診療マル秘裏話  Vol.868 令和2年7月29日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)AGEsの摂取量と、乳ガン発症リスクに関連あり
2)卵巣ガン細胞でチロシンキナーゼ受容体型蛋白質が関与















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 )AGEsの摂取量と、乳ガン発症リスクに関連あり













 米サウスカロライナ医科大学
は6月10日、米国の大規模ガン
スクリーニング研究により、終
末糖化産物(Advanced Glycati
on End Products、以下AGEs )
の摂取量と、乳ガン発症リスク
に関連があるという新たな知見
を発表しました。これは、同大
HollingsガンセンターのDavid
P. Turner医学博士、Susan Ste
ck医学博士らの研究グループに
よるものです。研究成果は、「
Cancer Prevention Research」
に掲載されています。AGEsは、
蛋白質と脂質が糖に暴露された
とき、「糖化」と呼ばれる化学
変化を経て作られる物質です。
体内でも自然に産生されていま
すが、加工食品や高温調理され
た食品に非常に多く含まれてお
り、これらの摂取により体内で
過剰になる危険性があります。
AGEsの存在は少なくとも100 年
前から知られており、David 博
士によると「ほぼすべての慢性
疾患に関連がある」という。し
かし、ガンにおけるAGEsとの関
連研究はようやく進み始めたと
ころで、どのように機能してい
るかなどは不明です。

今回、研究グループは、食事中
のAGEs摂取量と乳がんリスクと
の関連を調査しました。この調
査は、前立腺ガン、肺ガン、結
腸直腸ガン、卵巣ガンのスクリ
ーニングを目的に10年以上かけ
て行われた米国の観察研究「PL
CO研究」の一環として行われま
した。対象者は、研究開始時に
ガンを発症していなかった55〜
74歳の7万8,000人以上の女性で
す。調査開始時と開始から5年
後に、食事摂取頻度調査票によ
るアンケートを実施し、食品中
の「NƐカルボキシメチルリジン
-AGEs(CML-AGEs)」の含有量
を定量化して解析を行いました。
研究グループは、Cox 比例ハザ
ードモデルを用いて、女性全員
に対して乳がんのハザード比(
HR)、95%信頼区間(95% CI)
を推定し、人種/民族、疾患の
侵襲性、およびホルモン受容体
の状態によって層別化しました。
追跡期間の中央値である11.5年
後、1,592 人の女性が乳ガンと
診断されていました。人種/民
族で分類した解析では、女性全
体(HR:1.30、95%CI:1.04-1
.62 )と非ヒスパニック系白人
女性(HR:1.21、95%CI:1.02-
1.44)でCML-AGEsの摂取量が多
いと乳ガンのリスクが高くなる
ことが分かりました。また、CM
L-AGEs摂取量の増加は、非浸潤
(HR:1.49、95%CI:1.11-2.0
1 )および、ホルモン受容体陽
性(HR:1.24、95%CI:1.01-1
.53 )乳ガンのリスク増加と関
連していました。

「今回の研究から、体内でのAG
Esレベルはガン発症リスクと関
連することが明らかとなった。
一般の人々に向けてAGEsと疾患
の関わりについて啓発し、より
良い食生活を心がけてもらいた
い」と、研究グループは述べて
います。

糖化反応を防ぐ7つの方法につい

て解説している動画です。ただ

牛丼を食べるのは、お勧めしま

せん。牛丼のたれには、砂糖が

一杯入っているからです。

 

 

 

 



 層別化したことで送別会をす
る羽目になった。     笑













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2】 卵巣ガン細胞でチロシンキナーゼ受容体型蛋白質が関与












 東北大学は7月6日、卵巣ガン
細胞において、チロシンキナー
ゼ受容体型蛋白質「TIE-1 」が
細胞増殖に関与していることを
発見したと発表しました。これ
は同大大学院医学系研究科の産
婦人科分野の八重樫伸生教授と
摂南大学薬学部の北谷和之講師
らの研究グループによるもので
す。研究成果は「Cancers 」に
掲載されています。卵巣ガンは
婦人科の悪性腫瘍の中で最も治
療後の経過が悪い疾病で、その
罹患率および死亡率は年々増加
傾向にあります。卵巣ガンには、
DNA 複製を阻害する白金製剤と
細胞分裂を阻害するタキサン系
薬剤の併用による化学療法が有
効ですが、多くの症例で治療後
に耐性が生じてしまい、治療経
過が悪くなる原因となっていま
す。そのため、卵巣ガンにおけ
る新規治療標的の探索や抗ガン
剤耐性を伴う難治性ガンに対す
る治療法の開発は、婦人科腫瘍
の治療において喫緊の課題です。

近年、白血病細胞あるいは乳ガ
ン、メラノーマなど種々のガン
組織において、血管の新生およ
び血管の安定性に関与する因子
TIE-1 が過剰に発現し、腫瘍に
おける血管の形成に関与してい
ることが報告されました。これ
により、TIE-1 は悪性腫瘍の進
行や治療後の経過の予測因子と
なる可能性が認識されてきまし
た。八重樫教授らのグループは、
以前に、TIE-1 が卵巣がん細胞
においてDNA 修復機構を活性化
することで抗ガン剤耐性を獲得
させることを明らかにし、TIE-
1 の機能を阻害することでガン
細胞の増殖が抑えられることを
報告しています。研究において、
卵巣ガン細胞でTIE-1 の量を人
為的に抑えると、細胞の増殖や
生存に関与する一連の因子(PI
3K/Aktシグナル伝達経路分子)
の量が顕著に減少。さらに、11
種類の卵巣がん細胞株において
TIE-1 の量を抑えた結果、PI3K
の発現量が高い細胞株では細胞
増殖が減少し、PI3Kの発現量が
低い細胞株では細胞の増殖は減
少しないことが確認されました。
以上よりTIE-1 はPI3Kを介して
細胞増殖を制御しており、TIE-
1 の阻害による細胞増殖の抑制
効果は、PI3K高発現の卵巣ガン
に対してのみ効果的であること
が明らかになりました。また、
PI3K発現が低い細胞株において、
TIE-1 の発現量を人為的に高く
するとPI3K発現も高くなり、細
胞の増殖も促進されました。よ
って、TIE-1 はPI3K/Aktシグナ
ル伝達経路を介して、卵巣ガン
細胞の増殖を制御していると考
えられます。

今回の研究から、TIE-1 がPI3K
発現の高い卵巣ガンに対する新
たな治療標的となる可能性が見
出されました。「将来的にはTI
E-1 阻害剤を開発し、卵巣ガン
の特徴に合わせた治療を提供す
ることで、難治性卵巣ガンの治
療効果の改善に大きく貢献でき
ることが期待される」と、研究
グループは述べています。

卵巣ガンについて解説している

講演動画です。

 

 

 



 毛色の変わった経路をたどっ
て、終着駅に着く。    笑













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編集後記



 米サウスカロライナ医科大学
が6月10日、米国の大規模ガン
スクリーニング研究により、終
末糖化産物(Advanced Glycati
on End Products、以下AGEs )
の摂取量と、乳ガン発症リスク
に関連があるという新たな知見
を発表したのは喜ばしいことで
す。AGEsは、高温調理すること
で生まれやすく、蛋白質が糖化
することで、メイラード反応を
経ることで生じます。ですから、
家庭での料理は、煮る、蒸す、
生で食べるの低温調理が望まし
いと考えられます。
 東北大学が7月6日、卵巣ガン
細胞において、チロシンキナー
ゼ受容体型蛋白質「TIE-1 」が
細胞増殖に関与していることを
発見したと発表したのは素晴ら
しい業績です。卵巣ガンは婦人
科の悪性腫瘍の中で最も治療後
の経過が悪い疾病で、その罹患
率および死亡率は年々増加傾向
にあるということですが、チロ
シンキナーゼ受容体型蛋白質が
細胞増殖に関与していて、ガン
治療においては、この蛋白質が
ターゲットになり得るというこ
とですので、将来的にはTIE-1
阻害剤を開発し、卵巣ガンの特
徴に合わせた治療を提供するこ
とで、難治性卵巣ガンの治療効
果の改善に大きく貢献すること
を期待したいと思います。

 主要な悪性腫瘍を疑う。笑















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