診療マル秘裏話  Vol.932 令和3年10月20日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★











目次
 
1)厚労省から非小細胞肺ガンの薬セルペルカチニブ認可
2)ASD児はコミュニケーション能力異常大きい程知能が低い













◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 厚労省から非小細胞肺ガンの薬セルペルカチニブ認可
















 日本イーライリリーは9月27
日、セルペルカチニブ(商品名
レットヴィモ)について、厚生
労働省より「RET 融合遺伝子陽
性の切除不能な進行・再発非小
細胞肺ガン(NSCLC)」 に対す
る治療薬として、製造販売承認
を取得したと発表しました。

 同承認は、固形ガン患者さん
を対象とした国際共同第1/2
相試験LIBRETTO-001に基づいて
います。同試験のうち、RET 融
合遺伝子陽性の切除不能な進行・
再発NSCLC 患者さんを対象に、
同薬の有効性および安全性が検
討されました。

 セルペルカチニブは、RET 融
合遺伝子陽性NSCLC に対して世
界で初めて承認された、RET の
キナーゼ活性を選択的に阻害す
る低分子チロシンキナーゼ阻害
薬です。RETの活性化は、RETの
キナーゼドメインとパートナー
蛋白(CCDC6、KIF5B、NCOA4 な
ど)の二量体化ドメインが融合
することで、リガンドに依存せ
ず恒常的にキナーゼが活性化し
た状態になる染色体再構成(RE
T 融合遺伝子)により起こると
されています。同薬は、活性化
されたRET を選択的に阻害する
ことで、腫瘍の増殖を阻害する
と考えられているということで
す。

 2012年頃、国立ガンセンター
は、肺腺ガンの2%に存在する新
しい遺伝子異常(RET 遺伝子融
合)を発見しました。同時期に、
融合陽性肺ガンに対するRET 蛋
白質のキナーゼ活性を阻害する
働きを持つ薬剤バンデタニブ(
甲状腺ガン治療薬)による治療
の可能性を示しました。

非小細胞肺ガンの薬物療法につ

いて解説している動画です。

 

 

 

 



 以上のような、遺伝子異常を
発見する。        笑















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆














2】 ASD児はコミュニケーション能力異常大きい程知能が低い















 金沢大学は9月21日、自閉ス
ペクトラム症(ASD) を持つ児
童たちの心理検査・知能検査の
データを解析し、3~8歳の知的
能力に重度な遅れのない、自閉
スペクトラム症を持つ児童にお
いて共同注意というコミュニケ
ーション能力の異常が大きいほ
ど、知能が低くなることを報告
しました。この研究は、同大附
属病院神経科精神科の佐野滋彦
助教、医薬保健研究域医学系精
神行動科学の菊知充教授、子ど
ものこころの発達研究センター
らの研究グループによるもので
す。研究成果は、「Autism Res
earch」 オンライン版に掲載さ
れています。

 ASD を持つ児童において、共
同注意という脳機能の異常と知
能に関連があると、過去の海外
の研究で示されていました。共
同注意とは、ヒトにおいて生後
半年からみられる、他者とコミ
ュニケーションするための能力
の一つです。子どもが自分の気
になるものを指さして、母親に
も見てもらおうとするなどの行
動で表されます。ASD を持つ児
童では、こうした行動の出現す
る年齢が遅い、出現する頻度が
小さいなどの異常が見られます。

 しかし、過去の研究の対象は
知的能力に重度の障害を持つ児
童が中心となっており、共同注
意の異常と知能の関連が、ASD
を持つ児童すべてにおいてみら
れるものかどうかは不明でした。
そこで今回研究グループは、知
的能力に重度の障害を持たない
児童を対象に、共同注意の異常
と知能の関連を調査しました。

 今回は、ASD を持ち、知的能
力に重度の障害を持たない3~8
歳の日本人児童113 人を対象に
ADOSという心理検査で評価され
る共同注意の異常と、K-ABC と
いう知能検査で評価される知能
の関連を統計解析で評価しまし
た。

 評価の結果、これらの児童に
おいて、共同注意の異常が大き
いほど知的能力が低くなり、両
者の間に統計学的に有意な関連
があることが判明しました。こ
れは過去の海外の研究と一致す
る結果であり、ASD を持つ児童
において、知的能力障害の有無
と無関係に、共同注意の異常と
知能が関連すると判明しました。

 今回の研究により、ASD を持
つ児童全般において、共同注意
を改善する治療を行うことで知
能をも高めることができ、将来
の学校や社会における適応を改
善していける可能性があると示
唆されます。

 「今後は、介入研究を行い、
共同注意を改善することで実際
に知能が高まるのかどうか検証
していく必要がある」と研究グ
ループは述べています。

ASDについて解説している動画

です。

 

 

 



 自動ドアを児童が、操作する。
















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













編集後記



 日本イーライリリーが9月27
日、セルペルカチニブ(商品名
レットヴィモ)について、厚生
労働省より「RET 融合遺伝子陽
性の切除不能な進行・再発非小
細胞肺ガン(NSCLC)」 に対す
る治療薬として、製造販売承認
を取得したと発表したのは、喜
ばしいことです。2012年頃、国
立ガンセンターが、肺腺ガンの
2%に存在する新しい遺伝子異常
(RET 遺伝子融合)を発見して
以来、分子標的薬の進化が進ん
でいるものと考えます。今後も
日進月歩の進化が続いていくも
のと推察しています。
 金沢大学が9月21日、自閉ス
ペクトラム症(ASD) を持つ児
童たちの心理検査・知能検査の
データを解析し、3~8歳の知的
能力に重度な遅れのない、自閉
スペクトラム症を持つ児童にお
いて共同注意というコミュニケ
ーション能力の異常が大きいほ
ど、知能が低くなることを報告
したのは、素晴らしい業績です。
今回の研究により、ASD を持つ
児童全般において、共同注意を
改善する治療を行うことで知能
をも高めることができ、将来の
学校や社会における適応を改善
していける可能性を追究して頂
きたいものです。

 産学協同で共同のプロジェク
トを進める。       笑














************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
  解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」https://www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長 
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト https://www.eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp
このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。