診療マル秘裏話  号外Vol.2218 令和3年9月12日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)2つの蛍光イメージングを併用し術中に肝ガン発見
2)ラムダ株の特徴的変異を検出する研究用試薬販売












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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 2つの蛍光イメージングを併用し術中に肝ガン発見














 関西医科大学は、8月10日、2
つの蛍光イメージングを併用す
ることで、手術前のCTやMRI 検
査で発見できなかった微小な肝
細胞ガンが手術中に検出できる
手法の開発に成功したことを発
表しました。また、蛍光イメー
ジングで使用される薬剤が、肝
臓ガンや胆のうガンに対する光
線力学的治療に有効であること
も発見しました。同大外科学講
座の海堀昌樹診療教授、松井康
輔講師、小阪久診療講師らの研
究グループによるものです。

 肝臓ガンの外科治療では、切
ってはならない部分を傷つけな
い「安全性の確保」と、切り取
るべき組織を全て切除する「治
療効果を最大化」という2つの
要素が同時に求められます。し
かも、ガン細胞はその成長度合
いによってサイズが異なり、肉
眼で必ず確認できるとは限らな
いため、これまでの手術では微
小なガンが見落とされてきた可
能性があります。そのため、正
常な組織とそうでない組織を正
確に見分ける必要があり、これ
まで肝臓の手術中に切除すべき
区域を識別・区別する手法の開
発が数多く行われてきました。

 その成果の一つが、インドシ
アニングリーン(ICG) という
染料で手術中にリアルタイムに
目的の組織を光らせる「ICG 蛍
光イメージング」と呼ばれる手
法です。しかし、この手法はガ
ン細胞を高精度に見極めること
はできますが、陰性か陽性かを
正しく判断する「特異度」は約
50%程度と高くなく、完全に信
頼がおけるものではありません
でした。アミノレブリン酸(5-
ALA)を使った「5-ALA蛍光イメ
ージング」は、特異度は極めて
高く感度・正診率は約60%弱と
いう、ICG 蛍光イメージングと
は真逆の特徴を持っています。

 研究グループは、この2つの
蛍光イメージングを同時に使う
ことで、見落とされがちだった
微小な肝細胞ガンを手術中に検
出できるのではないかと考え研
究を行いました。その結果、感
度・特異度・正診率の全てを高
い水準で維持することに成功し
ただけでなく、新たに発見した
5つの微小腫瘍の全てで悪性所
見が認められました。そのうち
2例が肝細胞ガン、3例が大腸
ガン肝転移でした。従来の単独
の蛍光イメージングよりも高い
特異度を導き出したのは、同研
究が世界初です。

 さらに研究グループは、ICG
をガン細胞に集まる特性をもっ
た「ラクトソーム」で運ばせ、
診断能力を分析しました。ガン
細胞に集まった「ICG ラクトソ
ーム」に対し、光線力学的治療
法を試し、治療効果を検討しま
した。光線力学的治療は病巣部
分に光増感剤を集積させ、そこ
に光を照射することにより発生
する活性酸素でガンを死滅させ
る治療法です。マウスによる動
物実験の結果、肝臓ガン、胆の
うガンに対しICG ラクトソーム
が集積するしていることを確認
しました。また、光照射によっ
て、1回目と2回目の照射で顕著
な抗腫瘍効果が認められました。
研究グループは今後の期待とし
て、次のように述べています。

 「本研究成果は、患者さんの
体への負担を抑えながら肉眼的
には見えにくい微小ガン病変を
可視化でき、正確な手術中診断
が可能となることで、より根治
性の高い手術が実現する可能性
を導きました。つまり、これま
で以上に安全かつ的確な肝臓切
除術が実現可能となり、肝ガン
治療成績の向上に寄与すること
が期待されます。またICG ラク
トソームは、マウス肝ガンおよ
び胆のうガンに対する診断だけ
でなく、光線力学的治療として
有効であり、将来の難治性肝胆
道ガンに対する治療法の一つと
なる可能性があります」

 蛍光イメージング:手術前に
蛍光物質を含む、特定の組織に
だけ集まるよう加工した薬剤を
投与し、近赤外光を照射するこ
とで薬剤が集まった部位を光ら
せる手法。

ガン細胞の蛍光イメージングに

ついて解説している動画です。

 

 

 

 



 河口で水位が下降するように
水門を加工した。     笑














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2】 ラムダ株の特徴的変異を検出する研究用試薬販売















 タカラバイオは8月19日、新
型コロナウイルス(武漢熱)変
異株のうち、C.37系統の変異(
ラムダ)株に特徴的な変異(L4
52Q変異およびF490S変異)を特
異的に検出する研究用試薬Prim
er/Probe L452R/L452Q(武漢熱)、
Primer/Probe F490S (武漢熱)
の販売(受注)を開始したと発
表しました。

 同試薬は、既に販売している
コアキット(PCR 酵素ミックス
と前処理試薬のセット)と組み
合わせて使用することで、L452
Q変異およびF490S変異を特異的
に検出できます。

 なお希望小売価格(税別)は、
Primer/Probe L452R/L452Q (
武漢熱)が100回分で2万円、Pr
imer/Probe F490S(武漢熱)が
100回分で1万円となっています。

ラムダ株について解説している

動画です。

 

 

 

 

 



 特異的な変異を検出するのが、
得意な機器。       笑















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編集後記



 関西医科大学が、8月10日、2
つの蛍光イメージングを併用す
ることで、手術前のCTやMRI 検
査で発見できなかった微小な肝
細胞ガンが手術中に検出できる
手法の開発に成功したことを発
表したのは、喜ばしいことです。
肝臓ガンの外科治療では、切っ
てはならない部分を傷つけない
「安全性の確保」と、切り取る
べき組織を全て切除する「治療
効果を最大化」という2つの要
素が同時に求められ、これらは、
一方を立てれば、一方が疎かに
なるという二律背反の要素が濃
いと思われます。またICG ラク
トソームは、マウス肝ガンおよ
び胆のうガンに対する診断だけ
でなく、光線力学的治療として
有効であり、将来の難治性肝胆
道ガンに対する治療法の一つと
なる可能性があるということで
非常に予後が悪い肝胆道ガンの
患者さんを救う一助となって欲
しいと切に願う次第です。
 タカラバイオが8月19日、新
型コロナウイルス(武漢熱)変
異株のうち、C.37系統の変異(
ラムダ)株に特徴的な変異(L4
52Q変異およびF490S変異)を特
異的に検出する研究用試薬Prim
er/Probe L452R/L452Q(武漢熱)、
Primer/Probe F490S (武漢熱)
の販売(受注)を開始したと発
表したのは、喜ばしいことです。
ラムダ株については、分からな
いことが多いのですが、その感
染力や重症化の度合いを測るに
は、まず変異を検出することが
絶対に必要になります。こうし
た試薬を使い、早くラムダ株の
評価を行い、対策を立てて行か
ないとデルタ株の感染爆発の二
の舞になる可能性が高くなると
思います。現況の変異株に対す
る対策を行いつつ、将来来る可
能性が高い、新しい変異株に対
する備えを準備しないといけな
いと考えています。

 氷菓の味を評価する。  笑

 














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