
診療マル秘裏話 号外Vol.2629 令和5年1月4日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
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目次
1)虫垂ガンは虫垂炎との鑑別困難で早期発見が困難
2)iPS細胞由来網膜細胞を紐状にしRPE不全症に移植
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。
1】 虫垂ガンは虫垂炎との鑑別困難で早期発見が困難
虫垂ガンは珍しい病気で、大
腸ガン全体の1%にも満たない
ということです。虫垂炎との区
別が難しく、早期発見が極めて
困難なため、虫垂炎として手術
をして初めて、ガンが見つかる
ケースも少なくない。帝京大学
ちば総合医療センター(千葉県
市原市)外科の幸田圭史教授は
「虫垂ガンは、内視鏡での診断
が困難なことが多いため、大半
が進行してから発見されます」
と話しています。
虫垂は右下腹部の盲腸の下側
にある突起です。盲腸や結腸、
直腸と共に大腸の一部ですが、
虫垂ガンは大腸ガンとは別に分
類されています。幸田教授は「
虫垂ガンは、通常の結腸や直腸
にできるガンとは違い、消化管
などに多発する神経内分泌腫瘍
や、低分化型ガンという粘液度
が高く転移しやすいガンである
ことが多いのが特徴です」と説
明しています。
虫垂ガンでは、虫垂炎と同じ
ように発熱や右下腹部痛が起こ
ることも多く、症状だけで判断
するのは難しい。抗生物質で炎
症を抑えた後に、腹部超音波検
査やコンピューター断層撮影(
CT)、磁気共鳴画像装置(M
RI)検査などが行われ、そこ
で初めて腫瘍が確認される場合
もあります。中には虫垂炎とし
て手術をし、術後の病理検査で
ガンが判明するケースもありま
す。虫垂には内視鏡が入らない
ため「腫瘍がありそうだと分か
っても、それが良性なのか悪性
なのか判断できないので、術前
の確定診断は困難なことが大半
です」と幸田教授は、言ってい
ます。
早期発見の難しさは予後にも
表れています。幸田教授による
と、診断から5年後の生存率は、
ステージやガンのタイプによっ
ても異なるが50~70%であ
り、結腸や直腸ガンに比べると
低く、再発も多いとされていま
す。虫垂ガンが進行して虫垂が
破裂すると、腹腔(ふくくう)
内にガン細胞が散らばる腹膜播
種(はしゅ)を起こしたり、リ
ンパ節への転移や、血液にガン
細胞が乗って、肝臓や肺に転移
したりすることもあるという。
そのため、幸田教授は「腫瘍が
あると分かったら、あらかじめ、
ガンを想定した手術を考えた方
がいいと思います」と話してい
ます。
虫垂ガンは一般的な健康診断
ではまず見つかりません。「右
下腹部痛がたびたびある、何度
も抗生物質で虫垂炎の症状を抑
えているという人は、超音波や
CT検査ができる消化器の専門
医で、一度詳しい検査をしてく
ださい」と幸田教授はアドバイ
スしています。
虫垂ガンについて解説してい
る動画です。
装丁は想定範囲内です。 笑
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2】 iPS細胞由来網膜細胞を紐状にしRPE不全症に移植
神戸市立神戸アイセンター病
院は12月9日、人工多能性幹細
胞(iPS細胞)から作製した
網膜の細胞をひも状にして「網
膜色素上皮(RPE)不全症」
の患者さんに移植する手術を行
ったと発表しました。今後5年
間で50例を目標に実施します。
研究チームは11月下旬、RP
E不全症が原因で視力低下した
関西在住の50代女性に、京都大
学iPS細胞研究財団のiPS
細胞から作ったひも状のRPE
細胞を網膜下に移植しました。
手術は成功したということです。
今後1年間経過観察し、有効性
や安全性を確認します。
このニュースのニュース動画
です。
異色の移植を成功させる。笑
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編集後記
虫垂ガンは珍しい病気で、大
腸ガン全体の1%にも満たない
ということであり、虫垂炎との
区別が難しく、早期発見が極め
て困難なため、虫垂炎として手
術をして初めて、ガンが見つか
るケースも少なくないとのこと
です。虫垂ガンは、通常の結腸
や直腸にできるガンとは違い、
消化管などに多発する神経内分
泌腫瘍や、低分化型ガンという
粘液度が高く転移しやすいガン
であることが多いのが特徴とい
うことです。それが、予後の悪
さに影響していると思われます。
神戸市立神戸アイセンター病
院が12月9日、人工多能性幹細
胞(iPS細胞)から作製した
網膜の細胞をひも状にして「網
膜色素上皮(RPE)不全症」
の患者さんに移植する手術を行
ったと発表したのは、素晴らし
い業績です。今後5年間で50例
を目標に実施するとのことです
ので、患者さんにとって大きな
福音となることでしょう。京都
大学iPS細胞研究財団のiP
S細胞から作ったひも状のRP
E細胞を使ったということです
から他人のiPS細胞を使い、
免疫抑制剤を使わざるを得ない
のでしょう。
肝細胞の幹細胞を研究した。
笑
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