診療マル秘裏話  号外Vol.2690 令和5年3月17日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
1)ソトラシブ有効性と安全性第3相試験で検討する
2)妊娠喪失予測に使うcffDNA染色体異数性検査検討










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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 ソトラシブ有効性と安全性第3相試験で検討する












 治療歴のあるKRASG12C遺伝子
変異陽性非小細胞肺ガン(NSCL
C)患者さん345例を対象に、ソ
トラシブの有効性と安全性を無
作為化非盲検第3相試験で標準
治療と比較しました。プラチナ
製剤による化学療法とPD-1また
はPD-L1 阻害薬による治療後に
進行を認めた患者さんをソトラ
シブ群(1日1回960mg経口投与)
とドセタキセル群(3週に1回75
mg/m2静脈内投与) に割り付け
ました。主要評価項目は無増悪
生存とし、intention-to-treat
を対象に評価しました。

 追跡期間中央値17.7 カ月で、
ソトラシブの無増悪生存期間は
ドセタキセルよりも統計学的に
有意に長いという結果でした(
無増悪生存期間中央値5.6 カ月
vs. 4.5カ月、ハザード比0.66、
P=0.0017)。 ソトラシブはド
セタキセルと比較して、治療関
連有害事象のうちグレード3以
上の事象 (33% vs. 40%)お
よび重篤な事象 (11% vs. 23
%)が少ないという結果でした。
ソトラシブ群に多く見られたグ
レード3以上の治療関連有害事
象は下痢(12%)、アラニンア
ミトランスフェラーゼ増加(8%)、
アスパラギン酸アミノトランス
フェラーゼ増加(5%)で,ドセ
タキセル群では好中球減少症(
9%)、疲労(6%)、発熱性好
中球減少症(5%) が多いとい
う結果でした。

 ソトラシブについて解説して

いる動画です。

 

 

 

 



 次章で有害事象について述べ
る。           笑
             















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2】 妊娠喪失予測に使うcffDNA染色体異数性検査検討










 妊娠喪失予測のための胎児由
来細胞外遊離DNA(cffDNA) を
用いた染色体異数性検査の妥当
性を前向きコホート研究で検討
しました。Copenhagen Pregnan
cy Loss 試験の一環として組み
入れた、2020年11月12日から20
22年5月1日までに在胎期間22週
未満で妊娠喪失となった子宮内
妊娠女性1000例を対象としまし
た。

 2020年11月12日から2021年8
月14日までの300 例での妥当性
評価の結果、cffDNAに基づく胎
児の染色体異数性検査は、妊娠
組織の直接シーケンシングとの
比較で、異数性検出の感度が85
%(95%CI 79-90)、特異度が
93%(95%CI 88-96)でした。
全1000例によるcffDNAに基づく
染色体異数性検査の結果は、正
倍数性が446例(45%),異数性
が405例(41%),複数の異数性
が37例(4%)、不確定が112例
(11%)でした。

 胎児由来細胞を用いた出生時

診断について解説している動画

です。

 

 

 


 
 皮革製品の出来を比較した。
             笑












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編集後記

 治療歴のあるKRASG12C遺伝子
変異陽性非小細胞肺ガン(NSCL
C)患者さん345例を対象に、ソ
トラシブの有効性と安全性を無
作為化非盲検第3相試験で標準
治療と比較したのは、素晴らし
い業績です。プラチナ製剤によ
る化学療法とPD-1またはPD-L1
阻害薬による治療後に進行を認
めた患者さんをソトラシブ群(
1日1回960mg経口投与) とドセ
タキセル群 (3週に1回75mg/m2
静脈内投与)に割り付けたとい
うことで免疫チェックポイント
阻害剤の前治療は理解できるも
のの効く症例を選んで実施して
頂きたいということです。プラ
チナ製剤に関してはクロノテラ
ピーを実施して頂きたいもので
す。
 妊娠喪失予測のための胎児由
来細胞外遊離DNA(cffDNA) を
用いた染色体異数性検査の妥当
性を前向きコホート研究で検討
したのは、素晴らしい業績です。
流産した後、子宮内に亡くなっ
た胎児をそのままにしておくと
母体に悪影響があることが、分
かっています。そのために流産
した後は、速やかに亡くなった
胎児を引き出す必要があります。
しかし、流産していないのに胎
児を子宮外に引き出すことは、
犯罪となります。それ故に妊娠
喪失予測が絶対に必要となりま
す。妊娠喪失予測のための胎児
由来細胞外遊離DNA(cffDNA)
を用いた染色体異数性検査を母
体の検査で実施可能なのは、非
常に有用と言えるでしょう。

 四足の動物を予測する。 笑
             














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