般の病院検査室では実施さ
れません。その結果、サザンブ
ロット法を施行できず、再生検
や診断保留となる症例がしばし
ば見受けられます。そのため、
これらを解決する新規のATLL診
断法が望まれています。加留部
謙之輔教授らの研究グループは、
同血液免疫検査学講座の福島卓
也教授らが運営する沖縄HTLV-1
/+ATL バイオバンクの試料など
を用いて、ホルマリン固定検体
に特化した新規ATLL診断アルゴ
リズムを開発しました。

同診断アルゴリズムは、HTLV-1
由来の転写産物を標的とした超
高感度RNA in situ hybridizat
ion 法と、ウイルス感染細胞数
を定量するリアルタイムPCR 法
の2つの検査法を組み合わせた
ものです。前者の方法では、組
織内のHTLV-1感染細胞を可視化
することができ、ATLL細胞を容
易に検出可能で、腫瘍の浸潤範
囲も容易に判別できました。一
方、後者の方法では適切なカッ
トオフ値を設定することにより、
ATLLと非ATLLを鑑別することが
できたということです。 今回、
研究対象の全119 症例において
同診断アルゴリズムを用いた結
果、感度・特異度ともに100%の
正確な診断が可能だったという
ことです。 今回の研究により、
従来のサザンブロット法に頼ら
ない、より迅速かつより正確な
検査法が開発されたとしていま
す。

 ウイルス関連腫瘍の診断では、
その組織内での直接的なウイル
ス同定が極めて決定的な役割を
担っています。HTLV-1に関して
は、今回の研究で初めて診断と
して活用できるものとなり、今
後ATLLの早期発見や早期治療に
つながることが期待される、と
研究グループは述べています。

また、同診断アルゴリズムによ
る検査は、これまでに、沖縄県
内の琉球大学病院、南部医療セ
ンター・こども医療センター、
ハートライフ病院、中頭病院、
中部徳洲会病院などの医療施設
や、県外(神奈川県など)、国
外(台湾)からの症例を含む約
70例の診断において施行されて
います。

成人T細胞白血病・リンパ腫に

ついて解説している動画です。

 

 

 



 性格を正確に知ることで事態
を把握する。       笑
















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2】 機能性蛋白質を用い半月板損傷を治療する技術













 三洋化成は8月18日、広島大
学と進める機能性蛋白質「シル
クエラスチン」を用いて半月板
の損傷を治療する技術の研究が、
日本医療研究開発機構(AME
D)の産学連携医療イノベーシ
ョン創出プログラム基本スキー
ム(ACT-M)に採択された
と発表しました。細胞との親和
性が高く弾性に富むシルクエラ
スチンは細胞の分化や大量培養
用の基材をはじめ、自然治癒力
を最大限活用した再生医療、細
胞治療用マトリックスなど幅広
い用途への展開が期待されてい
ます。変形性膝関節症に悩む患
者さんに低侵襲で根本的な治療
法を確立し、2026年以降の実用
化を目指しています。

 プログラムの実施予定期間は
2023年3月までです。三洋化成
が保有するシルクエラスチンの
非臨床データの取得、作用機序
の解明、安全性評価の実施を経
て医師主導治験を実施する計画
ということです。

 膝をはじめとする関節の機能
は加齢や肥満により低下するこ
とで運動機能の低下のリスクを
生み、いわゆる「ロコモティブ
シンドローム(運動器症候群)」
に大きく影響を及ぼします。膝
関節疾患の根治には軟骨の修復
だけでなく、半月板の修復・再
生が重要であることが近年明ら
かになっています。

 しかし、半月板は一度損傷す
ると修復されにくいことが知ら
れています。やむを得ない場合
は切除する治療が主流となって
いますが、後に変形性膝関節症
を生じて曲げ伸ばしや歩行が困
難になるため、できるだけ温存
することが望まれています。

 このほど広島大学での動物実
験において、半月板修復の足場
(移植基板)としてシルクエラ
スチンの有効性を確認しました。
今後は臨床応用に向けてより具
体的な研究開発を進めていく予
定です。

シルクエラスチンについて解説し

ている動画です。

 

 

 

 



 腫瘤を切除する手術が主流と
なる。          笑















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編集後記




 琉球大学が8月18日、成人T細
胞白血病・リンパ腫(ATLL)の
原因ウイルス「HTLV-1」を顕微
鏡で直接見る技術を開発したと
発表したのは、素晴らしい業績
です。ATLLは、HTLV-1に感染し
たリンパ球がガン化することで
発症する、極めて予後不良な血
液腫瘍です。西日本特に沖縄で
このATLLが発見されることが多
いをされています。 ウイルス
関連腫瘍の診断では、その組織
内での直接的なウイルス同定が
極めて決定的な役割を担ってい
るのでHTLV-1に関しては、今回
の研究で初めて診断として活用
できるものとなり、今後ATLLの
早期発見や早期治療につながる
ことを期待したいと思います。
 三洋化成が8月18日、広島大
学と進める機能性蛋白質「シル
クエラスチン」を用いて半月板
の損傷を治療する技術の研究が、
日本医療研究開発機構(AME
D)の産学連携医療イノベーシ
ョン創出プログラム基本スキー
ム(ACT-M)に採択された
と発表したのは、喜ばしいこと
です。細胞との親和性が高く弾
性に富むシルクエラスチンは細
胞の分化や大量培養用の基材を
はじめ、自然治癒力を最大限活
用した再生医療、細胞治療用マ
トリックスなど幅広い用途への
展開が期待されています。変形
性膝関節症に悩む患者さんに低
侵襲で根本的な治療法を確立し、
2026年以降の実用化を目指すの
は患者さんにとって一筋の光と
なることでしょう。

 機材の基材の選択を重視する。















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