診療マル秘裏話  Vol.928 令和3年9月22日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)α線放出核種をガンの病巣に直接投与して治療
2)武漢熱デルタ株の新たな変異株を国内で初確認














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 α線放出核種をガンの病巣に直接投与して治療














 大阪大学は8月25日、アルフ
ァ線を放出する核種アスタチン
211( 211 At)をガンの病巣に
直接投与して治療を行う薬剤を
開発したと発表しました。この
研究は、同大大学院医学系研究
科放射線統合医学講座核医学の
加藤弘樹准教授、同理学研究科
天然物有機化学研究室および大
阪大学放射線科学基盤機構の共
同研究グループによるものです。
研究成果は、「Journal of Nan
obiotechnology」に掲載されて
います。

 ガンの治療のひとつとして、
ガンマ線あるいはX線の外照射
に加えて、前立腺ガン、乳ガン、
舌ガン、子宮ガン、頭頸部ガン、
そして最近海外では、脳腫瘍な
どに対して密封X線源を用いた
小線源治療が行われています。
X線あるいはガンマ線を体外か
ら照射する外照射治療は、病巣
より広い範囲に影響が及ぶため、
正常組織の被ばくによる副作用
が避けらません。一方、小線源
治療はRIが密封されていて拡散
しないため、正常組織への影響
は外照射や標的核医学治療に比
して少ないものの、X線の近接
臓器への漏洩による副作用は無
視できません。ベータ線、アル
ファ線核種は生体組織に与える
影響が高く、DNAの2本鎖を断裂
するため、特に増殖細胞に対し
て高い障害性があります。一方、
アルファ線は飛程が大変短いた
め、線源を適切に分布させれば、
正常組織の被ばくはほとんどあ
りません。この性質によって、
X線あるいはガンマ線照射によ
る前記副作用は大幅に低減され
ます。アルファ線放出核種で標
識した微小サイズのseedを局所
分散することによって、強力な
ガンの局所治療が可能になると
考えられます。

 今回、研究グループは、短い
半減期で高エネルギーのアルフ
ァ線を放出することができるア
スタチン211( 211 At)を、体
にほぼ無害な金ナノ粒子(AuNP)
に結合し、それを局所投与によ
って腫瘍内に限局的に拡散させ
る 211 At diffusible nanosee
d brachytherapy を開発しまし
た。その効果を検証しました。

 この治療法は、安定性、組織
親和性を高めるためにAuNP表面
をメトキシポリエチレングリコ
ール(mPEG)で修飾した 211 A
t標識金ナノ粒子( 211 At-AuN
P-S-mPEG)を、ガンの腫瘤に直
接注入し、ガン組織の増殖を抑
制する全く新しい治療法です。
培養したグリオーマ細胞に、Au
NP-S-mPEG を投与した所、ナノ
粒子が細胞内に取り込まれ内在
化することが分かりました。そ
こで、ラットの皮下に移植した
ガン(グリオーマ)の腫瘍内に、
211 At-AuNP-S-mPEG を超音波
ガイド下で投与した所、腫瘍内
には拡散するものの、腫瘍外の
正常臓器にはほとんど集積しな
いと判明しました。 211 At-Au
NP-S-mPEG を局所投与した腫瘍
は、生理食塩水を投与した腫瘍
と比べて増殖が非常に強く抑制
されることが確認されました。
また、 211 At-AuNP-S-mPEG を
投与した動物には体重変化があ
りませんでした。さらに、 211
At-AuNP-S-mPEG をマウスの皮
下に移植したヒトの膵ガンに局
所投与したところ、薬剤はグリ
オーマ同様、膵ガンの腫瘍のみ
に集積し、同様に非常に強い腫
瘍増殖抑制効果を示しました。

 以上より、今回の研究で開発
したアスタチン標識金ナノ粒子
は、非常にシンプルな構造なが
ら、ガンの種類によらない効果
をもつ、強力で安全な局所治療
であることが確認されました。

 近年、アルファ線放出核種で
標識した、悪性腫瘍標的薬剤が
注目され、開発研究が盛んに行
われています。ほとんどすべて
が、静脈を介して全身に分布さ
せる薬剤であり、転移病変の治
療も併せて行うことができる一
方、標的外の集積は正常組織の
被ばくにつながります。全身を
対象とした治療に対して、光免
疫療法のような低侵襲で局所的
な治療も大変期待されています。
研究グループの提案するこの治
療法は全く新しいガンの局所治
療であり、強力な放射線治療を
低侵襲で副作用なく行うことが
できます。また、金ナノ粒子は
放射線治療の効果を増大させる
増感剤でもあります。従って、
この治療と放射線外照射治療を
組み合わせることで、さらなる
治療効果が期待できます。また、
この治療は血流の少ない腫瘍、
薬剤の届きにくい病変にも有効
であり、従来の化学療法と併せ
て行うことで相補的な効果が期
待できます。さらに、この薬剤
は非常にシンプルな構造で効果
を発揮しますが、金ナノ粒子は
さらに他の化合物を追加的に搭
載できる余地があるので、今後
の研究によってさらなる用途の
拡大が見込まれます。

 このように、今回の研究で治
療法は汎用性と発展性という点
において、今後のガン治療に影
響を与える新しい治療コンセプ
トだといえます。研究グループ
は今後、同治療法の臨床応用を
検討する予定だとしています。
この薬剤は、口腔ガン、皮膚ガ
ン、乳ガン、消化器ガン、そし
て脳腫瘍等、多くのガンに応用
可能であり、現在、舌ガンへの
応用に向けた検討を進めている
ということです。また、「ガン
の腹膜播種や、ガン摘出腔に対
する再発予防のための薬剤散布
治療への応用や、リンパ組織へ
の投与によるリンパ節転移の治
療への応用検討、さらには、抗
体を搭載してガン特異性と治療
効果をさらに高めた製剤の開発
などを開始している」と、研究
グループは述べています。

放射線について解説している

動画です。

 

 

 

 



 八店の店舗から発展する。笑















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2】 武漢熱デルタ株の新たな変異株を国内で初確認
















 東京医科歯科大は、8月30日、
流行する新型コロナ(武漢熱)
ウイルスのデルタ株について、
英国由来のアルファ株に類似し
た変異を持つ新たなタイプを国
内で初めて確認したと発表しま
した。世界では8例の報告があ
りますが、感染力の強さなどは
不明ということです。

 同大によると、新たなデルタ
株は今月、同大付属病院の患者
さんから検出されました。デル
タ株に特徴的な「L452R」
変異に加え、アルファ株に特徴
的な「N501Y」に類似した
「N501S」変異がありまし
た。患者さんに海外渡航歴はな
く、市中感染だったということ
です。同大は、この変異は国内
で起きた可能性が極めて高いと
みています。

このニュースのニュース動画で

す。

 

 

 

 



 海外渡航の謎を解こう。 笑














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編集後記



 大阪大学が8月25日、アルフ
ァ線を放出する核種アスタチン
211( 211 At)をガンの病巣に
直接投与して治療を行う薬剤を
開発したと発表したのは、素晴
らしい業績です。しかし、直接
患部に注射で投与しなければ、
ならないのは、難点でしょう。
今回の研究で開発したアスタチ
ン標識金ナノ粒子は、非常にシ
ンプルな構造ながら、ガンの種
類によらない効果をもつ、強力
で安全な局所治療であることが
確認されたということなので、
局所に投与できれば、素晴らし
い効果を生む治療だと思います。
ただ、従来の化学療法に組合せ
るのは、従来の化学療法が、工
夫をしない限り、この治療法の
足を引っ張る可能性が高いと思
われます。工夫とは、クロノテ
ラピーやEPR 効果を利用するも
のです。
 東京医科歯科大が、8月30日、
流行する新型コロナ(武漢熱)
ウイルスのデルタ株について、
英国由来のアルファ株に類似し
た変異を持つ新たなタイプを国
内で初めて確認したと発表した
のは、由々しきことです。また
また新しい変異株登場というこ
とになれば、新しい流行を形成
する可能性があります。以前の
メルマガで書いたとおり、デル
タ株は、水痘並みの感染力を有
しているので、その可能性は十
分あると言えるからです。世界
では8例の報告があるものの、
感染力などは、不明ということ
で不気味な感じがします。患者
さんに海外渡航歴はなく、市中
感染だったということであり、
同大は、この変異は国内で起き
た可能性が極めて高いとみてい
るのも、人々の恐怖感を煽るも
のだと考えます。

 以前から旧態依然とした仕組
みに啞然としていた。   笑
















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