診療マル秘裏話  号外Vol.2009 令和3年1月11日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)ネオアンチゲンを狙った,ガンワクチンの次世代品を開発す
2)SGLT-2阻害薬が,CKDの適応追加取得を承認申請













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 ネオアンチゲンを狙った,ガンワクチンの次世代品を開発す












 ブライト・パスバイオ(東京
都千代田区、永井健一社長)は、
ネオアンチゲンを狙ったガンワ
クチンの次世代品を開発します。
ネオアンチゲンは個々のガン患
者さんに特異的に発現する蛋白
質で、個別化医療の手がかりと
して注目されています。同社も
ネオアンチゲン標的のガンワク
チン「BP-1101」が非臨床段
階にありますが、機能を高めた
「BP-1209」をパイプライン
に追加し、製品化を目指します。

 ガンワクチンは人体がもつ免
疫を利用するガン免疫療法の一
種で、実用化はこれからです。
ネオアンチゲンなどのガン抗原
を投与することで、ガン細胞を
異物として認識させ、免疫機構
に攻撃させます。

 免疫機構は、樹状細胞が異物
(抗原)を認識してT細胞に提
示することで始まります。その
ため樹状細胞に見つかるのを待
つ抗原より、自ら樹状細胞に向
かっていく抗原の方が免疫の働
きは増します。この仮説に基づ
いて取り組むのが1209です。

 ブライト・パスがもともと手
がけていた1101は、ネオアンチ
ゲン由来のペプチドをワクチン
にします。一方、1209はネオア
ンチゲン由来のペプチドに「樹
状細胞マーカー抗体」を結合し
た複合体です。マーカー抗体が
樹状細胞に結合し、免疫を促進
します。

 狙う疾患は未定ですが、メラ
ノーマや非小細胞肺ガンなど、
ネオアンチゲンが多いガン種は
判明しています。こうしたガン
を候補に、免疫チェックポイン
ト阻害剤との併用で開発します。

 ブライト・パスにとってガン
ワクチンは祖業に当たります。
富士フイルムに導出した「IK
T-1」は2018年に開発を中止
したものの、「GRN-1201」
は米メルクの「キイトルーダ」
との併用試験が進んでいます。

 ただ、これら2剤は一定の患
者さん層に共通する抗原を使う
セミオーダーメードです。患者
さんごとに違うネオアンチゲン
を使うワクチンは完全オーダー
メードのため、製造には手間が
かかります。

 1209の場合、ネオアンチゲン
同定は1101で培ったノウハウが
使えます。ペプチドとマーカー
抗体との複合技術はすでにあり
ます。最終的には大手と組み「
検体採取から投与まで3カ月程
度を目安にしたい」(永井社長)。

 ガンワクチンで樹状細胞への
送達を強める手法は珍しいとさ
れています。スイス・ロシュが
10月に提携したノルウェーのワ
クチボディも発想は似ているも
のの、DNAベースです。ペプ
チドを使うブライト・パスとは
基盤技術が異なります。

ネオアンチゲンについて解説し

ている動画です。

 

 

 

 



 主峰を征服する手法を尋ねる。















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2】 SGLT-2阻害薬が,CKDの適応追加取得を承認申請













 2型糖尿病や心不全の治療薬
に用いられているSGLT-2阻害薬
ダパグリフロジンについて、慢
性腎臓病(CKD) の適応追加取
得に向けて12月14日に承認申請
を行ったと製造販売元のアスト
ラゼネカが発表しました。国内
のCKD患者数は1,330万人と推定
されていますが、CKD の効能・
効果を有する薬剤はいまだあり
ません。SGLT-2阻害薬は当初開
発を進め、適応症を取得した糖
尿病にとどまらず、心不全や腎
臓病に対する有効性のエビデン
スが得られており、心・腎保護
作用を含めたポテンシャルの高
さに注目が集まっています。

 腎臓病の進行により透析導入
に至る患者さんは年々増加して
おり、医療費の増加が大きな問
題となっています。国内の透析
患者数は約34万人(2018年末時
点)で、腎臓病は新たな国民病
といわれています。さらに、心
筋梗塞や脳卒中、心不全や死亡
のリスクを上昇させることが多
くの臨床研究から示されている
ものの、いまだ腎臓病の進行を
防ぐ有効な治療法は確立されて
いません。

 こうした中、SGLT-2阻害薬と
して初めて、ダパグリフロジン
がCKD の適応拡大に向けた承認
申請を行いました。申請は同薬
の第3相試験DAPA-CKDの結果に
基づくものです。日本人を含む
2型糖尿病合併の有無を問わな
いCKD 患者さんを対象としたSG
LT-2阻害薬では初めて行われた
腎アウトカム試験で、当初の想
定を上回る結果が得られたため、
独立したデータ監視委員会の勧
告に従い、早期に試験を終了し
ています。

 同試験の対象はCKD患者さん4
,304例〔推算糸球体濾過量(eG
FR) 25ml/分/1.73m2以上75ml/
分/1.73m2 未満かつアルブミン
尿の増加が確認された者)で、
日本を含む21カ国で行われまし
た。ダパグリフロジン投与群(
2,152例)とプラセボ群(2,152
例)に1:1で割り付け,中央値で
2.4 年間追跡しました。

 解析の結果、主要評価項目〔
腎機能の悪化(eGFRの50%以上
の持続的低下、末期腎不全への
進行)、心血管死、腎不全死の
複合〕の発生リスクを、ダパグ
リフロジン投与群ではプラセボ
群に比べ39%低下させました。
また、ダパグリフロジンの効果
は2型糖尿病の有無にかかわら
ず認められました。

 副次評価項目は〔腎機能の悪
化(eGFRの50%以上の持続的低
下、末期腎不全への進行、腎不
全による死亡)、心血管死また
は心不全による入院、全死亡の
いずれかの複合〕については、
ダパグリフロジン群ではプラセ
ボ群と比べて全死亡のリスクを
31%有意に低下させました。

 当初は2型糖尿病治療薬とし
て開発されたSGLT-2阻害薬です
が、現在、複数の薬剤で心不全
や腎臓病への適応拡大に向けた
開発が進められており、心臓や
腎臓への保護作用に注目が集ま
っています。

 開発が先行するダパグリフロ
ジンに他のSGLT-2阻害薬も追随
している状況で、日本国内では
エンパグリフロジンが心不全、
CKD でそれぞれ第3相試験、カ
ナグリフロジンが糖尿病性腎症
の適応拡大に向けて第3相試験
を進行中です。カナグリフロジ
ンは海外(アジア)においても
糖尿病性腎症の適応で承認申請
を行っています。

SGLT-2阻害薬について解説して

いる動画です。

 

 

 

 



 保護者が約束を反故にした。

















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編集後記




 ブライト・パスバイオ(東京
都千代田区、永井健一社長)が、
ネオアンチゲンを狙ったガンワ
クチンの次世代品を開発すると
いうのは、画期的企画だと思い
ます。がん免疫療法のひとつで
ある「ガンワクチン療法」の開
発が活発化しています。現在は
米国で1製品が承認されている
のみですが、日本企業では塩野
義製薬や大日本住友製薬がペプ
チドワクチンの臨床試験を実施
中です。個別化ワクチンの開発
も進んでおり、電機大手のNEC
は自社のAI(人工知能)を使っ
て開発したワクチンの臨床試験
を開始したとのことです。早く
臨床試験を終えて、実臨床で使
えるようになって頂きたいもの
です。
 2型糖尿病や心不全の治療薬
に用いられているSGLT-2阻害薬
ダパグリフロジンについて、慢
性腎臓病(CKD) の適応追加取
得に向けて12月14日に承認申請
を行ったと製造販売元のアスト
ラゼネカが発表したのは画期的
なことだと思います。日本人を
含む2型糖尿病合併の有無を問
わないCKD 患者さんを対象とし
たSGLT-2阻害薬では初めて行わ
れた腎アウトカム試験で、当初
の想定を上回る結果が得られた
ため、独立したデータ監視委員
会の勧告に従い、早期に試験を
終了したというのは、本当に凄
いことだと思います。適応追加
で早く慢性腎臓病に対しても使
えるようになって頂きたいもの
です。

 本の装丁は、想定内だった。
















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