診療マル秘裏話  Vol.980 令和4年9月22日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次

1)神経内分泌ガンNECの第3相RCTを世界初で実施
2)円形脱毛症JAK阻害薬,日本で承認申請実施さる













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 神経内分泌ガンNECの第3相RCTを世界初で実施












 治療薬の有効性と安全性を比
較してエビデンスに基づく治療
を選択するにはランダム化比較
試験(RCT) が必須ですが、希
少疾患は患者数に乏しくRCT の
実施が困難です。国立ガン研究
センター中央病院肝胆膵内科医
長の森實千種氏らは、希少ガン
の1つである神経内分泌ガン(
NEC)の第3相RCTを世界で初め
て実施しました。NEC の一次治
療において、エトポシド+シス
プラチン(EP療法)とイリノテ
カン+シスプラチン(IP療法)
の全生存(OS)は同等で、いず
れも標準治療として確立されま
した。

 NEC は神経内分泌細胞に由来
する神経内分泌腫瘍の1つで、
膵臓や消化管、肺など全身のさ
まざまな部位から発生します。
増殖速度が速いため切除が可能
なケースは少なく、多くの場合
は病状制御を目的とした化学療
法が行われます。

 治療は性質が比較的類似して
いる小細胞肺ガンの化学療法に
準じ、EP療法またはIP療法が国
内外で広く用いられてきました。
しかし、いずれがより有効かは
不明であり、エビデンスに基づ
き治療を選択するためにRCT の
実施が求められていたが、希少
ガンであることから困難でした。

 日本臨床腫瘍研究グループ(
JCOG)は、NEC がさまざまな臓
器に発生する特性に注目しまし
た。肝胆膵グループ、胃ガング
ループ、食道ガングループが合
同で研究計画を立案し、世界で
初めてのNECのRCTである非盲検
の第3相試験TOPIC-NEC(JCOG1
213)が実施されました。

 対象は、組織学的に診断され
た消化管または肝胆膵由来の再
発または切除不能な未治療NEC
患者さんです。年齢は20〜75歳
で、全身状態(PS)は0〜1が適
格とされました。2014年8月8日
〜20年3月6日に国内50施設で17
9 例が登録され、一次治療とし
てEP療法を行うEP群(84例)ま
たはIP療法を行うIP群(86例)
に1:1でランダムに割り付けら
れました。

 希少ガンであるNEC は正確な
病理診断が困難で、診断では細
胞増殖の指標、細胞形態、他の
タイプの腫瘍の併存などの評価
が極めて重要となります。同試
験では消化器腫瘍を専門とする
病理医による中央病理診断が行
われました。

 EP群ではエトポシド100mg/m2
(1、2、3日目) とシスプラチ
ン80mg/m2を(1日目)を3週ご
と、IP群ではイリノテカン60mg
/m2(1、8、15日目) とシスプ
ラチン60mg/m2 (1日目)を4週
ごとに投与しました。主要評価
項目はOS、副次評価項目は奏効
率、無増悪生存(PFS),有害事
象などでした。

 対象の平均年齢は64歳(範囲
29〜75歳)で男性が68.8%でし
た。主要評価項目のOS中央値は
EP群の12.5カ月(95%CI 10.3〜
15.7カ月)に対してIP群では10.
9カ月(同8.9〜13.1カ月)で両
群に差はありませんでした〔ハ
ザード比(HR)1.04、90%CI 0.
79〜1.37、P=0.80、図〕。1年
OSはそれぞれ52.1%(95%CI 40.
1〜62.8%)、41.8%(同30.8〜5
2.3%)でした。

 PFS中央値は、EP群の5.6カ月
(95%CI 4.1〜6.9カ月)に対し
てIP群では5.1 (同3.3〜5.7カ
月) とやはり有意差はありませ
んでした(HR 1.06、95%CI 0.7
8〜1.45)。奏効率はそれぞれ5
4.5%、52.5%でした。

 主なグレード3以上の有害事
象は好中球減少症(91.5%、53.
7%)、白血球減少症(61.0%、3
0.5%)、発熱性好中球減少症(
26.8%、12.2%)でした。EP群で
発熱性好中球減少症の頻度が高
かったことから顆粒球コロニー
刺激因子(G-CSF) 製剤の予防
投与を推奨するようプロトコル
を改訂した結果、EP療法群で予
防的投与を行った場合の発現率
は5.1%に抑制されました。

 なお,168例中16例(9.5%)で
中央病理診断が参加施設と一致
しませんでした。この点につい
て、国立研究開発法人国立ガン
研究センターなどのプレスリリ
ースでは「神経内分泌ガンの病
理診断の難しさを示すとともに、
病理中央診断の実施により、本
試験において適正な評価を行う
ことにつながったと考えられる」
と評価しています。試験の詳細
はJAMA Oncol(2022年8月18日
オンライン版)に報告されてい
ます。  

 ランダム化比較試験について

解説している動画です。

 

 

 

 



 適性について適正な評価を行
う。           笑















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2】 円形脱毛症JAK阻害薬,日本で承認申請実施さる















 ファイザーは8月25日、円形
脱毛症を対象疾患とする経口JA
K3/TECファミリーキナーゼ阻害
薬・リトレシチニブトシル酸塩
カプセル(一般名:リトレシチ
ニブトシル酸塩、開発コード:
PF-06651600)について,日本で
承認申請したと発表しました。
今回の申請に用いた国際共同試
験は、成人及び12歳以上の青少
年を対象に、導入期、維持期と
もに1日1回投与で実施しまし
た。

 リトレシチニブは、ATP (ア
デノシン三リン酸)結合部位の
遮断により、JAK3及び5種類のT
ECファミリーキナーゼを不可逆
的に阻害する共有結合形成型の
経口投与可能な低分子製剤です。

 同剤は,JAKファミリーキナー
ゼのうちJAK3に対する選択性が
極めて高く、JAK1、JAK2、TYK2
に対する阻害活性はほとんど示
しません。円形脱毛症の病態に
関与するIL-15、IL-21の共通γ
鎖受容体のシグナル伝達をJAK3
阻害により抑制し、CD8陽性T細
胞及びNK細胞の細胞溶解能をTE
C ファミリーキナーゼ阻害によ
り抑制することから、治療効果
が期待できると考えられていま
す。

 今回の申請は、全頭型および
汎発型を含む円形脱毛症を有す
る患者さんを対象とした国際共
同試験(ALLEGRO-2b/3、ALLEGR
O-LT)の結果などに基づいてい
ます。リトレシチニブ投与群(
50mg及び30 mg群)は,主要評価
項目である24週時のSALT<20達
成割合(SALTは脱毛症の重症度
評価ツールで、SALT<20は頭部
脱毛が20%以下であることを意
味する)において、プラセボと
比較して統計的に有意な改善を
示しました。リトレシチニブの
忍容性、安全性は良好だったと
しています。

 ALLEGRO-2b/3試験は、中等症
から重症の成人および青少年(
12歳以上)の円形脱毛症患者さ
んを対象に、リトレシチニブの
有効性および安全性を評価した
後期第2/3相,無作為化、二重盲
検、プラセボ対照、用量設定試
験です。ALLEGRO-LT試験は、成
人および青少年(12歳以上)の
円形脱毛症患者さんを対象に、
リトレシチニブの安全性および
有効性を評価した第3相、非盲
検、長期投与試験です。

 JAK阻害薬について解説して

いる動画です。

 

 

 



 皮革製品の出来を比較する。














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編集後記



 国立ガン研究センター中央病
院肝胆膵内科医長の森實千種氏
らが、希少ガンの1つである神
経内分泌ガン(NEC)の第3相R
CTを世界で初めて実施したのは、
素晴らしい業績です。NEC の一
次治療において、エトポシド+
シスプラチン(EP療法)とイリ
ノテカン+シスプラチン(IP療
法)の全生存(OS)は同等で、
いずれも標準治療として確立さ
れたということですので、同等
だった場合の成功例と言えるで
しょう。二つの治療法に極端な
差がついた場合は、劣っている
治療法を選択した患者さんをレ
スキューする必要が生じてきま
す。
 ファイザーが8月25日、円形
脱毛症を対象疾患とする経口JA
K3/TECファミリーキナーゼ阻害
薬・リトレシチニブトシル酸塩
カプセル(一般名:リトレシチ
ニブトシル酸塩、開発コード:
PF-06651600)について,日本で
承認申請したと発表したのは、
喜ばしいことです。以前から、
JAK 阻害薬が円形脱毛症に効果
があるということが知られてい
ましたが、ついに承認申請まで
きたかという思いがあります。
リトレシチニブの忍容性、安全
性は良好だったということです
が、ヘルペスなど免疫低下によ
る感染症には十分に注意すべき
だと思います。

 両行の関係は良好だった。笑















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