診療マル秘裏話  号外Vol.2243 令和3年10月11日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)非小細胞肺ガンの治療薬がFDAの承認を取得
2)経口薬武漢熱治療薬が待望される理由について














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 非小細胞肺ガンの治療薬がFDAの承認を取得














 武田薬品工業は9月15日、肺
ガンの一種である非小細胞肺ガ
ンの治療薬が米食品医薬品局(
FDA)の承認を受けたと発表
しました。

 承認されたのは「Exkivity(
一般名:モボセルチニブ)」。
非小細胞肺ガン患者さん114
人を対象とする臨床第1・2相
試験で意義のある効果を持続す
ることが示されたのを受け承認
となりました。治験での奏功期
間の中央値は約18カ月でした。

 具体的には、上皮成長因子受
容体(EGFR)エクソン20挿
入と呼ばれる遺伝子変異を伴う
非小細胞肺ガンと診断され、ガ
ンが既に進行しているか、化学
療法を受けた患者さんに使うた
めに承認されました。

 迅速承認の制度で認められた
もので、武田によると、確認試
験で有効性が証明されれば、通
常の承認が下りる見通しという
ことです。

 非小細胞肺ガンは最も一般的
な肺ガンで、世界保健機関(W
HO)によると、世界で毎年、
新たに肺ガンと診断される推計
220万人の患者さんの約85%
を占めています。

非小細胞肺ガンの薬物治療につ

いて解説している動画です。

 

 

 

 



 商人が商品の迅速承認を決定
した。          笑













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2】 経口薬武漢熱治療薬が待望される理由について















 コロナ病棟ではどちらかとい
えば点滴による治療が行われて
いることが多いです。静脈点滴
のルートは、腕に針を刺して、
そこに点滴製剤をつなぎ、血管
の中に薬剤が滴下されているか
確認します。その分、医療従事
者の人手が必要になります。抗
体カクテル療法についても、海
外のように皮下注で投与できれ
ばよいのですが、現状静脈点滴
のルートを確保しなければいけ
ません。

 経口薬の武漢熱治療薬が普及
すれば、多くの患者さんが自宅
で治療できるため、医療逼迫の
軽減につながるかもしれません。
また、早期治療によって重症化
を防ぐことができるかもしれま
せん。そのため、現在軽症例に
対する経口薬が期待されている
のです。

 現在臨床試験がすすめられて
いる経口抗ウイルス薬はたくさ
んあります。特にメルク社のモ
ルヌピラビルとロシュ社のAT-5
27は臨床試験も大詰めであるこ
とから、早期承認が期待されて
います

 経口抗ウイルス薬の主な作用
機序は,「RNAポリメラーゼ」や
「3CLプロテアーゼ」 という酵
素を阻害して新型コロナウイル
スが増えないようにすることで
す。ウイルスが増えるために必
要な材料を、なくしてしまうの
です。

 代表的なRNA ポリメラーゼ阻
害薬であるファビピラビルにつ
いては、現在も一部のコロナ病
棟で使用されていますが、点滴
の抗ウイルス薬であるレムデシ
ビルが使用できない場合に絞ら
れてきた印象です。2020年に中
間解析によって、専門家から「
承認は時期尚早」と評価された
ままで、現在もいまだ承認され
ていません。

 国内の中等症に対する臨床試
験では、ファビピラビルを内服
することで、「体温、酸素飽和
度、胸部画像所見の改善、新型
コロナPCR2回連続陰性」のどれ
かが達成されるまでの期間に有
意な改善がみられました。しか
し、体温や酸素飽和度など臨床
医にとって重要と思われる指標
を個別をみると有意差はありま
せんでした。その他、ファビピ
ラビルを内服しても、臨床的改
善までの期間に影響はなかった
という否定的な報告もあります。

 現在、発症早期の新型コロナ
を対象として企業治験が実施さ
れています。恐らくその研究で
きちんとした結論が出るのでは
ないかと思っています。

 現時点で、期待されている薬
の1つがメルク社およびMSDのモ
ルヌピラビルです。ファビピラ
ビルと同じく,RNAポリメラーゼ
阻害薬です。現在日本でもモル
ヌピラビルの第3相試験が進行
しています。アメリカの研究で
は、プラセボよりも新型コロナ
ウイルス量を減少させる効果が
示されています。

 今秋にはモルヌピラビルの第
3相試験の結果が判明して、年
内にアメリカにおいて緊急使用
許可を取得するのではないかと
言われています。

 また、同社は「ウイルス曝露
した濃厚接触者が内服すると、
その後の発症を抑制できる」と
いう可能性についても臨床試験
をすすめています。

 現在用いられている抗体カク
テル療法も、ウイルス曝露直後
に投与することで発症が抑えら
れる効果があり(ただしこの用
法は日本では未承認)、今後「
まだ感染していないが将来の感
染を防ぐ」目的の薬剤が増える
と嬉しいですね。

 ファビピラビル以外の国産の
治療薬としては、塩野義製薬の
S-217662という経口抗ウイルス
薬が期待されています。冬まで
に第2相試験を終了して年内の
申請を目指しています。一から
創製された薬剤の臨床試験には
本来年単位を要することが多い
のですが、短期間でここまで到
達できたことに、驚きを隠せま
せん。

 イベルメクチンは厳密には抗
ウイルス薬ではなく抗寄生虫薬
(分類上は、マクロライド系抗
生物質)で、いくつか比較試験
やメタ解析がありますが、高い
エビデンスレベルでの有効性は
まだ証明されておらず、現時点
では国際的にも使用は推奨され
ていません。現在臨床試験がす
すめられています。

メルクの新薬について解説して

いる動画です。

 

 

 

 

 



 皮革製品の比較を行う。 笑














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編集後記



 武田薬品工業が9月15日、肺
ガンの一種である非小細胞肺ガ
ンの治療薬が米食品医薬品局(
FDA)の承認を受けたと発表
したのは、喜ばしいことです。
承認されたのは「Exkivity(一
般名:モボセルチニブ)」。非
小細胞肺ガン患者さん114人
を対象とする、臨床第1・2相
試験で意義のある効果を持続す
ることが示されたのを受け承認
となったということですが、治
験での奏功期間の中央値は約18
カ月と長く、有望な新薬である
と言えるでしょう。上皮成長因
子受容体(EGFR)エクソン
20挿入と呼ばれる遺伝子変異を
伴う非小細胞肺ガンと診断され、
ガンが既に進行しているか、化
学療法を受けた患者さんに使う
ために承認されたということで
すから、どんな種類の非小細胞
肺ガンに効くというわけではな
いことを頭の隅に置いておいて
下さい。
 経口薬の武漢熱治療薬が普及
すれば、多くの患者さんが自宅
で治療できるため、医療逼迫の
軽減につながる可能性は、高ま
ります。また、早期治療によっ
て重症化を防ぐことが可能とな
ることも考えられます。しかし、
武漢熱に感染したか、否かが分
からないのに、パニックになっ
過量投与が起きる可能性があり
ます。また、そうした不適切な
内服で重大な副作用を生む可能
も考えなければなりません。い
まだに、家族から薬をもらって
飲む人が多いのも気になります。
イベルメクチンが有効性はまだ
証明されていないとのことです
が、製造元のメルクが、価格が
安い、イベルメクチンが売れる
とモルヌピラビルが売れなくな
るため、積極的に臨床試験を行
っていないという事情もあるこ
とをご承知おき下さい。

 聖像のありかを誠三さんが、
製造元に問い合わせた。  笑
















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