診療マル秘裏話  号外Vol.2323 令和4年1月13日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)ガン骨転移重症感染症リスク高く発症後死亡リスク2倍
2)シルデナフィルの投与患者で,AD発症リスクが約70%低減













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 ガン骨転移重症感染症リスク高く発症後死亡リスク2倍













 デンマークの人口に基づくコ
ホート研究で、ガンの骨転移(
BM)を来した患者さんは肺炎や
敗血症などの重症感染症のリス
クが高く、これらを発症すると、
死亡リスクが発症前の2倍以上
に上昇する可能性が示されまし
た。同国・Aarhus University
HospitalのThomas J. Hjelholt
氏らが、1994~2013年にBMと診
断された成人の固形ガン患者さ
ん2万3,336例を最大10年間追跡
した調査の結果をBMJ Open(20
21; 11: e049831) に発表しま
した。感染リスクは、BM診断後
1カ月間はそれ以降よりも高い
ことが示されました。

 固形ガン患者さんの感染リス
クに関する研究は少なく、BMと
感染症による死亡リスクとの関
係は不明です。ガン患者さんの
BMは最も消耗性で医療費がかか
る合併症の1つで、予後不良と
,QOL低下に関連すると報告され
ています。Hjelholt氏らは、デ
ンマークの全人口を対象とする
医療データベースを用いて、BM
を有するガン患者さんの全国的
なコホートを構築、入院を必要
とする感染症リスクおよび関連
する死亡リスクについて検討し
ました。

 1978~2013年にDanish Cance
r Registryに登録された18歳以
上の79万5,083例 (基底細胞ガ
ンおよび血液悪性腫瘍は除外)
から、デンマーク在住で1994年
1月~2013年11月に,BMと診断さ
れた固形ガン患者さん2万3,336
例を特定しました。2013年11月
まで追跡し、感染症リスク分析
(肺炎、敗血症、尿路感染症な
ど一般的な重症感染症の累積発
症率:死亡を競合リスクとし、
入院までの期間を0~1カ月,0~
1年、0~10年に分け算出)およ
び死亡率分析〔感染症の診断日
はtime-varying exposureとし、
死亡率は1発症まで、2発症後
の2つのリスク期間で推定(発
症した場合)※発症しなかった
場合は1のみ〕を行いました。

 2万3,336例の主な原発ガン種
は、前立腺ガンが30.5%、乳ガ
ンが22.8%、肺ガンが17.3%。
男性が全体の57.3%で、BM診断
時に60歳以上は77%でした。ガ
ン診断から中央値1.5 年(四分
位範囲0.2~4.7年)でBMと診断
された時点で、36.1%が併存症
を有し〔チャールソン併存疾患
指数(CCI)スコア1以上〕、41
%にBM以外の転移が見られまし
た。

 重症感染症の累積発症率は、
BM診断後1カ月、1年、10年でそ
れぞれ4.6%(95%CI 4.3~4.9%)、
14.0%(同13.5~14.4%)、20
.0%(同19.5~20.5%)。発症
率が最も高かったのは肺炎で、
次いで尿路感染症、敗血症の順
でした。1年および10年時点で
の重症感染症の発症率をガン種
別に見ると、最も高かったのは
前立腺ガンでした。

 感染はBM診断後の死亡の強力
な予測因子であり、年齢、性、
併存症を調整後の死亡リスクは
1カ月で発症前の約2倍に上昇
〔調整ハザード比(HR)2.1、9
5%CI 1.8 ~ 2.3〕,その後遠隔
期にやや上昇しました (1年:
調整HR 2.4、95%CI2.3~2.5、
10年:同2.4、2.4~2.5)。

 特に肺炎と敗血症は最も強力
な死亡の予測因子で、発症前に
対する発症後の死亡の調整HRは
1カ月でそれぞれ2.8(95%CI 2.
4~ 3.2)と3.5 (同2.8 ~4.3)、
1年で3.0(同2.8~3.2)と2.6
(同2.4 ~2.9)、10年で2.9(
同2.7~ 3.0)と2.6(同2.4~2
.7)に上昇しました。これらの
結果は、原発ガン種別に見ても
一貫していました。

 以上の結果から、Hjelholt氏
らは「固形ガンのBMを来した患
者さん2万3,336例を対象とした
全国コホート研究では、一般的
な重症感染症リスクが高く、特
に肺炎と敗血症による入院は最
大10年間の追跡で2倍以上の死
亡リスクの上昇に関連していた。
BMを有するガン患者さんの感染
予防の重要性が浮き彫りになっ
た」と結論しています。

 同氏はまた、「進行ガン患者
さんの感染予防は極めて重要だ
が、修正不能な危険因子のため
困難な場合がある。好中球減少
症患者さんへの抗菌薬の予防的
投与は感染率を低下させるが、
死亡率には影響しない(Virule
nce 2016; 7: 298-308)。それ
でもメタ解析では、こうした予
防的治療が全生存の改善に有望
なことが示されている(Ann On
col 2018; 29: 1903-1910)」
と考察しています。

 ガンの骨転移の症状・治療・

予後について解説している動画

です。

 

 

 



 危険を感じて試合を棄権した。















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2】 シルデナフィルの投与患者で,AD発症リスクが約70%低減














 認知症に対する薬剤開発が期
待される中、ドラッグリポジシ
ョニングにも目を向ける必要が
あるようです。米・Cleveland
ClinicのJiansong Fang氏らは、
同国で承認された薬剤の中から
アルツハイマー型認知症(AD)
に有効な可能性があるものを選
び出す手法を開発しました。勃
起不全薬(商品名バイアグラ)
および肺動脈性肺高血圧症治療
薬(同レパチオ)として承認さ
れているシルデナフィルを投与
した患者さんでは、AD発症リス
クが約70%低減したとNature A
ging(2021年12月6日オンライ
ン版)に報告しました。

 ADの特徴は、脳内のアミロイ
ド斑とタウ蛋白による神経原線
維変化を認める点にあります。
これらを標的とする新薬の開発
が加速していますが、現在のと
ころ必ずしも臨床に還元されて
いるわけではありません。ADに
対する新薬の開発が難航する状
況において、異なるアプローチ
法として既承認薬の中からAD候
補薬を探索することが考えられ
ます。

 今回、Fang氏らは、まずADの
病態に関連する遺伝子の同定を
行い、これらの遺伝子をつなぐ
分子相互作用ネットワークを構
築しました。その際、アミロイ
ドとタウ蛋白の両方に関連する
遺伝子に注目し、米食品医薬品
局(FDA)が承認した1,600種類
以上の薬剤に関して、各薬剤の
標的分子とAD分子相互作用ネッ
トワークの構成要素との関連性
を検討しました。AD関連遺伝子
と密接に関連する66種類の薬剤
が特定されました。その多くは、
ADに対する臨床試験で既に検討
されていたことから、今回のア
プローチ法が有効であることが
分かりました。さらに検討を進
めた所、ADに対する最有力候補
薬はシルデナフィルであること
を突き止めました。

 次に、700 万人以上の米国人
の保険請求データを分析した結
果、シルデナフィル非服用者に
比べ服用者(ほぼ男性)では、
6年間のAD発症リスクが69%低
いと言う結果でした(ハザード
比0.31、95%CI 0.25~0.39、P
<1.0×10-8)。シルデナフィ
ル服用によるADリスクの低減効
果は性、年齢、他の疾患の合併
などで調整後も維持されていま
した。

 Fang氏らは、シルデナフィル
がAD発症リスクに及ぼす影響を
解明するため、AD患者さんから
採取し培養した神経幹細胞をシ
ルデナフィルに曝露させました。
その結果、神経細胞同士をつな
ぐ神経突起の成長が促進され、
タウ蛋白のリン酸化が減弱する
ことが分かりました。

 ただし、同氏らは「今回、わ
れわれはシルデナフィルの使用
とAD発症リスクの低下との関連
を示したにすぎない」としてい
ます。その上で「両者の因果関
係を検証し、AD患者に対するシ
ルデナフィルの臨床効果を確認
するmechanistic trial および
第2相ランダム化比較試験を計
画している」との展望を示しま
した。

 このニュースのニュース動画

です。

 

 

 



 懸賞金の行方を検証する。笑















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編集後記




 デンマークの人口に基づくコ
ホート研究で、ガンの骨転移(
BM)を来した患者さんは肺炎や
敗血症などの重症感染症のリス
クが高く、これらを発症すると、
死亡リスクが発症前の2倍以上
に上昇する可能性が示されたの
は、素晴らしい業績です。BMを
来した患者さんは、重症感染症
に非常に気を使うべきであり、
医療関係者もその旨を理解して
患者さんに十分に説明すること
が必要だと思われます。BM自体
のお話も患者さんのストレスを
考慮して、話していない場合は、
説明が更に困難になると予想さ
れます。
 米国で承認された薬剤の中か
らアルツハイマー型認知症(AD)
に有効な可能性があるものを選
び出す手法を開発し、勃起不全
薬(商品名バイアグラ)および
肺動脈性肺高血圧症治療薬(同
レパチオ)として承認されてい
るシルデナフィルを投与した患
者さんでは、AD発症リスクが約
70%低減したとNature Aging(
2021年12月6日オンライン版)
に報告したのは、偉大な業績で
す。AD患者に対するシルデナフ
ィルの臨床効果を確認するmech
anistic trial および第2相ラ
ンダム化比較試験を計画という
展望もスマートなやり方法と言
わざるを得ません。

 這う這うの体で、逃げる方法。














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