診療マル秘裏話  号外Vol.2538 令和4年9月20日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次

1)頭蓋内胚細胞腫瘍に関するGWASを世界初で実施
2)有効成分を実際の薬に加工し生産請け負うCDMO













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 頭蓋内胚細胞腫瘍に関するGWASを世界初で実施











 国立成育医療研究センターは
8月25日、国内の多施設共同研
究により、小児に好発する脳腫
瘍である頭蓋内胚細胞腫瘍に関
するゲノムワイド関連解析(GW
AS)を世界で初めて実施し、BA
K1遺伝子領域における遺伝子多
型が疾患リスクに関わることを
明らかにしたと発表しました。
この研究は、大阪大学大学院医
学系研究科の曽根原究人大学院
生(遺伝統計学)、岡田随象教
授(遺伝統計学/理化学研究所
生命医科学研究センターシステ
ム遺伝学チームチームリーダー
/東京大学大学院医学系研究科
遺伝情報学教授)、順天堂大学
大学院医学研究科の市村幸一特
任教授、埼玉医科大学国際医療
センターの西川亮名誉教授、国
立成育医療研究センターの寺島
慶太診療部長らの研究グループ
によるものです。研究成果は、
「Nature Communications」 に
掲載されています。

 頭蓋内胚細胞腫瘍は小児期~
青年期にかけて多く見られる脳
腫瘍であり、日本における小児
脳腫瘍のうち2番目に多く、約
12%の割合を占めます。同疾患
は日本における年間罹患率が10
0万人あたり3人未満の希少疾患
である一方で、この値は欧州諸
国と比較すると4倍以上に相当
する高い値であり、罹患率に著
しい地域差がある点が特徴的で
す。同疾患は、より頻度の高い、
精巣に生じる胚細胞腫瘍と病理
組織学的に類似することで知ら
れ、共通の生物学的背景が提唱
されています。しかし、精巣胚
細胞腫瘍は欧州諸国においてア
ジア諸国の2倍以上の罹患率を
示すように、2つの疾患は罹患
率の地域差に関しては正反対の
関係にあり、実際に発症メカニ
ズムを共有しているのか結論は
出ていません。

 上述の罹患率の低さが臨床検
体の収集を困難にするのに加え、
罹患率の著しい地域差が国際的
な共同研究を実施する上で障壁
となってきたことで、頭蓋内胚
細胞腫瘍に関する生物学的基盤
の大部分は明らかになっていま
せん。特に、遺伝的素因が発症
リスクに及ぼす影響に関して、
ヒトゲノム全体に亘った網羅的
な研究はこれまで報告がありま
せんでした。

 そこで今回、研究グループは
頭蓋内胚細胞腫瘍の遺伝的な発
症リスクを解明するために、日
本全国の多施設共同プロジェク
トとして臨床検体の収集を行う
ことで、133 名の頭蓋内胚細胞
腫瘍患者のゲノムデータを収集
しました。この過去最大規模の
患者さんゲノムデータと健常対
照者群との間で、ヒトゲノム全
体に亘る遺伝子多型を網羅的に
比較検討するゲノムワイド関連
解析を実施しました。

 その結果、発症と強く関連す
る遺伝子領域を6番染色体上に
発見しました。関連領域は、6
番染色体短腕の主要組織適合遺
伝子複合体領域(major histoc
ompatibility complex :MHC領
域)に見られました。そのため、
研究グループは機械学習手法HL
A imputation 法を用いてMHC領
域中のHLA(human leukocyte a
ntigen)遺伝子配列を推定し、
発症リスクとの関連を詳細に検
討しました。その結果、同疾患
の発症リスクと最も強く関連す
るのはHLA 遺伝子配列ではなく、
細胞のアポトーシス調節因子で
あるBAK1遺伝子の近傍に位置す
る4塩基の欠失多型であること
が分かりました。

 この欠失多型はBAK1遺伝子に
隣接したエンハンサー上に存在
しており、GTExプロジェクトの
公開データを利用した所、発症
リスクとなる塩基の欠失が人体
の幅広い組織においてBAK1遺伝
子の発現量を減少させることが
分かりました。研究グループは
今回のリスク遺伝子多型が位置
するエンハンサー配列に関して
培養細胞株を用いたレポーター
アッセイを行い、発症リスクと
なる塩基の欠失がエンハンサー
活性を減弱させることを実験的
にも証明しました。

 さらに、研究グループは頭蓋
内胚細胞腫瘍と病理組織学的に
類似していることで知られる精
巣胚細胞腫瘍のゲノム解析デー
タと同研究で得られたデータを
比較しました。精巣胚細胞腫瘍
において報告されているリスク
遺伝子多型は、頭蓋内胚細胞腫
瘍においても類似のリスクを示
すことが分かり、これら2種類
の異なる臓器に生じる胚細胞腫
瘍の間で遺伝的背景が共有され
ていることが実証されました。

 今回の研究は頭蓋内胚細胞腫
瘍について、遺伝子多型がどの
ように発症リスクに寄与するの
か網羅的に解析を行った初めて
の研究となります。同研究が特
定したBAK1遺伝子領域との関連
は、頭蓋内胚細胞腫瘍の発症メ
カニズムの解明への足がかりと
なることが期待されます。

 さらに、「同研究が実証した
頭蓋内胚細胞腫瘍と精巣胚細胞
腫瘍の遺伝的リスクの類似性は、
頭蓋内胚細胞腫瘍のみに留まら
ない胚細胞腫瘍全般における発
症メカニズムや病態の理解に資
することが期待される」と研究
グループは述べています。

 胚細胞腫瘍について解説して

いる動画です。

 

 

 

 



 理解が得られず離開した。笑















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2】 有効成分を実際の薬に加工し生産請け負うCDMO















 医療用医薬品の製造を変革す
る動きが広がってきました。製
薬会社が生み出した有効成分を
実際の薬に加工し、生産を請け
負う「CDMO」です。単なる製造
受託ではありません。製薬会社
にとっては高度な生産技術が必
要な薬を患者さんに届けるパー
トナーです。富士フイルムホー
ルディングス(HD)や帝人、味
の素などが医薬品生産の「主役」
になろうとする水平分業の現場
を追った連載企画「CDMO医薬変
革」のまとめです。

 富士フイルムHDはフィルムな
ど複雑な工程が必要な製品を手
掛け、生産現場を革新してきま
した。ヘルスケア関連でも、抗
体の生産効率を一般的な手法と
比べて3倍以上にする技術を持
っています。これらの蓄積をCD
MOにも生かす構えです。医薬品
も「ものづくり」の技術を競う
段階に入ってきました。

 再生医療の分野で参入を目指
すのは帝人です。富士フイルム
から2021年にTOB (株式公開買
い付け)で取得した再生医療を
手がけるジャパン・ティッシュ・
エンジニアリング(J-TEC) の
ノウハウを活用し、CDMO事業を
始めることを表明しています。
30年度の段階で、帝人グループ
全体のCDMO事業で約70億円の売
上高を目指します。

 味の素は食品関連で培った技
術を生かします。生産手法に特
徴があります。溶媒に溶けやす
い「アンカー」に核酸をつなげ
る「液相合成」の手法を採用し
ており、核酸が伸びても溶液が
均一に保たれるため、合成効率
が高いことが特徴といわれます。
31年3月期にはCDMO事業の売上
高を1000億円以上に成長させる
計画です。

 CDMOサービスについて解説

している動画です。日本語字幕

付き。

 

 

 

 



 核酸医薬品の利点を拡散する。













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編集後記



 国立成育医療研究センターが
8月25日、国内の多施設共同研
究により、小児に好発する脳腫
瘍である頭蓋内胚細胞腫瘍に関
するゲノムワイド関連解析(GW
AS)を世界で初めて実施し、BA
K1遺伝子領域における遺伝子多
型が疾患リスクに関わることを
明らかにしたと発表したのは、
素晴らしい業績です。今回の研
究は頭蓋内胚細胞腫瘍について、
遺伝子多型がどのように発症リ
スクに寄与するのか網羅的に解
析を行った初めての研究であり、
同研究が特定したBAK1遺伝子領
域との関連は、頭蓋内胚細胞腫
瘍の発症メカニズムの解明への
足がかりとなることを期待した
いと思います。
 製薬会社が生み出した有効成
分を実際の薬に加工し、生産を
請け負う「CDMO」は、単なる製
造受託ではなく、製薬会社にと
っては高度な生産技術が必要な
薬を患者さんに届けるパートナ
ーということです。富士フイル
ムホールディングス(HD)や帝
人、味の素などが医薬品生産の
「主役」になろうとする水平分
業の現場であり、富士フィルム
は、目標の売上高が記されてい
ませんが、30年度の段階で、帝
人グループ全体のCDMO事業で約
70億円の売上高を目指すとか、
味の素は、31年3月期にはCDMO
事業の売上高を1000億円以上に
成長させる計画とか鼻息荒いこ
とだと思いました。

 次行で事業の説明を行う。笑














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