診療マル秘裏話  号外Vol.2318 令和4年1月7日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)放射線耐性ガン細胞、周囲の感受性ガン細胞転換
2)神経幹細胞を遺伝子操作で活性化認知機能改善














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 放射線耐性ガン細胞、周囲の感受性ガン細胞転換













 熊本大学は12月13日、放射線
が効きにくい口腔ガン細胞が、
周囲の放射線が効きやすい口腔
ガン細胞に放射線耐性を獲得さ
せる仕組みを明らかにしたと発
表しました。この研究は、同大
大学院生命科学研究部歯科口腔
外科学講座の吉田遼司准教授、
中山秀樹教授らの研究グループ
によるものです。研究成果は、
「Journal of Extracellular V
esicles」に掲載されています。

 放射線治療は、口腔ガンに対
する有効な治療法の1つですが、
放射線治療が効かない、放射線
耐性ガン細胞の存在が臨床上の
問題となっています。近年、さ
まざまな細胞が分泌する細胞外
小胞が腫瘍細胞の治療抵抗性獲
得に関与することが報告されて
きましたが、口腔ガンの放射線
耐性と細胞外小胞との関わりに
ついてはほとんど研究されてい
ませんでした。

 今回、研究グループは実際に
患者さんが受ける放射線治療と
同じように放射線照射を行って
樹立した、放射線が効きにくい
口腔ガン細胞(以下、放射線耐
性細胞)から分泌される細胞外
小胞を回収し、放射線が効きや
すい口腔ガン細胞(以下、放射
線感受性細胞)に作用させ、放
射線耐性の変化を調べました。
その結果、放射線耐性細胞が分
泌する細胞外小胞は、放射線感
受性細胞の中に取り込まれ、放
射線耐性を獲得させることが明
らかとなりました。

 また、細胞外小胞に含まれる
マイクロRNA に着目し、放射線
治療が奏効した口腔ガン患者さ
んと、放射線治療が効きにくか
った口腔ガン患者さんの血中に
存在する細胞外小胞に含まれる
マイクロRNA の発現量を比較検
討しました。同様に、放射線感
受性口腔ガン細胞と放射線耐性
口腔ガン細胞の細胞外小胞に含
まれるマイクロRNA の発現量を
比較検討しました。その結果、
放射線治療が効きにくかった口
腔ガン患者さんと、放射線耐性
をもつ口腔ガン細胞の両方で共
通して発現が上昇しているマイ
クロRNA(miR-503-3p) を放射
線耐性に関わるマイクロRNA と
して同定しました。

 同定したマイクロRNA(miR-5
03-3p) が、どのような仕組み
で放射線耐性をコントロールし
ているかを解析した結果、細胞
外小胞の中に含まれるマイクロ
RNA の受け渡しを介して、アポ
トーシス促進蛋白質であるBAK
という分子の発現を抑制し、ア
ポトーシスを起きにくくするこ
とで、放射線感受性細胞に放射
線耐性を獲得させることを明ら
かにしました。

 最後に、口腔ガン患者さんの
血液中に存在するマイクロRNA
を測定することで、放射線治療
の治療効果や予後を予測できる
かを検討した所、口腔ガン患者
さんの血液中に存在するマイク
ロRNA(miR-503-3p) の発現量
が高いほど治療効果が乏しくな
り、予後が悪くなるということ
が分かりました。これらのこと
から、血液中のマイクロRNA(m
iR-503-3p) を測定することで、
口腔ガン患者さんの放射線治療
の治療効果や予後を予測できる
可能性があることが明らかにな
りました。

 「今回の研究成果から、細胞
外小胞による新たな口腔ガンの
放射線耐性獲得メカニズムが明
らかとなった。この仕組みを応
用することで、放射線治療が効
きにくい口腔ガンの新たな診断・
治療法の開発につながる可能性
がある」と、研究グループは述
べています。

 放射線治療のメリットについ

て解説している動画です。

 

 

 

 



 放射線耐性細胞が大勢となる。















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2】 神経幹細胞を遺伝子操作で活性化認知機能改善














 老化とともに衰える神経細胞
の「元」を遺伝子操作で若返ら
せ、マウスの認知機能を改善す
ることに京都大ウイルス・再生
医科学研究所のグループが成功
しました。12月16日、米専門誌
に発表します。

 この細胞は脳にある「神経幹
細胞」です。胎児の間は活発に
増殖して神経細胞を増やします
が、老化とともに増殖する力が
なくなっていき、認知機能も衰
えます。

 グループは胎児マウスの脳と、
老齢マウスの脳の神経幹細胞で
働く遺伝子を比べました。胎児
でよく働いている遺伝子80種類
のうち、神経幹細胞を活性化さ
せる作用が強い遺伝子を突き止
めました。次に老齢マウスの神
経幹細胞でよく働いている遺伝
子を抑えると、神経幹細胞を活
性化できることも判明しました。

 その上で、胎児で見つけた遺
伝子はたくさん働かせる一方で、
老齢で見つけた遺伝子を抑える
という両方の合わせ技で、神経
幹細胞を最も活性化させる方法
を開発しました。「iPaD」と名
付けたこの方法で、老齢マウス
の脳を遺伝子操作しました。

 すると、増殖能力をほぼ失っ
ていた神経幹細胞は活性化し3
カ月以上、増え続けました。老
齢マウスは、空間記憶や新しい
置物の認識記憶が低下しますが、
遺伝子操作したマウスは、老齢
でもこうした認知能力が改善す
ることも確かめました。

 今後は霊長類でもこの方法の
効果があるかどうか、マーモセ
ットを使って確認していくとい
うことです。マウスの遺伝子操
作は、脳にウイルスを使って遺
伝子を入れており、ヒトに直接
応用することはむずかしいとさ
れています。グループの影山龍
一郎客員教授は「ヒトでいうと
60代が10代の神経幹細胞に若返
ったようなもの。ヒトの脳に使
える方法も探っていきたい」と
話しています。

 脳神経細胞の再生について、

解説している動画です。

 

 

 

 



 ウイルスを使い遺伝子導入を
脳はノーと言う。     笑















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編集後記




 熊本大学が12月13日、放射線
が効きにくい口腔ガン細胞が、
周囲の放射線が効きやすい口腔
ガン細胞に放射線耐性を獲得さ
せる仕組みを明らかにしたと発
表したのは素晴らしい業績です。
細胞外小胞(エクソソーム)が
伝令役となって、その中にある
マイクロRNA を放射線感受性細
胞を耐性に変えるというメカニ
ズムは、精巧にできているもの
だと感心しました。このような
細胞外小胞をブロックすること
で、放射線感受性細胞の耐性化
に歯止めをかけることが可能と
なると私は、考えています。
 老化とともに衰える神経細胞
の「元」を遺伝子操作で若返ら
せ、マウスの認知機能を改善す
ることに京都大ウイルス・再生
医科学研究所のグループが成功
したのは、素晴らしい業績です。
胎児で見つけた遺伝子はたくさ
ん働かせる一方で、老齢で見つ
けた遺伝子を抑えるという両方
の合わせ技で、神経幹細胞を最
も活性化させる方法を開発した
というのは、本当にエレガント
な手法を確立したものだと感心
しました。60代が10代の神経幹
細胞に若返ったような効果を人
でも用いることができれば最高
だと思います。

 エレガントな手法を確立する
確率。          笑














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