診療マル秘裏話  Vol.770 平成30年9月12日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)再生不良性貧血iPS 細胞から血小板を作り輸血
2)特定増殖因子を標的とした治療が胃がんに有効















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 再生不良性貧血iPS 細胞から血小板を作り輸血











 京都大は8月20日、血液難病
患者さんのiPS 細胞(人工多能
性幹細胞)から止血作用のある
血液成分「血小板」を作り、患
者さん自身に輸血する臨床研究
の計画を発表しました。 対象
患者さんは1人で、厚生労働省
の承認を得た上で、輸血開始後
1年間、安全性と効果を調べま
す。

 臨床研究は京都大iPS細胞
研究所の江藤浩之教授らのチー
ムが計画し、5月に学内の審査
委員会で承認されました。7月
に厚労省に計画を申請しており、
今月(8月)29日に審査が始ま
る予定です。

 対象となるのは、血小板など
の血液成分がうまく作れず出血
しやすくなる難病「再生不良性
貧血」の患者さんです。献血等
で得られた血小板を輸血する治
療法はありますが、今回の患者
さんは、他人の血小板では拒絶
反応が起きるため難しかった様
です。

 臨床研究では、この患者さん
自身の血液からiPS細胞を作
り、血小板のもととなる「巨核
球」という細胞に、変化させて
凍結保存します。これを解凍す
るなどして血小板製剤を作り、
3回にわけて輸血します。患者
さん自身の血液から血小板を作
るには3~4年かかり、費用は
約5000万円を見込んでいま
す。

 江藤教授は「今回の臨床研究
で得られたデータは、実用化に
向けた研究にも役立つ」と話し
ました。

このニュースのニュース動画で

す。

 

 

 

 



 神聖なる計画を申請する。笑















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2】 特定増殖因子を標的とした治療が胃がんに有効














 慶応義塾大学は8月17日、36
例のヒト由来胃がん細胞の効率
的な体外培養・増殖に成功し、
「Wnt 」と呼ばれる増殖因子に
よって多くの胃がんの細胞増殖
がコントロールされる事を発見、
さらに動物実験モデルを用い、
Wnt を標的とした治療法が胃が
んに有効であることを確認した
と発表しました。 この研究は、
同大医学部 内科学(消化器)
教室の佐藤俊朗准教授らの研究
グループによるものです。研究
成果は米科学誌「Cell」に掲載
されています。


多くのがんは遺伝子変異が原因
である細胞増殖異常によって、
致死的な病となる事が分かって
います。しかし、胃がんの細胞
増殖異常につながる遺伝子異常
については、十分に解明されて
いませんでした。


今回研究グループは新しい培養
技術によって、36人の患者さん
の胃がん細胞を体外で培養し、
胃がんの細胞増殖異常につなが
る遺伝子異常の調査を実施しま
した。胃の正常細胞は「Wnt 」
と「R-spondin 」と呼ばれる2
つの増殖因子が協調して、細胞
増殖を制御していますが、多く
の胃がんはR-spondin がなくて
も増殖できる能力を獲得してい
ることを発見しました。

さらに、研究グループは、こう
した胃がんに、特徴的な遺伝子
変異を特定し、それらの遺伝子
変異がヒトの正常胃細胞の増殖
異常につながることを実証しま
した。 多くの胃がんは、その
増殖にR-spondin が不要となっ
ても、Wnt は必要であることを
見出しました。これらの結果を
もとに、ヒト由来の胃がん細胞
を移植したマウスモデルを用い、
Wntを抑制する標的治療薬(Wnt
-C59)が胃がんの増殖を著明に
抑えることを示しました。

Wnt-C59のようなWntを標的とし
た治療薬は、すでに多くのがん
への臨床応用段階にあり、この
研究成果が胃がん治療の新しい
突破口となることが期待される、
と研究グループは述べています。

胃がんによる死亡について解説

している動画です。

 

 

 

 



 以上のような増殖異常につな
がる。笑














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編集後記




 献血等で得られた、血小板を
輸血する治療法はあるのに、今
回の患者さんは、他人の血小板
では拒絶反応が起きるため難し
いというのは、なぜでしょう。
答えは簡単、頻回に他人の血小
板を輸血し続けたために、他人
の血小板に対する抗体ができて
しまい、その抗体が輸血した血
小板について、脾臓でトラップ
され、壊されてしまうからです。
自分の巨核球から得られる、血
小板でなければ、抗体が認識し
てしまうので、輸血の効果が上
がらないということなのです。
ただ、気になるのは、コストの
ことです。患者さん自身の血液
から血小板を作るには3~4年
かかり、費用は約5000万円
を見込んでいるというのは治療
として割りに合わない気がして
なりません。
 ヒト由来胃がん細胞の効率
的な体外培養・増殖に成功し、
「Wnt 」と呼ばれる増殖因子に
よって多くの胃がんの細胞増殖
がコントロールされる事を発見、
さらに動物実験モデルを用い、
Wnt を標的とした治療法が胃が
んに有効であることを確認した
と発表したのは偉大な業績です。
権威ある、米科学誌「Cell」に
掲載されたということも本当に
すごいことです。ヒト由来の胃
がん細胞を移植したマウスモデ
ルを用い、Wnt を抑制する標的
治療薬(Wnt-C59 )が胃がんの
増殖を著明に抑えることを示し
たというのも本当に素晴らしい
の一言しか出てきません。Wnt-
C59のようなWntを標的とした治
療薬は、すでに多くのがんへの
臨床応用段階にあり、この研究
成果が胃がん治療の新しい突破
口となることを切に期待したい
と思います。

 機体の性質に期待する。笑














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