診療マル秘裏話  Vol.834 令和1年12月4日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)胆管がんにおいてARID1Aの欠失が悪性度に関連
2)脳脊髄液で2種類の蛋白質を測定ALSと診断可能














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】胆管がんにおいてARID1Aの欠失が悪性度に関連












 東京医科歯科大学は11月6日、
胆管がんにおいてARID1Aの欠失
が、幹細胞遺伝子のALDH1A1 の
発現を亢進し、胆管がんの悪性
度に関連していることを世界で
初めて明らかにしたと発表しま
した。この研究は、同大大学院
医歯学総合研究科分子腫瘍医学
分野の田中真二教授、秋山好光
講師、島田周助教、吉野潤大学
院生の研究グループが、同ウイ
ルス制御学の山岡昇司教授、同
肝胆膵外科学分野の田邉稔教授
との共同研究で行ったものです。
研究成果は、国際科学誌Carcin
ogenesis(カルシノジェネシス)
オンライン版に掲載されていま
す。 胆道がんは世界的に増加
傾向で、特に日本を含むアジア
で発症頻度が高い悪性腫瘍です。
発生部位により肝内胆管がん、
肝外胆管がん、胆嚢がんに分け
られ、それぞれ異なった遺伝学
的背景や臨床経過を呈します。
肝内胆管がんは胆道がんの約10
%を占め、その悪性度は高く、
切除後5年生存率は25~35%で
す。現在、胆道がんに対して有
効な薬剤は少なく、新たな治療
薬の開発が待ち望まれています。
胆道がんの大規模遺伝子解析の
結果、エピジェネティック制御
遺伝子の異常が高頻度に認めら
れており、特にARID1A変異の割
合は約11%を占め、TP53、KRAS
に続いて3 番目に頻度が高いこ
とが報告されています。しかし
ながら、胆道がんにおけるARID
1A欠失による分子機構はよくわ
かっていませんでした。今回研
究グループは、胆道がんにおけ
るARID1Aの発現異常と臨床病理
学的諸性状との関連を調べ、AR
ID1A発現低下は肝内胆管癌患者
の予後に関与していることを明
らかにしました。胆道がんの臨
床症例を用いた解析から、ARID
1A発現の陰性症例が胆道がん12
0例中21例(17.5%)で認められ、
その内訳は肝内胆管がんが15/6
9例(21.7%)、肝外胆管がんが
4/34例(11.8%)、胆嚢がんは2
/17例(11.8%)であり、ARID1A
発現欠失は肝内胆管がんで最も
多くみられました。ARID1A発現
と臨床病理学的諸性状との関連
を検討した結果、予後因子のみ
に有意差が認められ、ARID1A陰
性胆管癌群は陽性群に比べて予
後が不良でした(P=0.005)。

胆管がんにおけるARID1A欠失の
生物学的意義を調査するため、
ゲノム編集法を用いてARID1Aノ
ックアウト胆管がん細胞株を作
成しました。ARID1Aノックアウ
ト株の遊走能、浸潤能とスフェ
ア形成能はARID1A野生型細胞に
比べて有意に高く、ARID1A欠失
は胆管がんの悪性度亢進に関与
することが明らかになりました。
さらに網羅的遺伝子発現および
シグナル経路解析により、ARID
1Aノックアウト細胞では幹細胞
性や浸潤亢進に関わる複数の遺
伝子群が同定され、その中でも
幹細胞遺伝子であるALDH1A1 の
発現亢進が最も大きな変化でし
た。ARID1Aノックアウト細胞で
は、ALDH1A1遺伝子のプロモー
ター領域のヒストンH3の27番目
リジン(K27 )のアセチル化(
H3K27ac )レベルが野生型細胞
に比べて強く、ALDH1A1 の発現
亢進にはヒストンアセチル化の
増強が関与することが分かりま
した。一方、ARID1A存在下では、
ARID1Aはヒストン脱アセチル化
酵素HDAC1 と結合して複合体を
作りました。さらにARID1A・HD
AC1 複合体によるヒストン脱ア
セチル化の促進により、ALDH1A
1遺伝子のプロモーター領域のH
3K27acレベルが減少することが
示唆されました。臨床検体を用
いた解析でも同様にALDH1A1 と
ARID1Aとの発現は逆の関係であ
り(P=0.018),ARID1A陰性かつ
ALDH1A1 陽性群はそれ以外の症
例群に比べて有意に予後不良で
した。(P=0.002)。

今回の研究では、肝内胆管がん
においてARID1Aの発現低下が悪
性化に関与していることを見出
しました。そして、ARID1AはHD
AC1 と結合してヒストン脱アセ
チル化を促進させ、ALDH1A1 発
現を抑制していることが明らか
になりました。ARID1Aが欠失し
た胆管がんではヒストンアセチ
ル化レベルが高く、ALDH1A1 の
発現亢進によって幹細胞性が増
強するという機序が示唆されま
した。研究グループは、「今後、
ARID1Aによるヒストン修飾異常
を標的とした新規治療法の開発
が期待される」と述べています。

胆のうがん・胆管がんについて

解説している動画です。

 

 

 

 



 がん細胞の悪性度亢進のため、
後進に道を譲った。    笑













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2】 脳脊髄液で2種類の蛋白質を測定ALSと診断可能













 京都府立医科大の研究チーム
は11月11日、神経細胞が死に、
全身の筋力が弱っていく難病の
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
患者さんの脳脊髄液から2種類
の蛋白質を測定することに成功
し、正確で迅速にALSと診断
できたと発表しました。
 ALSは、経験ある専門医で
ないと診断が難しく、確定に時
間がかかります。これまでにT
DP―43やNfLといった蛋
白質の濃度で診断できると指摘
されていましたが、測定が難し
いとされていました。
 研究チームは、微量の蛋白質
を測定できる技術を活用しまし
た。ALS患者とALSに似た
障害の患者など2集団計150
人で、髄液中のTDP―43と
NfLの濃度を測定し、比較し
ました。 

このニュースのニュース動画で

す。

 

 

 



 皮革製品の値段を比較した。














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編集後記



 東京医科歯科大学が11月6日、
胆管がんにおいてARID1Aの欠失
が、幹細胞遺伝子のALDH1A1 の
発現を亢進し、胆管がんの悪性
度に関連していることを世界で
初めて明らかにしたと発表した
のは、偉大な業績です。胆管が
んは、発見が遅れることが多く
予後不良な病気と考えられてい
ましたが、予後不良である要因
として、発見が遅れたことだけ
ではなく、悪性度の亢進が関与
していることが明らかになりま
した。悪性度の亢進を防ぐとい
う切り口で予後不良を改善する
必要があるようです。当然早期
発見、早期治療は言うまでもあ
りません。
 京都府立医科大の研究チーム
は11月11日、神経細胞が死に、
全身の筋力が弱っていく難病の
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
患者さんの脳脊髄液から2種類
の蛋白質を測定することに成功
し、正確で迅速にALSと診断
できたと発表したのは、素晴ら
しい業績です。ALSは、経験
ある専門医でないと診断が難し
く、確定に時間がかかります。
これまでにTDP―43やNf
Lといった蛋白質の濃度で診断
できると指摘されていましたが、
測定が難しいとされていたので
今回の成果は非常に有用だと思
います。ただ腰椎穿刺をしなけ
ればなりませんが、侵襲の強い
検査であることだけは指摘させ
て頂きたいと思います。

 聖歌を歌って成果をだす。笑














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