診療マル秘裏話  Vol.892 令和3年1月13日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)PGE2が抗体治療効果減弱の新耐性獲得機構解明
2)ループス腎炎治療薬 ボクロスポリンのライセンス契約を締結













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 PGE2が抗体治療効果減弱の新耐性獲得機構解明












 北海道大学は12月22日、免疫
チェックポイント阻害薬抗PD-L
1 抗体の処置により誘導される
プロスタグランジンE2(PGE2)
が、抗体治療効果を減弱させる
という新たな耐性獲得機構を解
明したと発表しました。この研
究は、同大大学院獣医学研究院、
同人獣共通感染症リサーチセン
ター、東北大学未来科学技術共
同研究センター/医学系研究科
抗体創薬研究分野の研究グルー
プによるものです。研究成果は、
「ImmunoHorizons」に掲載され
ています。

 ヒトのガン医療において、免
疫チェックポイント阻害薬を始
めとした免疫療法が、外科的療
法、化学療法、放射線療法に加
えて第4の治療戦略として注目
されています。抗PD-1抗体や抗
PD-L1 抗体等の免疫チェックポ
イント阻害薬は一部の患者さん
に対して劇的な奏効を示す一方
で、その奏効率は20~30%と報
告されており、治療効果を減弱
させてしまう耐性獲得機構の解
明や治療効果を高める他の薬剤
との併用療法の開発が強く求め
られています。獣医学領域では、
同研究グループがウシやイヌに
対する免疫チェックポイント阻
害薬を開発し、牛伝染性リンパ
腫 (旧名:牛白血病) やイヌ
の口腔内悪性黒色腫に対する治
療効果を報告してきました。ま
た、ウシの研究においては抗PD
-L1 抗体とPGE2の産生を抑制す
るCOX-2 阻害剤の併用が、その
治療効果を増強させることも報
告しました。一方で、併用療法
により治療効果が増強されたメ
カニズムに関しては不明でした。

 研究グループは今回、まず、
ウシの血液を材料に、免疫学的
な実験手法により抗PD-L1 抗体
投与後のPGE2動態、抗PD-L1 抗
体によるPGE2誘導機序、受容体
EP4 を介したPGE2の免疫抑制効
果を解析しました。また、ウシ
血液及びマウス脾臓の免疫細胞
を材料に、抗PD-L1抗体とEP4阻
害剤の免疫活性化効果を評価し
ました。さらに、リンパ腫モデ
ルマウスに抗PD-L1抗体とEP4阻
害剤を投与して、抗腫瘍効果の
検討を行いました。

 その結果、抗PD-L1 抗体を単
独で投与した牛伝染性リンパ腫
ウイルス(BLV)感染牛では,投
与後に血中のPGE2濃度が上昇す
ることを確認しました。試験管
内での解析により、抗PD-L1 抗
体により免疫応答が活性化して
炎症性サイトカインの1つであ
るTNF-αの産生が亢進し、この
TNF-αを介してPGE2の産生が誘
導されることを明らかにしまし
た。また、PGE2は受容体EP4 を
介してT細胞の活性化やサイト
カイン(IL-2、IFN-γ)の産生
を阻害することも確認しました。

 一方で、抗PD-L1抗体とEP4阻
害剤を併用すると免疫応答をよ
り強く活性化できることが判明
しました。この知見はマウスの
免疫細胞を用いた実験でも観察
されたことから、リンパ腫モデ
ルマウスを用いた抗腫瘍効果の
評価を実施しました。両薬剤を
併用すると、腫瘍体積が減少し
マウスの生存が延長する効果が
確認されました。

 今回の研究で、抗PD-L1 抗体
は免疫賦活効果を発揮する一方、
別の免疫抑制物質PGE2を誘導し
免疫療法の効果を減弱させてい
ること、並びにPGE2の作用を抑
制するEP4 阻害剤との併用が免
疫療法の効果を増強させること
が示されました。同研究で得ら
れた知見は、獣医学領域のみな
らずヒトの研究にも応用できる
可能性があります。研究グルー
プは今後、今回の研究成果を広
く活用し、獣医療並びにヒト医
療の向上を目指した応用研究を
展開していく予定だとしていま
す。

免疫チェックポイント阻害剤に

ついて解説している動画です。

 

 

 

 



 荒城の月の演奏技術が向上し
た。           笑















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2】 ループス腎炎治療薬 ボクロスポリンのライセンス契約を締結













 大塚製薬は、カナダのバイオ
製薬オーリニア・ファーマシュ
ーティカルズ(ビクトリア)か
らループス腎炎治療薬「ボクロ
スポリン」(一般名)の日本と
欧州における独占的開発販売権
を取得するライセンス契約を締
結したと発表しました。契約一
時金5000万ドル(約52億円)に
加え、開発目標と売上高目標の
達成に応じたマイルストーンを
支払います。日欧での承認申請
と販売は大塚製薬が独占的に実
施し、加社は売上高に応じた段
階的ロイヤルティーを受け取り
ます。

 同剤は自己免疫疾患である全
身性エリテマトーデス(SLE)
の最も深刻な合併症の一つとさ
れるループス腎炎を対象に開発
された新規の経口免疫抑制剤で
す。国際共同第3相臨床試験の
結果に基づき、オーリニア社は
今年5月に米国で承認申請を実
施しています。

 欧州では大塚製薬が2021年第
2四半期に承認申請を行う予定
です。日本については医薬品医
療機器総合機構(PMDA)と今後
の方向性を協議していく予定で
す。

全身性エリトマトーデスについ

て解説している動画です。

 

 

 

 



 税務申告漏れが深刻な事態を
産んだ。         笑















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編集後記




 北海道大学が12月22日、免疫
チェックポイント阻害薬抗PD-L
1 抗体の処置により誘導される
プロスタグランジンE2(PGE2)
が、抗体治療効果を減弱させる
という新たな耐性獲得機構を解
明したと発表したのは、素晴ら
しい業績です。抗PD-L1抗体とE
P4阻害剤を併用すると免疫応答
をより強く活性化できることが
判明し、マウスの免疫細胞を用
いた実験でも観察されたことか
ら、リンパ腫モデルマウスを用
いた抗腫瘍効果の評価を実施し、
両薬剤を併用すると、腫瘍体積
が減少しマウスの生存が延長す
る効果が確認されたということ
ですので人での臨床試験を早期
に実施し、早く臨床で使える様
にして頂きたいものです。
 大塚製薬が、カナダのバイオ
製薬オーリニア・ファーマシュ
ーティカルズ(ビクトリア)か
らループス腎炎治療薬「ボクロ
スポリン」(一般名)の日本と
欧州における独占的開発販売権
を取得するライセンス契約を締
結したと発表したのは、凄いこ
とだと思います。しかしながら、
免疫抑制剤は、免疫の力自体を
抑制してしまうので、感染症の
対策が必須となり、副作用とし
て、感染症を考えなければいけ
ない点で、トレハロース内服に
よる制御性T細胞を増やす治療
に及ばないと考えています。最
近、気管支拡張症の人に、免疫
抑制剤が投与されている例があ
りました。感染に最も注意しな
ければいけない人の免疫を抑制
するというのは、どう考えても
理に叶っていないと思いました。

 中尉が下士官を注意した。笑














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