診療マル秘裏話  Vol.944 令和4年1月12日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)EGFR遺伝子変異肺ガン新治療法関連遺伝子異常
2)EDに経皮的血管形成術(ED-PTA)の有用性報告













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 EGFR遺伝子変異肺ガン新治療法関連遺伝子異常













 近畿大学は12月17日、EGFR遺
伝子変異肺ガンの新たな治療法
につながるHER3遺伝子の発現異
常を発見したと発表しました。
この研究は、同大医学部内科学
教室(腫瘍内科部門)の米阪仁
雄講師を中心とする研究グルー
プが、第一三共株式会社と共同
で行ったものです。研究成果は、
「Clinical Cancer Research,
a journal of the American As
sociation for Cancer Researc
h」 にオンライン掲載されてい
ます。

 EGFR遺伝子変異は、日本人の
多くの肺ガン症例で見られます。
EGFR遺伝子変異肺ガンの治療薬
としてはEGFR阻害剤が広く使用
されていますが、多くの場合に
おいて、治療開始およそ20か月
後には、ガンが治療への抵抗性
を獲得して増大する傾向がみら
れます。EGFR阻害剤が無効とな
った後の治療は難しく、より有
効な治療法の確立が必要とされ
ています。

 今回、研究グループは、EGFR
遺伝子変異肺ガンの48症例につ
いて、EGFR阻害剤治療開始前の
腫瘍組織と同治療が無効となっ
た後の腫瘍組織を用いて研究を
実施しました。それぞれの組織
について、HER3発現の状態を免
疫組織染色法で調べ、網羅的な
遺伝子解析を次世代シーケンサ
ーで行いました。

 その結果、HER3発現は、治療
開始前と比較して治療が無効と
なった後に増加していました。
特に、EGFR阻害剤を休まずに継
続投与した症例で、HER3の発現
が増加していました。また、遺
伝子発現パターンの解析から、
EGFR阻害剤による細胞内のPI3K
-AKT生存シグナルの阻害が、HE
R3発現増加の要因であると考え
られました。

 次に、前臨床試験において、
EGFR遺伝子変異肺ガン細胞に対
する、抗HER3抗体薬物複合体「
パトリツマブ デルクステカン」
とEGFR阻害剤「オシメルチニブ」
による治療実験を行いました。
その結果、無治療に比べると、
パトリツマブ デルクステカン
単剤およびオシメルチニブ単剤
による治療はそれぞれ一定のガ
ン細胞増殖抑制効果を示します
が、両薬剤を併用することでよ
り強力に抑制することが分かり
ました。この併用による効果は、
オシメルチニブがHER3の発現を
増加させ、HER3を治療標的とす
るパトリツマブ デルクステカ
ンの抗腫瘍効果を高めているた
めと研究グループは考察してい
ます。

 今回の研究成果は、EGFR遺伝
子変異肺ガンにおいて、抗HER3
抗体薬物複合体とEGFR阻害剤の
併用治療が有望である可能性を
示す画期的なものです。現在、
第一三共は、EGFR遺伝子変異肺
ガン症例を対象に、パトリツマ
ブ デルクステカンとオシメル
チニブの併用療法に関して、日
本も参加している国際共同治験
を実施しています。

 EGFR遺伝子変異肺ガンにつ

いて解説している動画です。

 

 

 



 産科の治験に参加する。 笑
















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2】 EDに経皮的血管形成術(ED-PTA)の有用性報告














 動脈性勃起不全(ED)治療に
おける第一選択はホスホジエス
テラーゼ(PDE)5阻害薬ですが、
効果が不十分な場合は外科的血
行再建術などの侵襲性の高い治
療が行われます。一方、海外で
は、より低侵襲な治療法である
経皮的血管形成術(ED-PTA)の
有用性が報告されてきています。
高松赤十字病院(香川県)にお
いても積極的にED-PTAに取り組
んでおり、同院第一放射線科部
長で総合血管治療センター副セ
ンター長の外山芳弘氏は、ED-P
TAの初期経験から得られた知見
について、第31回日本性機能学
会(11月14日、ウェブ開催)で
報告しました。

 動脈性EDは内腸骨動脈から内
陰部動脈、総陰茎動脈、陰茎背
動脈に至る勃起関連動脈の狭窄・
閉塞が要因となります。従来の
ED-PTAは、内腸骨動脈など比較
的太い血管の病変に対し行われ
てきました。

 50歳以上のED患者さんでは70
%以上に骨盤内動脈不全があり、
うち60%は内陰部動脈末梢部〜
総陰茎動脈の狭窄性病変である
ことが報告されています。また、
近年のデバイスの細径化ととも
に、内陰部動脈、総陰茎動脈、
陰茎背動脈といったより末梢の
血管に対するED-PTAの有用性が
報告されています。

 16研究162例を対象とした,動
脈性EDに対する血管内治療のシ
ステマチックレビューでは、技
術的成功率は97.9%、臨床的成
功率は63.2%でした(J Vasc I
nterv Radiol 2019; 30: 1251-
1258)。この成績について、外
山氏は「PDE5阻害薬抵抗例を対
象としており、一定の意義はあ
る」と評しました。

 同院におけるED-PTAの適応は
CT血管造影法(CTA) で狭窄ま
たは閉塞性病変を認めるPDE5阻
害薬が無効または禁忌の動脈性
EDで、血行再建術前の中枢部狭
窄例、血行再建術後の効果不良
例も対象としています。

 治療前検査では、特に1カラ
ードプラ超音波検査による動脈
灌流低下〔収縮期最大血流速度
(PSV)30cm/秒未満〕、2陰茎
海綿体造影下CTによる静脈閉鎖
不全の評価、3ダイナミック造
影CTによる動脈形態の精査等が
特に重要になるということです。

 狭窄部の過拡張による動脈解
離を防ぐため、拡張用バルーン
カテーテルは1mm径から開始す
るとの報告もありますが、同院
では術前CT、血管撮影、血管内
超音波(IVUS)での測定結果を
基に同径バルーンを選択してお
り、これまでの経験から内陰部
動脈では1.5〜2.5mm径、陰茎動
脈では1.0〜2.0mm径を用いてい
ます。近年は各種ステントや薬
剤溶出性バルーンの使用例が報
告されていますが、同院では行
っていません。

 アプローチは対側の大腿動脈
から行い、ガイディングカテー
テルを内腸骨動脈あるいは内陰
部動脈まで進め、ガイドワイヤ
ーで狭窄部を突破してバルーン
カテーテルで拡張します。

 これまでに13例の動脈性ED症
例に対してED-PTAを実施しまし
た。当初は血行再建術後の効果
不良例から開始し、その後は新
鮮例や高齢患者さんも対象に加
えました。年齢中央値は40歳(
範囲23〜66歳)で、血行再建術
後は6例でした。病変部位は陰
茎背動脈が10例、総陰茎動脈が
3例、内陰部動脈が3例で、病
変形態は狭窄が10例、閉塞が3
例でした。技術的成功率は76.9
%、臨床的成功率は38.5%と既
報と比べて低率ですが、これは
血行再建術後例や閉塞例が含ま
れていることが要因と考えられ
るということです。

 技術的不成功3例の内訳は閉
塞例2例、狭窄例1例で、閉塞
例はいずれも骨盤骨折後の慢性
閉塞例でした。

 先述のシステマチックレビュ
ーにおける合併症の発症率は4.
9%で、主な合併症は4例(治療
部位の灌流障害を伴う解離3例、
ステント閉塞1例)、軽度合併
症は4例(灌流障害を伴わない
解離3例、鼠径部血腫1例)で
した。

 同院での合併症は2例3部位に
認められました。1例は血栓形
成と解離で、それぞれバルーン
カテーテルによる低圧拡張、血
栓吸引により消失しました。1
例は過拡張による解離から周囲
静脈叢へのシャントが形成され
ましたが、バルーンカテーテル
による低圧拡張により消失しま
した。外山氏は「それぞれワイ
ヤー操作ミス、ヘパリン化不十
分、過拡張が要因。基本的な対
処により防止は可能」と振り返
りました。なお、合併症とまで
はいえない血管攣縮が予想外に
多く、イソソルビドなどの血管
拡張薬を適宜使用することで対
応したということです。

 これらの経験を踏まえ、同氏
はED-PTAの課題について、1対
象の血管径が2mm前後と細いた
め、術前の画像診断による狭窄
形態の正確な把握が困難、2慢
性閉塞病変の治療は困難、3再
狭窄率は33%と高率で再治療後
の治療成績も不良の3点を提示
しました。その上で「技術的成
功率が高く、比較的安全に施行
可能。対象は従来治療に対する
難治例であることから治療オプ
ションの1つとして考慮できる。
再狭窄についても薬剤溶出性デ
バイスの応用が期待される」と
結論しました。

 カテーテル治療の手順につい

ての動画です。心臓カテーテル

について解説していますが、

ED-PTAも目的の動脈が違うだ

けで、同じ操作と考えられます。

 

 

 

 



 思考回路の改善を施行する。













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編集後記



 近畿大学が12月17日、EGFR遺
伝子変異肺ガンの新たな治療法
につながるHER3遺伝子の発現異
常を発見したと発表したのは、
素晴らしい業績です。HER3発現
は、EGFR阻害剤治療開始前と比
較して治療が無効となった後に
増加していたということす。特
に、EGFR阻害剤を休まずに継続
投与した症例で、HER3の発現が
増加していたということなので、
EGFR阻害剤とHER3を標的とする
抗体薬物複合体のコンビネーシ
ョン治療は、奏功すること間違
いないという予測に基づいて行
われたのは、スマートな予測と
言えるでしょう。両薬剤を併用
することでより強力に抑制する
ことが分かったのは、エレガン
トな手法だと思いました。
 動脈性勃起不全(ED)治療に
おける第一選択はホスホジエス
テラーゼ(PDE)5阻害薬ですが、
効果が不十分な場合は外科的血
行再建術などの侵襲性の高い治
療が行われるということですが、
外科的血行再建術よりは、海外
で行われている、より低侵襲な
治療法である経皮的血管形成術
(ED-PTA)の方が優れた治療法
ということができるでしょう。
狭心症で、昔は、バイパス手術
が行われていたものが、心臓カ
テーテル治療に置き換わったの
とほぼ同じではないかと私は考
えています。患者さんの肉体的
負担を少なくする治療ほどニー
ズが高いと思われます。
 
 債券を買収して、再建を図る。
















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