診療マル秘裏話  号外Vol.2104 令和3年5月2日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)進行膵臓ガンに、根治性の高いナノナイフ治療
2)認知症治療薬候補の抗タウ抗体E2814の臨床試験











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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








 
1】 進行膵臓ガンに、根治性の高いナノナイフ治療










 切除不能の膵臓ガンに対して、
より根治性の高い治療法として
期待を集めるのが、山王病院(
東京都港区)で2016年から
始めているナノナイフ治療です。
長さ15センチ、太さ1・1ミ
リの針を2~6本、皮膚を通し
て腫瘍を取り囲むように刺し、
針と針の間に3000ボルトの
高電圧で1万分の1秒のパルス
電流を500~1500発流す
ことによって、ガン細胞に小さ
な穴を開け、死滅させるという
治療法です。

 「切除不能の膵ガンに対して
は転移、あるいはそれを想定し
た全身への治療と、局所進行を
制御できる治療の両方が必要で
す。前者は化学療法が有効です
が、後者に関して膵臓は血流が
少ないため、抗ガン剤を大量に
送り込めず、効くけれども根治
まで追い込めない。その点、ナ
ノナイフは根治を目指せる、患
者に希望を与える治療法だと思
います」山王病院ガン局所療法
センター長(国際医療福祉大学
 臨床医学研究センター教授)
の森安史典医師は治療の意義を
このように語っています。

 ナノナイフ治療の主な対象は
ステージ3の遠隔転移を伴わな
い切除不能局所進行膵ガンです。
膵臓の表面を越えて周囲の血管
や組織周辺にガンが食い込んで
いる状態ですが、ナノナイフの
電流は器官や臓器を支える間質
には影響を与えず、臓器の構造
や血管、神経などは無傷のまま
です。すなわち、血管を傷つけ
ずに刺すことで、血管周辺のガ
ン細胞を死滅させることができ
ます。

 CTなどのシミュレーション
画像とリアルタイムで撮影する
超音波の画像を融合させる技術
によって、針を想定していた角
度や深度で正確に刺し込めるよ
うになっており、安全性は高い
と思われます。

 「既存の化学療法をベースに、
侵襲性の低いナノナイフ治療を
プラスしてガン細胞を減らし、
ガン細胞の縮小・消失を図ると
いう治療戦略です。したがって
化学療法との併用が必須になり
ます」(森安医師)。

 ナノナイフ治療前後の1カ月
間は休薬する必要があるものの、
身体への負担が少なく、標準治
療である化学療法を継続できる
ことが、手術との違いです。

 2016年4月~19年3月
の3年間でナノナイフ治療を実
施した患者さん125人の全生
存期間の中央値は27・8カ月。
3年生存率は37%、4年生存
率は16・5%でした。化学療
法のみの生存期間の中央値は約
1年、3年生存率はほぼゼロで
す。それと比べると長期延命効
果は明らかであり、根治の目安
となる5年生存も現実味を帯び
ています。

 ナノナイフへのポテンシャル
は物理的なガン細胞の縮小・消
失だけではありません。治療に
よって残ったガン細胞の死骸か
らガンの抗原を認識して免疫反
応が起きやすいことが分かって
います。「この免疫反応を利用
した全身治療を開発することに
より、より多くの治癒例が得ら
れるかもしれません」と森安医
師は期待しています。

 ただし、ネックとなるのは自
費診療であり、200万円以上
の自己負担が必要となります。
1日も早く保険診療として承認
され、適応患者が幅広く受けら
れるようになることを願います。 

進行、再発膵臓ガンの最新治療

について解説している動画です。

 

 

 

 



 交通事故の保険適応分と自己
負担分を分ける。     笑















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2】 認知症治療薬候補の抗タウ抗体E2814の臨床試験













 エーザイは、英国の大学と共
同で創製したアルツハイマー病
の新薬候補が、官民国際パート
ナーシップの下で行われる臨床
試験で評価されると発表しまし
た。同疾患の原因蛋白質の一つ
とされる「タウ」が脳内に拡散
するのを抑える抗体医薬で、臨
床試験は2021年度に始まる
見通しです。

 米ワシントン大学医学部が主
導する優性遺伝アルツハイマー
ネットワーク試験ユニットが臨
床試験を行います。優性遺伝ア
ルツハイマー病はアルツハイマ
ー病全体の約1%を占めます。
同ユニットはアミロイド・ベー
タに対する抗体医薬の臨床試験
を過去に行いましたが、いずれ
の抗体も実用化に至りませんで
した。

 エーザイの抗タウ抗体「E2
814」は現在、第1相臨床試
験を実施しています。同ユニッ
トは、別の抗タウ抗体2種を含
めて臨床試験でタウの凝集化へ
の作用や神経損傷の軽減を含め
た症状の発症・進行に対する影
響を評価します。

アルツハイマー病について解説

している動画です。

 

 

 

 



 新興国で症状が進行する。笑















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編集後記



 切除不能の膵臓ガンに対して、
より根治性の高い治療法として
期待を集めるのが、山王病院(
東京都港区)で2016年から
始めているナノナイフ治療とい
うことですが、既存の化学療法
をベースに、侵襲性の低いナノ
ナイフ治療をプラスしてガン細
胞を減らし、ガン細胞の縮小・
消失を図るという治療戦略には、
異論があります。どうしても、
化学療法が必須ということであ
れば、クロノテラピーか,ADC(
抗体薬物複合体)による治療を
行うべきだと思います。折角、
患者さんの身体に負担の少ない
治療を高額のお金をかけて行う
のですから、それ位の患者さん
に対する配慮があってもしかる
べきだと思います。
 エーザイが、英国の大学と共
同で創製したアルツハイマー病
の新薬候補が、官民国際パート
ナーシップの下で行われる臨床
試験で評価されると発表したの
は、喜ばしいことです。以前か
ら、アミロイドβを治療標的に
するのは、困難であると私は、
考えていました。タウ蛋白質な
らば、アルツハイマー型認知症
のバイオマーカーになり得ると
思われます。そのタウ蛋白質に
対する抗体ですから、治療標的
としては、良い所に眼をつけた
と感心しました。脳内にも免疫
を司るミクログリアなどの細胞
が存在するのでタウ蛋白質とそ
の抗体が結合すれば、免疫細胞
が排除してくれるものと私は考
えています。

 関心を持ってくれたことに、
感心する。        笑














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