診療マル秘裏話  号外Vol.2011 令和3年1月14日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)食事中アクリルアミドは日本人膵臓ガンリスクと相関せず
2)心不全患者は睡眠障害を発見し対処する必要有













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 食事中アクリルアミドは日本人膵臓ガンリスクと相関せず












 国立ガン研究センターの社会
と健康研究センター予防研究グ
ループは12月21日、前向き多目
的コホート研究JPHCの結果、食
事中のアクリルアミド摂取は日
本人の膵臓ガンリスクと関連し
なかったと発表しました。研究
の詳細はNutrients(2020; 12:
3584)に報告されています。

 アクリルアミドは紙の強度を
高める紙力増強剤や接着剤など
の原材料として利用されている
化学物質で、アスパラギンと還
元糖を含む食品を120℃ 以上の
高温条件下で加工・調理すると
生成され、食品中にも含まれて
います。国際ガン研究機関(IA
RC)は発ガン性が強く疑われる
と指摘しているものの、食事由
来のアクリルアミドと膵ガンに
関する疫学研究は、欧州では複
数ありますが結果は一致してい
ません。また日本をはじめとす
るアジアからの報告はなく、よ
く分かっていませんでした。食
物由来のアクリルアミドの主な
摂取源は、日本ではコーヒーや
緑茶などの嗜好飲料類、菓子類、
調理した野菜などであり、欧米
諸国ではジャガイモを原料とし
た製品、小麦を原料とした製品
などであり、摂取源も異なると
いうことです。

アクリルアミド等の食品表示に

ついて解説している動画です。

 

 

 

 



 ジャガイモを原料とした製品
を食べずに減量した。   笑















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2】 心不全患者は睡眠障害を発見し対処する必要有













 心不全患者さんは多様な睡眠
障害を呈します。福島県立医科
大学循環器内科学講座教授の義
久精臣氏らは、心不全患者さん
の睡眠障害について検討し、「
睡眠障害は心不全の予後不良因
子であり、睡眠障害を改善する
ことで、認知症、サルコペニア、
転倒リスクを減らし、運動耐容
能や心不全予後を改善する可能
性があるため、心不全患者では
睡眠障害を発見して対処する必
要がある」と第24回日本心不全
学会(10月15~17日、ウェブ開
催)で報告しました。

 睡眠呼吸障害では、間欠的低
酸素、気道閉塞後の呼吸運動に
伴う胸腔内圧の変動、睡眠分断
などが生じます。その下流では
交感神経活性化による心拍数増
加/血圧上昇や心筋酸素需要・
供給の不適合などを来し、心不
全の悪化や突然死が起こります
(J Atheroscler Thromb 2019;
26: 315-327)。

 睡眠障害には睡眠呼吸障害(
睡眠時無呼吸症候群)以外に、
不眠症、周期性四肢運動障害(
PLMD)、むずむず脚症候群(RL
S) などがあることから、義久
氏らは約10年前から日中の眠気
を評価するエプワース睡眠尺度
(ESS) に加えて入眠障害、中
途覚醒、睡眠時間などに関する
チェックリストを用いて睡眠障
害全般(寝つき、夜中の中途覚
醒、睡眠時間など)についてチ
ェックを行っています。同科を
受診した患者さん約2,600 例(
うち半数が心不全患者さん)を
調べた所、中途覚醒が6割、入
眠障害/早朝覚醒が4割、熟眠
障害が3割に認められました。

 同科に入院した心不全患者さ
ん1,011 例を不眠症の有無で2
群に分けて心イベントとの関係
を検討した所、平均観察期間80
1 日に心臓死が151 例、心不全
増悪による再入院が236 例で発
生、心イベント発生率は不眠症
群で有意に高かった(P<0.001、
Circ J 2016; 80: 1571-1577)。
心臓超音波検査では両群で、左
室駆出率、僧帽弁E/E'、下大静
脈径など心機能、心うっ血の指
標に差は見られませんでした。
心肺運動負荷検査では、不眠症
群で最高酸素摂取量と嫌気性代
謝閾値が有意に低く、二酸化炭
素換気当量(VE-VCO2) が有意
に高く、運動耐容能の低下が認
められました。

 心不全患者さんでPLMDスコア
が高い群と低い群で比べると、
高スコア群で心臓死率、全死亡
率が高いという結果がでました
(Int J Cardiol 2016; 212:11
-13)。

 問診票を用いて心不全患者さ
んを対象にRLS 症状(1脚の奥
に不快感2安静時や就寝時に増
強3夕方から夜にかけて出やす
い4動くと軽減・消失)の有無
を調べた所、RLSは338例中29例
に認められ、同群は心イベント
発生率が有意に高いという結果
でした(Int Heart J 2019; 60:
1098-1105)。

 睡眠障害があると1摂食ホル
モンであるレプチンの分泌低下、
グレリンの分泌上昇2交換神経
の活性化3視床下部-下垂体-
副腎(HPA) 系の活性化→コル
チゾール分泌の促進4メラトニ
ン分泌異常5サルコペニア亢進
6転倒リスク上昇7骨粗鬆症の
増加8うつ・うつ状態の増加9
認知機能低下―が生じます。

 蛋白質異化・同化バランスに
おいて、インスリン抵抗性低下、
テストステロン低下によって同
化が低下し、カテコールアミン、
炎症性サイトカイン、コルチゾ
ールの増加により異化の亢進が
生じます。睡眠障害では筋肉の
異化亢進・同化低下から、骨格
筋に影響が及ぶと考えられると
いうことです。

 近年、メラトニンには抗炎症、
抗腫瘍、抗酸化などの多面的作
用があることが分かってきまし
た。拡張型心筋症における血中
メラトニン濃度を調べた所、対
照群と急性心筋梗塞群の中間の
値を示しました(J Pineal Res
2019; 66: e12564)。また、拡
張型心筋症における血中メラト
ニン濃度の上昇に伴いトロポニ
ン濃度が低下し、心拍出量(ca
rdiac index) が上昇していま
した。義久氏は「拡張型心筋症
における血中メラトニン濃度の
上昇に伴い、心筋障害、心機能
低下の関係が認められるのでは
ないか」と指摘しました。

 脳室内アミロイドβは睡眠中
にクリアランスされますが、睡
眠障害があるとアミロイドβク
リアランス能が低下して認知症
が亢進する(Lancet Neurol 20
14; 13: 1017-1028)。 義久氏
らは不眠症を合併する心不全患
者さんにおいてベンゾジアゼピ
ン系睡眠薬が予後に及ぼす影響
を検討しました。その結果、心
不全患者さん2,213 例の65.8%
に不眠があり、不眠症を合併す
る心不全患者さん57%に睡眠薬
が投与され、うち59.1%がベン
ゾジアゼピン系で、ベンゾジア
ゼピン系睡眠薬内服群で心不全
による再入院が高率に見られま
した(J Am Heart Assoc 2020;
9: e013982)。したがって、ベ
ンゾジアゼピン系睡眠薬は心不
全患者さんの予後に悪い影響を
与えている可能性が示唆されま
した。

 日本睡眠学会の「睡眠衛生障
害対処12の指針」では、薬剤以
外の方法として「睡眠前に刺激
物は避ける」「就床時刻にこだ
わらない」「同じ時刻に起床す
る」「日中に光を浴びる」「長
時間の昼寝はしない」など生活
習慣を改善することを推奨して
います。

 最後に同氏は、睡眠障害は心
不全の予後不良因子であるため、
患者さんにはまず『よく眠れて
いますか?』と睡眠障害の有無
を確認し、睡眠障害がある場合
は、その対処法を考える必要が
あると指摘しました。

心不全看護について解説してい

る動画です。

 

 

 

 



 占い師は、水晶占いを推奨し
た。           笑















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編集後記




 国立ガン研究センターの社会
と健康研究センター予防研究グ
ループが12月21日、前向き多目
的コホート研究JPHCの結果、食
事中のアクリルアミド摂取は日
本人の膵臓ガンリスクと関連し
なかったと発表したのは、喜ば
しいことです。だからと言って
アクリルアミドを大量摂取する
のは、お勧めできません。膵臓
ガンとは、相関しなくても他の
ガンとは、相関する可能性もあ
ります。日本では、コーヒーや
緑茶などの嗜好飲料類、菓子類、
調理した野菜などであり、欧米
諸国ではジャガイモを原料とし
た製品、小麦を原料とした製品
などであり、摂取源も異なると
されています。しかし、 日本
人の食事もアメリカナイズされ、
ジャガイモ、小麦を原料とした
製品などから摂取していると思
われます。最終糖化産物即ちAG
Esの類似物質であり、身体に悪
い物質であることは、明らかで
すので、その点をお忘れなきよ
うにして頂きたいものです。
 睡眠障害は心不全の予後不良
因子であり、睡眠障害を改善す
ることで、認知症、サルコペニ
ア、転倒リスクを減らし、運動
耐容能や心不全予後を改善する
可能性があるため、心不全患者
さんでは睡眠障害を発見して対
処する必要があるというのは、
正論だと思います。しかしなが
ら、ストレスが絡んでいること
は、明らかなので、副腎疲労を
考える必要があると私は、考え
ています。睡眠薬や安定剤を服
用するだけでは、問題は解決せ
ず、むしろベンゾジアゼピン系
の薬剤は、心不全を悪化させる
ということなので、睡眠薬以外
の方法で、睡眠障害を解決する
しか、道がないように思われま
す。それには、地道ですが生活
習慣を変えることと、副腎疲労
の治療を合わせて行うことが、
必要になると考えられます。ス
トレスを溜めないようにするの
は、難しく、副腎疲労を治療し
ない限り、ストレスに強くなる
とは、考えられないからです。

 副腎疲労の治療法を披露する。
















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