診療マル秘裏話  Vol.835 令和1年12月11日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)関節炎で不必要に骨破壊する悪玉破骨細胞発見
2)尿酸降下薬が腎障害の進行を抑えることを解明














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】関節炎で不必要に骨破壊する悪玉破骨細胞発見












 関節炎で骨を不必要に破壊す
る「悪玉破骨細胞」を発見した
と、大阪大の石井優教授(免疫
学)らの研究チームが発表しま
した。関節リウマチの新しい治
療法の開発につながる可能性が
あるということです。論文が11
月19日、英科学誌「ネイチャー・
イミュノロジー」に掲載されま
した。骨を破壊する「破骨細胞」
には、傷付いた古い骨を壊して
健康に保つ役割があります。こ
れまでは、破骨細胞は1種類し
かなく、異常に活発になると骨
を壊し過ぎて、関節炎などが起
きると考えられてきました。

 研究チームが関節炎のマウス
の細胞を詳しく調べたところ、
破骨細胞には「善玉」と、体の
どこかの炎症から生じる「悪玉」
の2種類があり、悪玉の破骨細
胞が不必要に骨を破壊している
ことが判明しました。

 悪玉の破骨細胞ができるのに
必要な蛋白質の働きを薬で抑え
ると、関節炎の症状が改善しま
した。人間の関節リウマチ患者
さんの細胞を使った実験でも同
様の結果が得られたということ
です。

 溝口史高・東京医科歯科大医
学部内講師( 膠原病-リウマチ
内科学)の話「さらに研究が進
んで、人間に対する効果が詳し
く確認できれば、創薬につなが
る可能性がある」

破骨細胞の一生について解説し

ている動画です。

 

 

 



 破戒僧が、寺を破壊した。笑














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2】 尿酸降下薬が腎障害の進行を抑えることを解明













 慶應義塾大学は11月15日、マ
ウスを用いた実験により尿酸降
下薬として用いられるフェブキ
ソスタット(商品名フェブリク)
が、腎尿細管細胞のATP 再合成
を促進することで、腎障害の進
行を抑えることを明らかにした
と発表しました。 この研究は、
同大医学部内科学(腎・内・代)
教室の藤井健太郎研究員、伊藤
裕教授、内分泌時空医学寄附講
座の宮下和季特任准教授、同医
化学教室の久保亜紀子助教らの
共同研究グループによるもので
す。研究成果は、「JCI Insigh
t 」に公開されています。腎臓
は細胞のエネルギー源であるAT
P を用いて、体に必要な電解質
や水分を尿から再吸収し、体内
環境を一定に保つ役割を果たし
ます。糖尿病や腎炎により、腎
不全が進行して腎臓の働きが低
下すると、生涯にわたる透析療
法が必要となります。近年、世
界中で透析患者の増加が続くこ
とから、腎不全の進行を抑える
新しい治療法の開発が、内科学
における喫緊の課題とされてい
ます。現在、一過性の腎血流低
下による急性腎不全(AKI )を
反復すると、腎臓の働きが永続
的に低下する慢性腎臓病(CKD )
へと移行することが注目されて
いますが、腎不全進展のメカニ
ズムは不明な点が多く、CKD の
原因に則した治療法の開発は進
んでいません。今回研究グルー
プは、腎動脈クリッピングで一
過性に腎血流を遮断したマウス
の急性虚血腎において、ATP な
どアデニル酸代謝産物の臓器内
分布を時間軸に沿って解析しま
した。その結果、腎皮質のATP
は10分間の短い虚血で80%減少
して腎機能が低下し、さらに血
流再開24時間後もATP の減少が
継続され、元のレベルには回復
しませんでした。血流不足に伴
うATP 低下の遷延が腎障害を引
き起こすということは、代謝変
容が腎不全進展のメカニズムで
あり、また、細胞代謝を制御す
ることが、腎不全の新たな治療
戦略となる可能性を示唆してい
ます。

ATP などのアデニル酸は肝臓や
腎臓で分解され、尿酸に変換さ
れて尿中に排泄されます。尿酸
値の上昇は痛風発作や慢性腎臓
病(CKD )の増悪をひきおこす
ことから、血清尿酸値8mg/dl以
上では、尿酸降下薬の服用が推
奨されています。フェブキソス
タットは、アデニル酸から尿酸
に分解する経路のキサンチンオ
キシダーゼを阻害する薬剤で、
尿酸産生を抑える尿酸降下薬と
して市販されています。そこで
研究グループは、血流不足によ
るATP 低下がフェブキソスタッ
トで緩和される可能性を着想し、
腎動脈クリッピングで10分間腎
臓の血流を遮断したマウスに、
フェブキソスタットを投与して、
腎機能に与える効果を検討しま
した。

血流再開後にフェブキソスタッ
トを持続投与すると、ATP から
尿酸への分解過程に存在するヒ
ポキサンチンの増加が、質量分
析イメージングを用いた解析で
観察されました。また、腎皮質
のATP が増加しており、ヒポキ
サンチンからのアデニル酸(A
TP、ADP、AMP)再合成の作用と
考えられました。さらに、腎尿
細管細胞を用いた検討において、
アデニル酸再合成酵素のHRPT1
を阻害すると、フェブキソスタ
ットによるATP 回復の促進作用
が消失しました。これらの結果
から、フェブキソスタットは、
ヒポキサンチンの分解を抑え、
ヒポキサンチンからATP を再合
成するサルベージ経路を活性化
することで、腎血流不足に伴う
ATP レベルの低下を緩和し、腎
保護効果を発揮することが明ら
かになりました。研究グループ
は、「マウスで示された、フェ
ブキソスタットによるアデニル
酸再合成による腎保護効果が、
ヒトにおいても有効であるかど
うか、今後検証されることが期
待される」と、述べています。

高尿酸血症の治療薬について、

解説している動画です。

 

 

 

 



 健勝であることを検証する。















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編集後記



 関節炎で骨を不必要に破壊す
る「悪玉破骨細胞」を発見した
と、大阪大の石井優教授(免疫
学)らの研究チームが発表した
のは、偉大な業績です。ただし、
悪玉破骨細胞と善玉破骨細胞の
区別の仕方であるとか悪玉破骨
細胞から善玉破骨細胞への転換
は行われるのであるかとかにつ
いて、知りたいと思いました。
悪玉の破骨細胞が不必要に骨を
破壊しているその機序について
も解明して頂きたいと、不謹慎
にも考えた次第です。
 慶應義塾大学が11月15日、マ
ウスを用いた実験により尿酸降
下薬として用いられるフェブキ
ソスタット(商品名フェブリク)
が、腎尿細管細胞のATP 再合成
を促進することで、腎障害の進
行を抑えることを明らかにした
と発表したのは素晴らしい業績
です。ただ、フェブキソスタッ
ト(商品名フェブリク)は米国
のFDA から心血管イベントが、
アロプリノール錠に較べて多い
などの難癖をつけられたことが
あります。それと腎機能保護の
作用とは、正反対の意見という
ことができましょう。本当は、
どちらが正しいか今後の研究
に期待したいと思います。

 腎機能保護の作用を、反故に
する。          笑

















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