診療マル秘裏話  Vol.931 令和3年10月13日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)顆粒膜細胞腫病理学的特徴と予後不良因子解明
2)武漢熱点滴新薬が、厚労省で承認の可否を審議














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 顆粒膜細胞腫病理学的特徴と予後不良因子解明














 北海道大学は8月30日、「顆
粒膜細胞腫」の病理学的な特徴
と予後不良因子を明らかにした
ことを発表しました。同大大学
院保健科学研究院の蝦名康彦教
授、東海大学医学部産婦人科学
教室の三上幹男教授らの研究グ
ループと、日本産科婦人科学会
と日本婦人科腫瘍学会との共同
研究によるものです。

 顆粒膜細胞腫は、卵巣ガンの
2%程度ほどのまれな腫瘍で、標
準治療が確立されていません。
女性ホルモン産生により閉経後
の不正性器出血や、初回治療か
ら5~10年後の再発といった特
徴があります。

 研究グループは、日本産科婦
人科学会が行っている婦人科腫
瘍登録で14年間に登録された卵
巣ガン患者さん75,241人のうち、
顆粒膜細胞腫患者さん1,426 人
を対象に調査を行いました。全
ての患者さんで手術が行われま
したが、このうち卵巣に病変が
限局しているステージ1の患者
さんが89.1%を占めており、22
2 人の患者さんでリンパ節郭清
が行われていました。また、リ
ンパ節転移陽性頻度は2.1%、骨
盤内への進展がある患者さんは
13.3%、骨盤外への腹膜播種あ
る患者さんは26.7%と進行して
いるほど転移が高頻度に認めら
れました。

 次に、患者さん674 人の予後
因子を検討したところ、「ステ
ージ2以上」「初回手術時の残
存腫瘍あり」「リンパ節転移あ
り」が、予後不良因子でした。
さらに、「コックス回帰分析」
という方法で解析した所、「残
存腫瘍あり」「リンパ節転移あ
り」が独立した予後因子として
選択されました。

 18~49歳でステージ1の患者
さん243 人を対象に、妊孕性温
存手術(腫瘍切除のみもしくは
片側附属器摘出のみ)と妊孕性
非温存手術(両側附属器摘出な
ど)を比較した所、両者に予後
の差を認めませんでした。

 このことから、手術時点で腫
瘍が卵巣に限局している場合は、
ガンの周辺にあるリンパ節を切
除するリンパ節郭清を省略する
ことで、手術による負担を軽減
できる可能性が考えられました。
さらに、進行例では、残存腫瘍
をゼロとすることが予後改善に
つながることが示唆されました。
研究グループは今後への期待と
して、次のように述べています。

「本研究の成果により、顆粒膜
細胞腫症例における手術治療の
標準化が進むことが期待されま
す。初回手術時にpT1 の症例に
ついては、診断的リンパ節郭清
を省略できる可能性があること
が示唆されました。これは患者
さんに対する手術侵襲の軽減に
大きく役立ちます。一方でpT2
以上の症例には系統的郭清によ
るリンパ節転移診断の必要性を
認めました。つまり、手術開始
時に腹腔内の丹念な観察により、
術式と郭清の要否を決定します。
一方、腹腔内播種を有する進行
例においては、腫瘍減量を十分
に行い残存腫瘍をゼロとするこ
とが予後改善につながることが
示唆されました。また、若年者
に対しては妊孕能温存手術が可
能ですが、その際にも腹腔内の
精査が必須となります。今後は
日本産科婦人科学会の登録デー
タから一次調査として顆粒膜細
胞腫症例を集積し、二次調査と
しての中央病理診断や化学療法
等の追加情報の検討を目的とし
た臨床研究を実施していくこと
が望まれます」

卵巣ガンについて解説している

動画です。

 

 

 

 



 妊孕能温存手術を認容する。















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2】 武漢熱点滴新薬が、厚労省で承認の可否を審議















 厚生労働省は9月21日、英製
薬大手グラクソ・スミスクライ
ン(GSK)が承認を申請して
いた新型コロナ(武漢熱)ウイ
ルス感染症の点滴薬「ソトロビ
マブ」(商品名・ゼビュディ)
について、専門部会を9月27日
に開き、承認の可否を審議する
と発表しました。了承されれば、
同日中にも厚労省が特例承認す
る見通しで、国内で軽症者に使
用できる治療薬として2例目と
なります。

 対象は、重症化リスクが高い
軽症・中等症の患者さんです。
人工的に作った抗体を投与し、
重症化を防ぎ、回復を早めます。
GSKによると、入院や死亡の
リスクを79%減らす効果があり、
ウイルスの変異しにくい部分に
作用するため、変異株への効果
も期待されるということです。

 抗体医薬では、「抗体カクテ
ル療法」と呼ばれる中外製薬の
「ロナプリーブ」が7月19日に
特例承認され、9月15日までに
約2万7000人に使われました。

抗体カクテル療法について解説

しているニュース動画です。

 

 

 



 抗体医薬品も、新旧で交替す
る。           笑















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編集後記



 北海道大学が8月30日、「顆
粒膜細胞腫」の病理学的な特徴
と予後不良因子を明らかにした
ことを発表したのは、素晴らし
い業績です。顆粒膜細胞腫は、
顆粒膜細胞腫は、卵巣ガンの
2%程度ほどのまれな腫瘍で、標
準治療が確立されていないとい
うことなので、予後不良因子の
徹底排除に努めれば、効果的な
治療法になると推察されます。
リンパ節郭清の必要性を判断す
るのに非常に有用ではないかと
思われます。手術の成否が直接
予後に関与することを考えれば、
今回の研究で解明された事実は、
大きいと思われます。
 厚生労働省が9月21日、英製
薬大手グラクソ・スミスクライ
ン(GSK)が承認を申請して
いた新型コロナ(武漢熱)ウイ
ルス感染症の点滴薬「ソトロビ
マブ」(商品名・ゼビュディ)
について、専門部会を9月27日
に開き、承認の可否を審議する
と発表したのは、喜ばしいこと
です。点滴薬で、医療従事者の
手を借りなければ、ならないと
いう欠点は、ありますが入院や
死亡のリスクを79%減らす効果
があり、ウイルスの変異しにく
い部分に作用するため、変異株
への効果も期待されるというこ
とで、利点の方が大きいように
思われます。

 審議会で真偽のほどを審議す
る。           笑















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