診療マル秘裏話  号外Vol.2227 令和3年9月23日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)CDK4/6阻害薬の効果高める併用療法を探索する
2)急性肝性ポルフィリン症治療薬のギブラーリ皮下注発売














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 CDK4/6阻害薬の効果高める併用療法を探索する














 現在、国内におけるサイクリ
ン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻
害薬の適応は再発・進行乳ガン
とされ、多くの固形ガンでも臨
床研究が行われています。金沢
大学ガン進展制御研究所腫瘍分
子生物学研究分野の盛金丹氏ら
の研究グループは、肝細胞ガン
およびKRAS変異肺ガン、KRAS変
異大腸ガンモデルマウスや細胞
株を用いた実験でCDK4/6阻害薬
の効果を高める併用療法を探索
しました。適切なキナーゼ阻害
薬との併用により、高い治療効
果が示されたと8月26日付プレ
スリリースで発表しました。詳
細はHepatology (2021年4月30
日オンライン版)に掲載されま
した。

 CDK4/6阻害薬は、ガン抑制遺
伝子蛋白質であるRB1 のリン酸
化を抑制し、細胞周期の進行阻
害を介して抗腫瘍効果を発揮し
ます。
 研究グループはまず、肝細胞
ガン発症との関連が報告されて
いるRBファミリーの機能を消失
させたマウスで肝細胞ガンモデ
ルを作製しました。RB1 を再発
現させた所、腫瘍のCDK4/6阻害
薬であるパルボシクリブに対す
る感受性を確認しました。また、
リン酸化されていないRB1(RB7
LP)を肝ガン細胞株に導入した
結果、パルボシクリブと類似の
効果を示すことを見いだしまし
た。

 さらに、RB7LP の効果を高め
る化合物を探索するため、RB1
が常に活性化している状態を模
した肝細胞ガンなどのガン細胞
株を作製しハイスループットス
クリーニングを行いました。そ
の結果、細胞死を回避させるキ
ナーゼIKKβの働きを弱めるIKK
β阻害薬Bay 11-7082 を同定し
ました。肝芽腫および肝細胞ガ
ンに対し、パルボシクリブとBa
y 11-7082 を併用投与すると、
パルボシクリブ単独投与に比べ
高い効果を発揮することが示さ
れました。研究グループは、パ
ルボシクリブ単独投与では、核
酸合成不全が引き金となり,IKK
α/βや炎症性サイトカインの
転写に寄与するNF-κBが活性化
してガン細胞の細胞死を回避し、
十分な効果が得られにくいため
と考察しています。

 また、RB1 の機能が保たれた
KRAS変異肺ガンおよびKRAS変異
大腸ガンの細胞株を用いて同様
の解析を行った所、Bay 11-708
2またはAKT経路を遮断するAKT
阻害薬との併用により、パルボ
シクリブの効果が増強されまし
た。

 これらの知見を踏まえ、研究
グループは「CKD4/6阻害薬を適
切なキナーゼ阻害薬と併用する
ことで治療効果が高まる」とし
ています。また、肝細胞ガンや
KRAS変異肺ガン、KRAS変異大腸
ガン以外にも、RB1 野生型ガン
や膵ガンのようにKRAS変異によ
って発症するガンなど、幅広い
ガン種に対する治療への応用に
も期待を示しています。

抗悪性腫瘍薬について解説して

いる動画です。

 

 

 



 高価な薬剤で治療効果を上昇
させる。         笑













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2】 急性肝性ポルフィリン症治療薬のギブラーリ皮下注発売
















 アルナイラムは8月30日、急
性肝性ポルフィリン症(AHP)
の治療薬としてギブラーリ皮下
注189mg (一般名ギボシランナ
トリウム)を発売しました。同
薬は国内における2成分目のRNA
干渉(RNAi)治療薬です。

 AHP は、ヘムの産生に関わる
酵素の異常により、神経毒性を
有するヘム前駆物質(ポルフィ
リン体)が過剰に蓄積するまれ
な遺伝性の代謝疾患です。20~
30代の女性に多く、重症かつ原
因不明の腹痛、嘔吐、痙攣など
の急性かつ消耗性の発作が特徴
です。

 ギブラーリは、RNA 干渉によ
りアミノレブリン酸合成酵素1
(ALAS1)のメッセンジャーRNA
(mRNA)を特異的に低下させる
ことでポルフィリン体などの蓄
積を妨げ、急性発作を抑制しま
す。

ポルフィリン症の症状と治療に

ついて解説している動画です。

 

 

 



 国境緩衝地帯に、武力干渉す
る。           笑













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編集後記



 金沢大学ガン進展制御研究所
腫瘍分子生物学研究分野の盛金
丹氏らの研究グループが、肝細
胞ガンおよびKRAS変異肺ガン、
KRAS変異大腸がんモデルマウス
や細胞株を用いた実験でCDK4/
6阻害薬の効果を高める併用療
法を探索し、適切なキナーゼ阻
害薬との併用により、高い治療
効果が示されたと8月26日付プ
レスリリースで発表したのは素
晴らしい業績です。肝細胞ガン
やKRAS変異肺ガン、KRAS変異大
腸ガン以外にも、RB1 野生型ガ
ンや膵ガンのようにKRAS変異に
よって発症するガンなど、幅広
いガン種に対する治療への応用
に期待したいと思います。
 ギブラーリは、RNA 干渉によ
りアミノレブリン酸合成酵素1
(ALAS1)のメッセンジャーRNA
(mRNA)を特異的に低下させる
ことでポルフィリン体などの蓄
積を妨げ、急性発作を抑制する
ことですから、本当に凄い薬剤
が発売されたものだと思います。
医学生の時、ポルフィリン症に
対しては、ポルフィリン体など
の蓄積を解消する方法がなく、
全く治療法がないと教わった気
がするので、治療法にこれだけ
の進歩があるなんて信じられな
い気持ちで一杯です。20~30代
の女性に多く、重症かつ原因不
明の腹痛、嘔吐、痙攣などの急
性かつ消耗性の発作がある悲惨
な疾病に治療薬が登場したのは、
本当に喜ばしい限りです。

 東條さんが搭乗口に登場する。


















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