診療マル秘裏話  号外Vol.2100 令和3年4月27日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★











目次
 
1)HRAS遺伝子変異陽性扁平上皮ガンにTipifarnib
2)柿タンニンが潰瘍性大腸炎の病態を改善可能と判明

 

 










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








 
1】 HRAS遺伝子変異陽性扁平上皮ガンにTipifarnib










 2021年3月22日、医学誌『Jo
urnal of Clinical Oncology』
にてHRAS遺伝子変異陽性の再発
/転移性頭頸部扁平上皮ガン患
者さんに対する経口ファルネシ
ルトランスフェラーゼ選択的阻
害薬であるTipifarnib(チピフ
ァルニブ)単剤療法の有効性、
安全性を検証した第2相のKO-T
IP-001試験 (NCT02383927)の
結果がMemorial Sloan Ketteri
ng Cancer CenterのAlan L. Ho
氏らにより公表されました。

 本試験は、HRAS遺伝子変異陽
性の再発/転移性頭頸部扁平上
皮ガン患者さんに対して28日を
1サイクルとして1~7日目,15~
21日目に1日2回Tipifarnib600m
g/900mg 単剤療法を投与し、主
要評価項目として客観的奏効率
(ORR),副次評価項目として安
全性、無増悪生存期間(PFS)、
全生存期間(OS)などを検証し
たシングルアームオープンラベ
ルの第2相試験です。

 本試験が開始された背景とし
て、再発/転移性頭頸部扁平上
皮ガン患者さんの約4~8%はHR
AS遺伝子変異陽性を示していま
す。近年、再発/転移性頭頸部
扁平上皮ガンの治療成績は向上
しているものの、全生存期間(
OS)中央値は13~15ヶ月程度で
あり、予後は不良です。以上の
背景より、HRAS遺伝子変異陽性
の再発/転移性頭頸部扁平上皮
ガン患者さんに対する経口ファ
ルネシルトランスフェラーゼ選
択的阻害薬であるTipifarnib単
剤療法の有用性を検証する目的
で本試験が開始されました。

 本試験で評価可能であった患
者さんは20人です。主要評価項
目である客観的奏効率(ORR)
は55%(95%信頼区間:31.5-
76.9%)を示しました。副次評
価項目である無増悪生存期間(
PFS)中央値は5.6ヶ月(95%信
頼区間:3.6-16.4ヶ月),全生
存期間(OS)中央値は15.4ヶ月
(95%信頼区間:7.0-29.7ヶ月)
を示しました。

 一方の安全性として、最も多
くの患者さんで確認された治療
関連有害事象(TRAE)は貧血37
%、リンパ球減少症13%を示し
ました。

 以上のKO-TIP-001試験の結果
よりAlan L. Ho氏らは「HRAS遺
伝子変異陽性の再発/転移性頭
頸部扁平上皮ガン患者に対する
経口ファルネシルトランスフェ
ラーゼ選択的阻害薬Tipifarnib
単剤療法は、良好な抗腫瘍効果
を示し、治療選択肢に限りのあ
る本疾患に対して有望な治療選
択肢になり得る可能性が示唆さ
れました」と結論を述べていま
す。

頭頚部ガンについて解説してい

る講演動画です。

 

 

 



 両方の単剤療法は、失敗に終
わった。         笑














◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆














2】 柿タンニンが潰瘍性大腸炎の病態を改善可能と判明 













 奈良県立医科大学は4月2日、
柿より高純度に抽出した柿タン
ニン(柿渋)が、潰瘍性大腸炎
で増加する腸内の悪玉菌の増殖
と炎症反応を抑え、潰瘍性大腸
炎の病態を改善できることを動
物モデルにて実証したと発表し
ました。この研究は、同大免疫
学講座の伊藤利洋教授、畿央大
学健康科学部の栢野新市教授、
松村羊子教授らの共同研究グル
ープによるものです。研究成果
は、「Scientific Reports」に
オンライン掲載されています。

 潰瘍性大腸炎は、消化管に慢
性炎症を引き起こす原因不明の
疾患で、寛解と再燃を繰り返す
ことが知られています。近年、
患者数が増加しており、国内で
約20万人、欧米で約200 万人の
患者さんがいると推定されてい
ます。根治する治療法は確立さ
れておらず、一般的には症状改
善のために薬物による内科的治
療が行われますが、薬物療法が
効かない場合もあります。厚生
労働省指定難病にも指定されて
おり、患者数は指定難病の中で
は最多で、新規予防法・治療薬
の開発が望まれています。

 腸内には500~1,000種類、約
100 兆個の腸内細菌が共生して
おり、腸内の細菌は食物の代謝、
吸収だけでなく、腸内の免疫系
を制御していることが明らかと
なってきており、腸内細菌叢の
構成異常「dysbiosis」 が免疫
系の活性化と抑制のバランスを
崩し、潰瘍性大腸炎をはじめと
する炎症性腸疾患の発症を引き
起こすと考えられてきました。

 タンニンは、植物に含まれる
ポリフェノールの一種で、柿、
お茶、ぶどうなどに多く含まれ
る、渋みのもととなる成分です。
柿から抽出されたタンニンは、
古くから柿渋として、革や衣服
の防虫、防水や染色に利用され
てきましたが、近年、柿タンニ
ンは抗菌作用、抗ウイルス作用、
抗炎症作用、抗酸化作用などの
多様な作用を持つことが明らか
となってきており、さまざまな
疾患への応用が期待されていま
す。

 伊藤教授らの研究グループは
多様な活性を持つ柿タンニンに
着目し、柿より高純度に抽出し
た柿タンニン(柿渋)が、新型
コロナウイルス(武漢熱ウイル
ス)に対して不活化効果を有す
ることを2020年に発表していま
す。また、柿タンニンは非結核
性抗酸菌に対する抗菌作用やマ
クロファージの活性化を抑制す
る作用をもち、柿タンニンを含
有する餌をマウスに摂取させる
ことで、非結核性抗酸菌感染に
よる肺炎が改善することを明ら
かにしています。さらに、柿タ
ンニンは大腸の環境で発酵され
抗酸化活性を示すことから、潰
瘍性大腸炎のような大腸の炎症
を柿タンニンが抑制するのでは
ないかとの着想に至ったという
ことです。

 研究グループは今回、柿果実
より高純度に抽出した柿タンニ
ン(柿渋)を含有する餌をマウ
スに摂取させることで、デキス
トラン硫酸ナトリウムの投与に
よって誘発される大腸炎(潰瘍
性大腸炎モデル)の疾患活動性
ならびに炎症を軽減できること
を見出しました。

 このメカニズムとして、柿タ
ンニンは潰瘍性大腸炎をはじめ
とする炎症性腸疾患患者に見ら
れる、いわゆる悪玉菌(Entero
bacteriaceae科の細菌群)の増
加や、腸内細菌叢のdysbiosis
を抑えること、さらに免疫細胞
の活性化を抑えることが示唆さ
れました。「本成果から、潰瘍
性大腸炎の予防・治療や寛解維
持への柿渋の応用が期待される」
と、研究グループは、述べてい
ます。

柿渋タンニンの魅力について

解説している動画です。

 

 

 



 意地でも寛解維持を達成する。














◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













編集後記



 2021年3月22日、医学誌『Jo
urnal of Clinical Oncology』
にてHRAS遺伝子変異陽性の再発
/転移性頭頸部扁平上皮ガン患
者さんに対する経口ファルネシ
ルトランスフェラーゼ選択的阻
害薬であるTipifarnib(チピフ
ァルニブ)単剤療法の有効性、
安全性を検証した第2相のKO-T
IP-001試験 (NCT02383927)の
結果がMemorial Sloan Ketteri
ng Cancer CenterのAlan L. Ho
氏らにより公表されたのは、素
晴らしい業績です。HRAS遺伝子
変異陽性の再発/転移性頭頸部
扁平上皮ガン患者に対する経口
ファルネシルトランスフェラー
ゼ選択的阻害薬Tipifarnib単剤
療法は、良好な抗腫瘍効果を示
し、治療選択肢に限りのある本
疾患に対して有望な治療選択肢
になり得る可能性が示唆された
のは、本当に喜ばしいことです。
 奈良県立医科大学が4月2日、
柿より高純度に抽出した柿タン
ニン(柿渋)が、潰瘍性大腸炎
で増加する腸内の悪玉菌の増殖
と炎症反応を抑え、潰瘍性大腸
炎の病態を改善できることを動
物モデルにて実証したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
柿タンニンは大腸の環境で発酵
され抗酸化活性を示すことから、
潰瘍性大腸炎のような大腸の炎
症を柿タンニンが抑制するので
はないかとの着想に至ったとい
うのは、本当にユニークな考え
方であると思いました。本成果
から、潰瘍性大腸炎の予防・治
療や寛解維持への柿渋の応用を
追究して頂きたいものです。柿
特に渋柿のタンニンというのは、
色々な所で、色々な疾患に活用
できることを思い知らされまし
た。

 八甲田山で、発酵食品を作る。
















************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
  解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」https://www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長 
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト http://eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp
このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。