診療マル秘裏話  号外Vol.2098 令和3年4月25日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)共有結合型FGFR阻害薬,FDAが画期的治療薬指定
2)ヒト胃からのヘリコバクター・スイスの培養に,世界初成功






 

 





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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








 
1】 共有結合型FGFR阻害薬,FDAが画期的治療薬指定










 大鵬薬品および同社の子会社
である米・Taiho Oncology は4
月2日,共有結合型FGFR阻害薬fu
tibatinib(開発コード:TAS-1
20)について、前治療歴を有す
るFGFR2 遺伝子再構成(融合遺
伝子を含む)を伴う進行胆管ガ
ンを対象に,米食品医薬品局 (
FDA) よりブレークスルーセラ
ピー(画期的治療薬)指定を取
得したことを発表しました。

 同薬は, FGFR1、2、3、4の不
可逆的かつ選択的な低分子阻害
薬で、まだ世界で承認されてい
ない薬剤です。 今回のFDAによ
る判断は、第2相試験FOENIX-C
CA2 の有効性および安全性の結
果に基づくもので、詳細は今月
に開催される米国ガン研究協会
学術会議(AACR 2021) で発表
される予定であるということで
す。

  FGF(Fibroblast Growth Fa
ctor,線維芽細胞増殖因子)は,
線維芽細胞をはじめとするさま
ざまな細胞に対して発生,血管
新生,創傷治癒など広範な機能
性を示す蛋白質です。ヒトのFG
F受容体(FGFR)ファミリーはFGF
R1,GFR2, FGFR3,およびFGFR
4の4種類からなることが報告さ
れています。

胆道ガンについて解説している

動画です。

 

 

 



 紅斑が広範に存在した。 笑















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2】 ヒト胃からのヘリコバクター・スイスの培養に,世界初成功 













 日本医療研究開発機構(AMED)
は3月24日、ヒト胃からのヘリ
コバクター・スイスの培養に世
界で初めて成功し、マウス感染
実験によりヘリコバクター・ス
イスが胃の病原細菌であること
を証明したと発表しました。こ
の研究は、国立感染症研究所細
菌第二部の林原絵美子主任研究
官、柴山恵吾部長、同研究所薬
剤耐性研究センターの鈴木仁人
主任研究官、杏林大学の徳永健
吾准教授、北里大学の松井英則
講師らの研究グループらの研究
グループによるものです。研究
成果は、「Proceedings of the
National Academy of Science
s of the United States of Am
erica」 オンライン版に掲載さ
れています。

 ヘリコバクター・ピロリ(ピ
ロリ菌)はヒトの胃に感染し、
胃ガンや消化性潰瘍の原因とな
る病原細菌ですが、1983年にオ
ーストラリアのロビン・ウォレ
ンとバリー・マーシャルによる
培養が成功したことにより、病
原性解析、診断法の開発、治療
法の確立がされてきました。

 一方、ヒト胃に感染するピロ
リ菌以外のヘリコバクター属菌
は「ハイルマニイ菌」とも呼ば
れ、ピロリ菌が検出されない胃
疾患の発症原因であることが、
1980年代より示唆されていまし
た。現在ではハイルマニイ菌と
呼ばれていた菌の多くが、豚を
自然宿主とする「ヘリコバクタ
ー・スイス」であることが分か
ってきました。主に幼少期に感
染し、除菌すれば再感染はまれ
なピロリ菌と異なり、ヘリコバ
クター・スイスは成人でも感染
リスクのあることが分かってい
ます。ピロリ菌の国民総除菌時
代を迎え、ピロリ菌の感染率の
低下に伴い、ヘリコバクター・
スイスは胃関連疾患における重
要な病原体となることが予想さ
れます。しかし、これまでヘリ
コバクター・スイスは、ヒト胃
からの分離培養ができなかった
ため、病原性や感染経路などの
詳細を解明することが困難でし
た。

 ピロリ菌は中性条件を好みま
すが、ピロリ菌のもつ強力なウ
レアーゼ活性により自身の周り
の酸を中和することで、強酸性
の胃内でも生存することができ
ます。一方、ヘリコバクター・
スイスはpH5付近の弱酸性条件
を好みます。研究グループは今
回、ヘリコバクター・スイスが
中性条件下では短時間でその生
存性が顕著に低下することに着
目しました。胃生検組織を酸性
条件に保つことにより、ヒト胃
からヘリコバクター・スイスを
培養することに世界で初めて成
功しました。

 また、患者さんの胃から分離
されたヘリコバクター・スイス
を用いたマウス感染実験で、感
染4か月後のマウス胃粘膜に、
炎症性変化および化生性変化な
どの病態発症が確認されました。
さらに、ゲノム解析により、感
染マウスの胃から分離された菌
が感染させた患者さん由来のヘ
リコバクター・スイスと同じで
あることが明らかになりました。
つまり、コッホの原則により、
ヘリコバクター・スイスが胃の
障害を引き起こす病原細菌であ
ることが確認されました。

 臨床検体から分離されたヘリ
コバクター・スイスの完全ゲノ
ム配列を決定し、豚由来株のゲ
ノムと比較した所、ヒト由来株
のゲノムは豚由来株のゲノムに
類似しており、豚に感染してい
るヘリコバクター・スイスがヒ
トにも病原性を有する人獣共通
感染症の起因菌である可能性が
強く示されました。

 ヘリコバクター・スイスはピ
ロリ菌の持つ主要な病原因子で
あるCagAやVacAを保有しないこ
とから、ピロリ菌とは異なる機
序でその病態を発症すると考え
られています。今回の研究では、
ヒト由来ヘリコバクター・スイ
スのゲノム上には菌株特異的な
plasticity zone が存在してい
ることを明らかにしており、今
後、これらの領域を含む病原因
子の感染における役割の解明が
期待されます。

 また、ヘリコバクター・スイ
スなどのピロリ菌以外のヘリコ
バクター属菌は、ピロリ菌検出
法では検出できないため、主に
胃生検体から調製したDNA を材
料としたPCR 法で感染診断が行
われていましたが、今回ヘリコ
バクター・スイスが培養できる
ようになったことで、菌に特異
的な蛋白質を標的とした感染診
断法の開発が促進されることが
期待されます。「本研究ではヘ
リコバクター・スイスの薬剤感
受性測定法を確立しており、今
後ヘリコバクター・スイスの薬
剤感受性情報が蓄積されること
により、最適な治療法の確立に
有用な情報が得られると考えら
れる」と、研究グループは述べ
ています。

 化生(かせい)とは、後天的
におこる細胞の分化形質の異常
です。分化成熟したある細胞が
他の分化成熟した細胞の形態に
変化することであり、可逆的な
変化です。代表的な例として、
喫煙者によく見られる、気管支
の呼吸線毛上皮が重層扁平上皮
に変化する現象が挙げられます。
これは分化の異常ですが、ガン
化することはないと考えられて
います。しかし、化生が起こる
ような状況が続くと異形成が起
こりやすくなり、発ガンにつな
がるとされています。

鳥肌胃炎について解説している

動画です。

 

 

 

 



 故宮博物館で呼吸困難を発症
した。          笑















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編集後記



 大鵬薬品および同社の子会社
である米・Taiho Oncology が4
月2日,共有結合型FGFR阻害薬fu
tibatinib(開発コード:TAS-1
20)について、前治療歴を有す
るFGFR2 遺伝子再構成(融合遺
伝子を含む)を伴う進行胆管ガ
ンを対象に,米食品医薬品局 (
FDA) よりブレークスルーセラ
ピー(画期的治療薬)指定を取
得したことを発表したのは、喜
ばしいことです。進行胆管ガン
の予後は、非常に悪く、画期的
治療薬の開発が急務でした。し
かし、今回の研究結果をもとに、
画期的治療薬の開発が、進むこ
とを期待したいと思います。
 日本医療研究開発機構(AMED)
は3月24日、ヒト胃からのヘリ
コバクター・スイスの培養に世
界で初めて成功し、マウス感染
実験によりヘリコバクター・ス
イスが胃の病原細菌であること
を証明したと発表したのは、素
晴らしい業績です。機能性ディ
スペプシアFDは「腹部症状が慢
性的に続いているにもか関わら
ず、症状の原因となる異常が見
つからない病気」と定義されて
います。症状の原因となる異常
が見つからないのではなく、こ
のヘリコバクター・スイスが、
原因ではないかと考えられてい
るようです。

 最近発見の細菌は、病原細菌
とされることが多い。   笑















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